西原 孝至 (監督) × 岩瀬 亮 (俳優)
映画『シスターフッド』について【6/6】
2019年3月1日(金)よりアップリンク渋谷にて公開中、全国順次公開
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西原 映画っていろんな作り方があると思うんですけど、僕にとってこういう作り方をするのはこれが最後なんだろうなと思います。こんなに時間をかけて撮るということも、ドキュメンタリーとドラマを混ぜるということも、出てくださったみなさんとの関係性も含めて、僕の中ですごく特別な映画になりました。最初は東京に生きている女性たちに興味があって作り始めたんですけど、完成したら一人一人の幸せについての映画になったなと思っていて。自分も幸せになりたいと思っているし、観ている人にも幸せになってほしい。そういう想いが今すごくあります。
岩瀬 この映画を観て、人が自分の幸せを求めるのはすごく大事なことだと思いました。それは独りよがりなことではなくて、人の幸せのこともちゃんと感じられるようになるってことだから。全世界の誰もが等しく幸せになることなんてないけれど、それに近づこうとすることが必要なんじゃないかな?と感じました。
――そうですよね。監督は幸せってどういうことだと思いますか?
岩瀬 おっ、これは難しい質問ですね(笑)。
西原 そうですね……、“その人が自分らしく生きていることを実感できているとき”が幸せなのではないでしょうか。ナルシシズムとは違う自己肯定感、「自分は自分でいいんだ」という感覚を持って生きていければ、それが幸せなのかなと。でも今の社会はそれを阻害することが多いと感じていて、だから僕の場合は映画ですけど、表現などを通して社会にアプローチしたいという感じですね。
――そうですね。自分らしく生きると。私はこの映画を観て、自分が受けている痛みをちゃんとわかっていて、パートナーと一緒にそれに立ち向かっている女性たちが幸せで、池田がいちばんかわいそうに思えてしまったんです(笑)。固定観念や社会的なしがらみに縛られ、自分のことを省みる余裕がなかなかない、でもいろんなことに気づいていき、最後は感情のままに行動して、これで幸せをつかめるんじゃないかと。
西原 そうですね、そんなに大変化ではないかもしれないけど、池田の中では大事な変化があったんじゃないかなと思っています。それを岩瀬さんが繊細に演じてくださいました。人には変われるチャンスがいっぱいあると思います。それは年齢に関係なく、気づきやきっかけがあれば変われると思うので、この映画がそのきっかけの一つになればいいなと思います。
岩瀬 そういうチャンスって、やっぱり自分の方も開いて敏感でいなければ逃してしまうことが多い気がします。この映画がそういう敏感さを促す助けになればいいですね。僕は実際に感じましたし。
――ぜひ多くの方に観てほしいですね。お二人の今後のご活躍も楽しみですが、監督は何か計画はありますか?
西原 今動いているものはないんですけど、脚本を書いて、予算もしっかり集めた状態で劇映画を1本作りたいなと思っています。
岩瀬 僕その日空いてます!
西原 (笑)。岩瀬さんを想定して書いているものもあるので、そこはスケジュールを空けてもらって。僕は個人的に政治や社会の問題に興味があるので、今の報道のあり方に違和感を感じていて。女性の若いジャーナリストが、あるきっかけで政治に興味を持つようになって奮闘するというストーリーを、何のあてもないけど書いています。それをいつかしっかりお金を集めて撮りたいです。
岩瀬 面白そう。
――フィクションならではの力ってありますよね。ドキュメンタリーを経ての劇映画を楽しみにしています。岩瀬さんは、最近は舞台での活動が多く、映画は久しぶりでしたね。
岩瀬 そうですね。今も稽古中で、舞台が続いていますが、映像もやりたいです。地道にやっていきます。
――応援しています。今日はどうもありがとうございました。
( 2019年2月5日 渋谷・映画美学校で 取材:深谷直子 )
出演:兎丸愛美,BOMI,遠藤新菜,秋月三佳,戸塚純貴,栗林藍希,SUMIRE,岩瀬亮
監督・脚本・編集:西原孝至
撮影:飯岡幸子,山本大輔 音響:黄永昌 助監督:鈴木藍 スチール:nao takeda 音楽:Rowken
製作・配給:sky-key factory © 2019 sky-key factory
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