三浦 誠己 (俳優) 映画『木屋町DARUMA』について【3/5】
2015年10月3日(土)より渋谷シネパレスほか全国順次ロードショー
<関西>大阪:第七藝術劇場 京都:京都みなみ会館 兵庫(神戸):元町映画館
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――その部分も現場で膨らんでいったんですね。
三浦 勝浦に対して「お前ひとりで生きてるのか?」って言うのは、完全にその場でできたセリフでしたね。あのときに遠藤さんは「もっと来い、俺はそれじゃあ動かん」と。何度も何度もテストをして、「もっと来い!もっと!」って言ってくれてバッと出た言葉だったので。あのシーンを撮影したときは遠藤さんも標準語になっていたから、もう心で、ハートでやっていたというか。エネルギーがハンパなかったです。
――あのシーンはにらみ合う形相も凄まじくて、鬼気迫っていました。撮り直しも何度も重ねていったんですね。
三浦 撮り直しはバンバンやらせてもらいましたね。時間も限られている中で難しいことなんだけど、それは榊監督もOKって言ってくれて。「もう1回やりたいな」と思いながら次のシーンに移るよりは、「じゃあもう1回やろう」って言ってその5分10分で俳優の生理がクリアになるっていうことも知っていらっしゃいますし、それはスタッフも含め暗黙の了解という感じでやらせてくれたので、面白かったですね。
――そこがやっぱり俳優もされている榊監督ならではの采配なのでしょうね。
三浦 めちゃくちゃあると思いますね。監督でいるときもあるし、俳優・榊英雄でいるときもあるし。監督・榊英雄に「こうしてくれ」と言われて「それはできません」とやり取りしながら撮影をしていて、そのうち監督の顔から俳優・榊英雄になって「いや、これはやるべきだ」って言われると、「ああ、双方の視点から見てやるべきっていうことはやるべきだな」ってストンと納得できて。それを監督は恐らく自覚していて、僕らを騙しているかもしれないです(笑)。僕は最初この役を「ジャージでやらせてくれ」って言ったんですよ。「介護するのにスーツ着いへんでしょ」っていうことだったんですけど、「いや、スーツを着てください」って監督が強くおっしゃったときに「そうか、介護はいつでもやめたいっていうヤクザとしてのプライドみたいなものが芽生えているのかもな」って素直に思えていましたね。
――ハードルの高い演技もしっかり俳優さんに納得させて入り込ませているんですね。遠藤さんにも武田梨奈さんにも驚きましたし、三浦さんと遠藤さんの演技の真剣勝負も本当に素晴らしかったです。こういう男たちの熱いドラマも久しぶりに観たなと思いましたが、何か演技の参考にしたような作品はありますか?
三浦 参考にした作品はないんですよ。だって他にないでしょ?車椅子を押してとか手足がないとか(苦笑)。いや、あったな、フランスかどこかの映画で、お金持ちの介護を貧乏な若者がするというのが。
――ああ、『最強のふたり』(12)ですよね。いや、ああいう感動作はちょっと違いますけど……(苦笑)。でも一種のバディ・ムービーではあると思うんですが。
三浦 そういうのも参考にはしなかったですね。バディ・ムービーは好きなんですけどね、『スケアクロウ』(73)とか。でも関係性はあるのかなあ? 主従関係というか、タイの関係じゃないですからね、「トミーとマツ」みたいな。入れられるものなら入れてみたかった気はしますが。ヤクザ映画もたくさん観てきているけど、さっきも話したように今までのヤクザ映画じゃない僕の世代のヤクザ映画にできるなって思ったので。何か他の作品だとかカルチャーに触れて、そこから引っ張ってこようとは思わずに、今まで自分がやってきた俳優人生の中から得たものでやっていこうと思いました。
出演:遠藤憲一,三浦誠己,武田梨奈,尾高杏奈,趙珉和,勝矢,烏丸せつこ,木下ほうか,寺島進,木村祐一
監督:榊英雄 原作・脚本:丸野裕行「木屋町 DARUMA」(オトコノアジト電子書籍出版)
プロデューサー:榊英雄、丸野裕行 音楽:榊いずみ キャスティング:木下鳳華 撮影:今井裕二
美術:井上心平 照明:鹿野克巳 録音:山口満大 編集:清野英樹 助監督:山口雄也
ラインプロデューサー:氏家英樹 主題歌:「空が泣いている」masami
制作プロダクション:ファミリーツリー 配給:ファミリーツリー アークエンタテインメント
製作:「木屋町DARUMA」製作委員会 © 2014「木屋町DARUMA」製作委員会
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