矢崎仁司 (監督) 映画『無伴奏』について【4/5】
2016年3月26日(土)、新宿シネマカリテ他全国ロードショー
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――現場の雰囲気はいかがでしたか?
矢崎 よかったと思いますよ。僕がいちばん悪いんです、わがままで、優柔不断で(笑)。僕がいなければもっと早く終わっていたかもしれないです。
――(笑)。そうなんですか? 撮り直しなどもされるんですか?
矢崎 普段は絶対リテイクはしないんですけど、今回は竹やぶのシーンで1回しましたね。竹やぶの隣りに、映らないんですけど川が流れていて、そこに陽が当たるときれいなんです。撮影日は曇りで、どうしてもその日に撮らなければダメというスケジュールだったんですが、「今日がんばって撮るので、明日の午前中晴れたらもう1回同じシーンを撮らせてくれないか」と助監督の塩入(秀吾)さんにお願いをして、そうしたらラッキーなことに次の日晴れていたので。
――粘った甲斐があっていい画が撮れましたね。
矢崎 もっと映像を信じた作品が日本映画に溢れたらいいのになと思いますね。映像よりも物語のほうを優先しているような感じがするので、もっと映像を信じる作家がいっぱい出てくればいいのになと思います。
――この作品の映像美は素晴らしかったですね。惹き込まれました。
矢崎 いつもお願いしている撮影の石井(勲)さんと照明の大坂(章夫)さんのコンビで、茶室の闇は、最近の日本映画にはない闇が見れるんじゃないかなと思います。
――撮影では1970年ごろという時代の再現が大変だったと思います。
矢崎 そうですね。しかも思いっきり時代が違うのであればあきらめて作るしかないですけど、まだそれっぽい街を探せるという時代なので。本当にすごいロケハンをして、(2014年の)12月の終わりに仙台に行ったんですけど、今の仙台は渋谷の街と変わらないので仙台で撮影するのは難しいと結論付けて帰ってきて、(15年の)正月に山梨のロケハンをして、そこから栃木、千葉と回って2月中旬にはクランク・インしていますからね。
――全然違和感なく、あの当時としか思えない素晴らしい風景になっていました。響子が暮らす愛子おばさんの家が趣きあって素敵でしたね。
矢崎 あの家もインしたときにはまだ決まっていなくて、制作部の後藤(一郎)さんがよく粘って見付けてくれましたよ。古い家はあるんですけど、住まわれていると窓はサッシにしてしまいますから、本当に大変なんです。
――街なかの撮影のときなどは、時代的に映り込んではいけないものがいろいろありますよね?
矢崎 かなり調べてもらって、撮影中に目に見える範囲で気付いたものは見えないようにしているんですけど、編集中に「ここに防犯カメラが」ということがありましたね。それで防犯カメラだとかのその時代にはないであろうというものはVFXの小関(一智)さんにCGで消してもらいました。その消す時間のほうが大変だったかな(苦笑)。
出演:成海璃子,池松壮亮,斎藤工,遠藤新菜,松本若菜,酒井波湖,仁村紗和,斉藤とも子,藤田朋子,光石研,松嶋亮太,
中村無何有,海音,関本巧文,田中貴裕,池浪玄八
監督:矢崎仁司 原作:小池真理子
製作:重村博文,川村英己,西田宣善 プロデューサー:登山里紗,山口幸彦,楠智晴 脚本:武田知愛,朝西真砂
ラインプロデューサー:野村邦彦 撮影:石井勲 照明:大坂章夫 録音:吉田憲義 美術:井上心平
音楽:田中拓人 編集:目見田健 衣裳:宮本茉莉,江頭三絵 ヘアメイク:宮本真奈美 音響効果:佐藤祥子
助監督:塩入秀吾 制作担当:三浦義信 主題歌:「どこかへ」 Drop’s (STANDING THERE, ROCKS / KING RECORDS)
配給:アークエンタテインメント 製作:「無伴奏」製作委員会(キングレコード/アークエンタテインメント/オムロ)
© 2015「無伴奏」製作委員会 R15+
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