インタビュー
矢崎仁司監督/『無伴奏』

矢崎仁司 (監督)
映画『無伴奏』について【1/5】

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2016年3月26日(土)、新宿シネマカリテ他全国ロードショー

直木賞作家・小池真理子の半自叙伝的小説を、『ストロベリーショートケイクス』『スイートリトルライズ』など近年原作もので高評を得ている矢崎仁司監督が映画化した『無伴奏』が、間もなく公開を迎える。日本中に闘争の嵐が吹き荒れた1969年、仙台で暮らす女子高生を中心に、多感な恋愛に揺れ動く若者たちを描いた青春ストーリーは、俳優、スタッフのひとりひとりを尊重する矢崎監督流の映画作りで生き生きとした映像化に成功。入念に再現されたあの時代の風景の中、背伸びした少女が出会いと別れを通して成長していく瑞々しさは、どんな世代の心にも切なさを呼び覚ますだろう。矢崎監督に作品に込めた想いを伺った。 (取材:深谷直子)
矢崎仁司 山梨県出身。日本大学芸術学部映画学科在学中に、『風たちの午後』(80)で監督デビュー。2作目の『三月のライオン』(92)はベルリン国際映画祭ほか世界各国の映画祭で上映され、ベルギー王室主催ルイス・ブニュエルの「黄金時代」賞を受賞するなど、国際的に高い評価を得た。95年、文化庁芸術家海外研修員として渡英し、ロンドンを舞台にした『花を摘む少女 虫を殺す少女』を監督。そのほか監督作品に、『ストロベリーショートケイクス』(06)、『スイートリトルライズ』(10)、『不倫純愛』(11)、『1+1=1 1』(12)、『太陽の坐る場所』(14)、『××× KISS KISS KISS』(15)などがある。
Story 1969年、反戦運動や全共闘運動が起きていた激動の時代。仙台第三女子高3年の野間響子は、親友と制服廃止闘争委員会を結成し、革命を訴えシュプレヒコールをあげる日々をおくりながらも、実はベトナムにも安保にも沖縄にも強い想いがあるわけではなく、学園闘争を真似しているだけの自分に嫌気がさしていた。そんなある日、響子は、親友に連れられて入ったクラシック喫茶「無伴奏」で、フランクだがどこか捉えどころのない大学生・渉と、渉の幼い頃からの親友でニヒルな祐之介、祐之介の恋人で奔放な魅力を放つエマの3人に出会う。「無伴奏」で会って話をするうちに、いつしか響子は渉に惹かれていく。初めてのキス、初めてのセックス。“革命”以上に刺激的な恋の魔力に響子が囚われていたある日、思いもよらない衝撃的な事件が起こる――。
矢崎仁司監督 『無伴奏』――若者たちが情熱的に生きた60年代・70年代を描いた映画は、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』(08)や『マイ・バック・ページ』(11)など最近でも作られていますが、この『無伴奏』は政治活動には関われなかったような若者も心の中で革命を起こしていたということを感じさせて、とても面白かったです。

矢崎 ありがとうございます。

――小池真理子さんの原作のどんなところに惹かれたのですか?

矢崎 原作を読んだときに、登場人物たちがみんな愛おしかったというか好きになって、「活字の人物たちを生身で見たい」と思いました。僕自身もあの時代にはちょっと乗り遅れた世代なので、真っ向から乗らないあの子たちに、初めから共感があったのかもしれません。でも響子のことは本当に好きになりましたね(笑)。そのあと映画化するにあたって初めて小池真理子さんにお会いしたときに、小池さんがすごく美しい方で、彼女が「響子は私です」とおっしゃったので、もう本当に愛してしまいました。

――(笑)。それは小池さんに対してですか?

矢崎 そうですね。ですから撮影中もどこか成海(璃子)さんの向こうに高校生だったころの小池さんがいましたね、僕の中では。

――監督はインタビューで「原作ものを撮るときは原作者がいちばんの観客だ」と語られていましたよね。この作品に関しても、小池さんに喜んでもらえる作品を作ろうとされたのだと思います。映像化するために、小池さんの他のエッセイなどもかなり研究されたとのことですね。

矢崎 小池さんにとって本当に思い入れのある時期だったと思うんですよね、仙台で過ごされた17歳、18歳ぐらいの何年間は。だからその当時のことが他のエッセイにすごく書かれているんですよ。それはすごく参考になったし、「響子は私です」と言われてしまった以上、できるだけプレゼントを置きたいなというのがありました。

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無伴奏 2015年/日本/カラー/16:9/5.1ch/132分
出演:成海璃子,池松壮亮,斎藤工,遠藤新菜,松本若菜,酒井波湖,仁村紗和,斉藤とも子,藤田朋子,光石研,松嶋亮太,
中村無何有,海音,関本巧文,田中貴裕,池浪玄八
監督:矢崎仁司 原作:小池真理子
製作:重村博文,川村英己,西田宣善 プロデューサー:登山里紗,山口幸彦,楠智晴 脚本:武田知愛,朝西真砂
ラインプロデューサー:野村邦彦 撮影:石井勲 照明:大坂章夫 録音:吉田憲義 美術:井上心平
音楽:田中拓人 編集:目見田健 衣裳:宮本茉莉,江頭三絵 ヘアメイク:宮本真奈美 音響効果:佐藤祥子
助監督:塩入秀吾 制作担当:三浦義信 主題歌:「どこかへ」 Drop’s (STANDING THERE, ROCKS / KING RECORDS)
配給:アークエンタテインメント 製作:「無伴奏」製作委員会(キングレコード/アークエンタテインメント/オムロ)
© 2015「無伴奏」製作委員会 R15+
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2016年3月26日(土)、新宿シネマカリテ他全国ロードショー

2016/03/23/21:51 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー

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