サトウトシキ (監督)
映画『名前のない女たち うそつき女』について【6/6】
2018年2月3日(土)~3月2日(金)新宿K’s cinemaにて公開 他全国順次
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――お話をうかがって、サトウ監督がとても脚本を尊重し、真摯に取り組まれる方だということを感じました。中でもこのペディキュアのくだりは印象的ですね。
サトウ そうですね。脚本が1本の映画になるかどうかというのは、その作家が持つオリジナルな何かが入っているかというところにあると思う。そして今回加瀬が書いた中でもっとも重要なのはこの台詞なんですよ。だからそのへんを描けば他の映画とは違ってくるかもしれないと思いました。
――加瀬さんは映画を観て何か言われました?
サトウ 加瀬は映画を観てゴキゲンだったなあ(笑)。試写で見せて、そのあと飲んだんですけど終始ニコニコしていましたよ。何か言ってくるような子じゃないですけど、とても上機嫌でした。まあ脚本家の仕事は脚本を書いたところで終わっていますからね。監督に預けて仕上げはお任せ、あとは楽しみ、ぐらいにね。
――それは気に入られたということですよね。世界観の出たきれいな映画になって。
サトウ そうですか? きれいな映画なんて言われると困っちゃうな(苦笑)。
――(笑)。映画を撮り終えてあらためて感じたことはありますか?
サトウ 撮る前はそんなことは考えていなかったんですけど、終わってみて、森崎東監督の『ロケーション』(84)というピンク映画の現場スチールカメラマンが書いたノンフィクションを原作にした劇映画のことを思い出したりして、ああいうものが撮りたいというのがあったのかな?って。あちらは人情喜劇なのでぜんぜん違いますけどね。AV業界なんてこれだけ正体がわかってきちゃうと裏社会としては描けないじゃないですか? 少し前だったらAV業界ってとてもヤクザな世界だと思えたかもしれないけど、今はそういうふうにはならないからそれをやっても仕方がない。あとはやり方としては「おしん」みたいなことかなと。仕事がないからお金がないんですよね。そういう人間ドラマを作りました。
――K’s cinemaでは約1ヵ月の公開が決まっているということで、多くの方に観てもらえそうですね。やはり男と女の映画になっているなと思うんですが、特に女性に観てほしいです。
サトウ 小さい映画ですからみなさんのお力を借りて、ひとりでも多くの方に観ていただけたらと思いますね。観ていろんな意見があるのは当たり前だし、特に映画初出演の城さんや円田さんは感想を楽しみに待っていると思いますから、それにはまず観てもらいたいと思います。
( 2018年1月26日 新宿K’s cinemaで 取材:深谷直子 )
出演:吹越満,城アンティア,円田はるか,笠松将,小南光司,吉岡睦雄,不二子,クノ真季子,川瀬陽太
監督:サトウトシキ(「ジャイブ」「ちゃんこ」「モーニングセット、牛乳、春」)
原作:中村淳彦「名前のない女たち 貧困 AV 嬢の独白」(宝島社)
プロデューサー:森原俊朗・小林良二・橘慎 脚本:加瀬仁美 撮影監督・スティル・編集:小川真司(J.S.C.)
録音:岩間翼 助監督:大城義弘 音楽:入江陽 ラインプロデューサー:川上泰弘
制作会社:ソリッドフィーチャー 配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:「名前のない女たち うそつき女」製作委員会(オデッサエンタテイメント・渋谷プロダクション)
主題歌:アクメ『CALL MY NAME』 ©「名前のない女たち うそつき女」製作委員会
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