奥田 庸介 (監督) 映画『ろくでなし』について【2/5】
渋谷ユーロスペース、新宿K's cinemaにて上映中!
名古屋・シネマスコーレ、大阪・第七藝術劇場、京都・京都みなみ会館、神戸・元町映画館、群馬・シネマテークたかさき、大分・シネマ5、横浜・シネマ・ジャック&ベティ ほか全国順次公開!
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――メインのお二人、大西信満さんと渋川清彦さんがとても魅力的でした。他の俳優さんもいい顔をしていて、奥田監督はやっぱり演出がパワフルだなと。監督の思う形ではないのかもしれませんけどしっかりした群像劇になって、結果的によい選択だった気がしますね。
奥田 一昨年のフィルメックスで、審査員をされていた塩田明彦さんに、「奥田くんはとにかく何かしら動いて世の中に発信していった方がいい。そうじゃないと忘れられちゃうから。パワーがあるんだから、どんなことでもいいから動いていたほうが絶対に得だから」と言っていただいて、俺はそれにいたく感銘を受けて、「塩田さんいい人だなあ。そうだよな」と思って、とにかく何かしら動こうと思っていたんですよ。で、「動く」を取るかプライドを取るかで、その間を行くつもりだったんですけど、やっぱりプライドはズタズタになって。『東京プレイボーイクラブ』(11)のあとの報われない3年、4年を経て、『クズとブスとゲス』を撮って、「よし、これから俺はアーティストだ、死ぬまで闘っていくんだ」と思った矢先にこういうことがあって、俺の完璧なアートが欠けてしまったなあと。でもまあ、こんな話をして『ろくでなし』をディスってるみたいに聞こえてしまうかもしれないけど、これはこれなんですよね。俺には納得できないところは正直あったし、それを承知で撮ったんですけど、できあがったものはできあがったもので別ですから。俺の今までの作品が好きな人は物足りないと思うだろうけど、俺の作品が嫌いだった人ほどいいと思ってくれる可能性があるかなと。観て何か感じてくださる方がいるのなら、それはとても尊いことだなと思います。
――今回は渋谷で撮っているというのも新鮮でしたね。今まではどことも知れない場末の街が舞台になっていましたが。
奥田 (外のほうを示して)そこっすよ。
――(笑)。はい、見覚えある風景ばかりなんですけど、とてもいい感じに映っていて、映像的にスケールアップしているのを感じました。渋谷を舞台にしたのは何か意識してのことですか?
奥田 パンフレットにも書いたんですけど、スタッフもこっちの人だし仕事もこっちだし、映画の中心は東京で。福島で映画を撮ると言っても今の状況では無理だから、仕方なく東京にいるんですけど、情報も人も何もかも飽和していて、異常だと思うんですよね。その中心だから渋谷にしました。ただまあ愛憎ですよね。そんな東京にどことなく惹かれている自分もいるんだと思います。
――大西信満さんと渋川清彦さんの共演というのがとてもそそるものですが、このお二人をキャスティングした理由は?
奥田 ひろし役は渋川さんにすぐに決まりましたね。イメージがピッタリで。でも一真役はなかなか決まらなくて。最初一真はケンカが強いという設定だったんですよ。「ケンカが強いって誰だろう? 格闘家かなあ……」みたいに難航して全然決まらなくて。で、ケンカが強いんじゃなくて、すぐにケンカをする狂犬みたいな男にしたらどうか?ということになって、土壇場で大西さんに。
監督:奥田庸介
プロデューサー:村岡伸一郎 アソシエイトプロデューサー:山本政志 撮影:高木風太 照明:秋山恵二郎
録音:根本飛鳥 美術:黒川通利 音楽:しゅんすけフリーローダー スチール:江森康之 編集:小野寺拓也
出演:大西信満,渋川清彦,遠藤祐美,上原実矩,毎熊克哉,大和田獏
配給宣伝:C・C・P ©Continental Circus Pictures
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