斎藤 久志 (監督) 映画『空の瞳とカタツムリ』について【2/5】
2019年2月23日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
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――縄田かのんさんのお芝居が素晴らしかったです。当て書きのようなところもあったのでしょうか?
斎藤 美早さんは、脚本執筆の時点では縄田さんに会ってはいないです。写真は見ていると思いますが。だから当て書きということはないと思います。
――とても堂々としていましたね。他のキャストもガッチリとはまっていましたが、どのように選ばれたんですか?
斎藤 十百子役の中神円さんはオーディションです。アクターズ・ヴィジョンはいろんな監督のワークショップをやっていますので、一度でも受講したことのある人たちにオーディションの連絡をして、応募書類である程度選考をして2、30人に会いました。その中に中神さんがいたということですね。三浦貴大さんは、縄田さんと同じ事務所なんですよ。プロデューサーから「貴也役には三浦さんがいいんじゃないか?」と提案がありました。
――三浦貴大さんは荒井美早さんの幼稚園の同級生だったそうですね。美早さんが湯布院映画祭で語られていたのを記事で読んでちょっと驚きました。
斎藤 そうです。そういう余談で言うと、僕は山口百恵さんの大ファンだったんです。だからその息子と仕事をしているんだ、という感慨が少しありましたね(笑)。
――(笑)。メインのもうひとり、鏡一役の藤原隆介さんはいかがですか?
斎藤 藤原隆介さんもワークショップ受講生としてオーディションを受けて来てくれました。それ以外のキャスティングは、僕がお願いしたのとプロデューサーがオファーしているのと両方あります。
――メインの4人にはみずみずしさと真摯さが感じられました。観念的な台詞もあり、非常に世界観のある脚本なので、俳優さんたちは入り込むためにそれぞれ役作りなどが必要だったろうと思います。
斎藤 僕は俳優ではないので、役作りってどういうことをしているのかわからないんですけど、例えば縄田さんは舞台の経験のある方なので、役作りしていましたね。ただ、僕はそれが嫌だったんです、役を作っているのが。もうこの二人を選んでしまっていて、直感的にこの二人でいけると思っているわけですから、彼女たちそのままが映ってくれればいいと思っているんです。台本にある台詞をしゃべったときに俳優がいちばん自然に見えるようになればいいなと思って撮っているので、作ったものはできるだけなくなってくれと思っていましたね。
――ヌードシーンや大胆な性描写もありましたが、みなさん体当たりで堂々と演じているのでとても自然に観られました。日本映画はなかなかそれができず、歯がゆい思いをすることが多いです。
斎藤 彼女たちが偉かったですね。僕がやったのは、いわゆるカラミのシーンをカットを割らないで流れの中で成立させようとしました。それはカラミといえどもお芝居だと、感情のやりとりだと思っているからで。もちろんそういうシーンでは映っていけないものが映るとNGになるので角度だとかに気をつけるんですが、その中でもできるだけ二人の行為が自然な感情のやりとりに見えることだけを考えてやっています。あとはそれに応えてくれた二人がすごかったなと思っています。
出演:縄田かのん,中神円,三浦貴大,藤原隆介,利重剛,内田春菊,クノ真季子,柄本明
監督:斎藤久志 脚本:荒井美早 企画:荒井晴彦 タイトル:相米慎二
プロデューサー:成田尚哉 製作:橋本直樹,松枝佳紀 撮影:石井勲 音楽:阿藤芳史 照明:大坂章夫
録音:島津未来介 美術:福澤裕二 編集:細野優理子 衣装:江頭三枝 ヘアメイク:宮本真奈美
整音:竹田直樹 音響効果:井上奈津子 助監督:岸塚祐季 制作担当:三浦義信
製作:ウィルコ/アクターズ・ヴィジョン 配給:太秦 © そらひとフィルムパートナーズ
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