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第68回 カンヌ国際映画祭 脚本賞受賞作品
或る終焉

『或る終焉』 『或る終焉』場面1

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2016年5月28日(土)よりBunkamura ル・シネマほか全国順次公開

STORY

終末期の患者をケアする看護師デヴィッド。
死を乞う患者を前にしたとき、彼はどう命に向き合うのか。
ある看護師の崇高なる献身愛と葛藤を描いたサスペンスフルなヒューマンドラマ

デヴィッド (ティム・ロス) は、 死を迎える終末期患者( 余命半年以内の人 )の看護師をしている。妻ローラ(ネイレア・ノーヴィンド)と娘ナディア(サラ・サザーランド)とは、息子ダンの死をきっかけに疎遠となり、いまは一人暮らし。彼の日常は、患者の在宅看護とエクササイズを繰り返す単調なものだった。デヴィッドが、看護師として患者と築き上げる関係はとても親密なものだった。それは時として、本当の家族以上であり、周囲の人間が怪訝に思うことさえあった。患者が望む以上に彼もまた、患者との絆を必要としていたのだ。
エイズの末期患者サラ(レイチェル・ピックアップ)を看取ったあと、次に担当となったのは脳卒中で半身麻痺となった老人ジョン(マイケル・クリストファー)だった。口は悪いがジョークの好きな彼とデヴィッドの関係は良好だったが、2人の様子を不審に思った家族がデヴィッドをセクハラで訴えると言い出す。ジョンに近寄ることを禁じられたデヴィッドは職を失うことになった。
そんな中、デヴィッドは離れて暮らす娘ナディアと久々に再会する。将来医者を目指す彼女の近況に触れながら、彼は亡くなった息子ダンのことを思い出すのだった。やがてデヴィッドは、末期ガンに侵された中年女性マーサ(ロビン・バートレット)を担当することになる。最初はデヴィッドに心を閉ざしていた彼女だったが、彼の献身的な態度に徐々に心を許してゆく。しかし、化学療法の副作用に苦しんでいたマーサは身も心も追い詰められていた。そしてある日、マーサはデヴィッドに懇願する。
「化学療法はもうたくさん……手を貸してほしいの。」
安楽死の幇助を意味するかのようなその言葉に、デヴィッドは――。

『或る終焉』場面2 『或る終焉』場面3
INTRODUCTION

世界を騒然とさせたその“結末”にあなたの胸は貫かれる!
イニャリトゥ、キュアロンにつづくメキシコ次世代の新鋭が問う人生の終末。

アカデミー賞®受賞の功績を持つアレハンドロ・G・イニャリトゥやアルフォンソ・キュアロンなどの世界的巨匠を輩出し、常に一歩先を行く大胆かつ繊細な視点と唯一無二のエンターテイメント性で世界を熱狂させてきたメキシコの映画芸術。彼らにつづき、メキシコ次世代を担う新たな才能は、あくまでクールなまなざしが持ち味の新鋭だ。2009年に長編監督デビューをして以来、わずか2作目の『父の秘密』(12)が第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にてグランプリ受賞。続く、3作目の本作が第68回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞と、映画監督としてはまだ短いキャリアにもかかわらず、世界最高峰の映画祭を魅了してやまない俊英ミシェル・フランコである。36歳という若さでありながら“人間”を深く抉り出す、研ぎ澄まされたその観察眼に私たちは驚きを隠しえない。
本作は、今日最も注目されている終末期医療をテーマに、“看護師”と“患者”という“親密な他人”の関係性をあくまでリアルに定点観測のごとく冷静に映し出す。監督自身の体験談から紡ぎだされた絶対的説得力のある脚本、一方で、作品全体に漂う決して説明的ではない静謐な余白は、観る者に挑発的なまでにあらゆる感情と憶測をもたらす。そして、想像をはるかに超えたその“命のゆくえ”は私たちに、美しくも強烈な余韻を残してくれるに違いない。

『或る終焉』場面4 『或る終焉』場面5

新人の才能にベタ惚れし、自ら熱烈逆オファーが実現!
キャリア30年以上、アカデミー賞®俳優ティム・ロスが見せた真骨頂

本作の主人公デヴィッドを演じたのは、ハリウッドの華やかなスターとは一線を画す、いぶし銀の魅力で長年映画界を牽引してきたイギリス人俳優ティム・ロス。
C・タランティーノ監督『レザボア・ドッグス』(92)でその名を広く知られるようになり、M・ケイトン=ジョーンズ監督『ロブ・ロイ/ロマンに生きた男』(95)ではアカデミー賞®助演男優賞にノミネートされた。主演を務めたG・トルナトーレ監督『海の上のピアニスト』(98)は世界的に評価され、T・バートン監督『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(01)では全身特殊メイクで猿を演じるなど、主演としてバイプレイヤーとしてさまざまな監督に愛され、幅広いキャラクターをこなしてきた名優だ。そのキャリアは実に30年以上、出演作は50本以上にのぼる。そんな彼の長い役者人生の中でも、本作への思いは特別だ。
ミシェル・フランコ監督の前作『父の秘密』がカンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリを受賞した際に審査員長だったティム・ロスは、その才能に惚れ込み自ら「君の映画に出たい」と監督に逆オファーしたという。本作においては、主演以外にエグゼクティブプロデューサーとしても携わっており、その思い入れの深さがうかがい知れるだろう。
患者の残りわずかな最期のときを、家族をも超越した距離感で共に過ごす看護師デヴィッド。その存在感は神がかったように崇高でありながら、反面、心の底に沈殿する闇も感じさせる。決して台詞は多くはないが、実際の医療現場に出向いて役作りをしたというリアリティと、ポーカーフェイスの瞳がたたえる憂いに、これまで観たことのない俳優ティム・ロスの真骨頂を感じるに違いない。

『或る終焉』場面6 『或る終焉』場面7 『或る終焉』場面8 『或る終焉』場面9
CREDIT
製作総指揮:ティム・ロス
製作・監督・脚本:ミシェル・フランコ『父の秘密』
出演:ティム・ロス『海の上のピアニスト』,サラ・サザーランド,
ロビン・バートレット,マイケル・クリストファー
2015/メキシコ、フランス/ビスタサイズ/DCP/94分/カラー/英語
日本語字幕:大西公子/原題『 CHRONIC』/映倫 G 提供:ギャガ/配給・宣伝:エスパース・サロウ
© Lucía Films–Videocine–Stromboli Films–Vamonos Films–2015 © Crédit photo ©Gregory Smit

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2016年5月28日(土)よりBunkamura ル・シネマほか全国順次公開

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2016/05/09/20:18 | トラックバック (0)
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