『ひそひそ星』公開記念!
シネマカリテセレクション園子温監督作品上映
2016年5月7日(土)~13日(金)、連日18:30より
新宿シネマカリテにて上映
『部屋 THE ROOM』©アンカーズプロダクション
©2012 鈍牛倶楽部/ピクチャーズデプト/園子温
『桂子ですけど』
©2012 鈍牛倶楽部/ピクチャーズデプト/園子温
『自殺サークル』©2002 自殺サークル製作委員会
『恋の罪』©2011「恋の罪」製作委員会
近年、漫画原作を映画化した大作を撮り続けていた園子温監督の、久々のインデペンデント作品となる『ひそひそ星』の公開を記念して、5月7日(土)~13(金)までの一週間限定で園子温監督の旧作が新宿シネマカリテで特集上映される。
『ひそひそ星』は、年をとらないロボットが遠く離れた星から星へと、人間たちの配達物を運び届けていく姿を、モノクロームの映像で表現したSF作品。監督が20代の時に書き留めていた物語を土台にした本作は、監督自身の言によると「記憶に関する映画」だそうで、東日本大震災以降の私たちの記憶と、大古から受け継がれてきた人間の記憶を重ね合わせたファンタジーという、インデペンデント映画ならではの野心的な作品になっている。
この特集上映では『ひそひそ星』の表現を彷彿とさせるモノクローム作品『部屋 THE ROOM』(93)を筆頭に、『桂子ですけど』(97)『自殺サークル』(02)などのソリッドな感性をそのままフィルムに焼きつけたような初期作品、そして『愛のむきだし』(09)『冷たい熱帯魚』(10)『恋の罪』(11)といった観客を挑発するようなメッセージ性を含んだ円熟作品など、監督自身のセレクト作品も含む全7作品が日替わりで上映される。
なお、特集上映初日となる5月7日(土)には、この日に上映される『部屋 THE ROOM』のプロデューサーで、園子温監督を追いかけたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』にも出演している映画プロデューサーの安岡卓治氏と、園監督を最も知る映画人といっても過言ではない映画評論家のモルモット吉田氏によるトークショーが、5月11日(水)にはモルモット吉田氏と映画秘宝の現編集長である田野邊尚人氏によるトークショーが開催される。いずれも園子温監督とゆかりのある映画人によるトークとのことで、思いがけない裏話が聞けるかもしれない。園子温監督ファンはぜひ注目して欲しい。公式サイト
上映作品
- 5月7日(土)『部屋 THE ROOM』(93年/92分/35mm) 出演:麿赤兒,洞口依子
※上映後に安岡卓治(プロデューサー/予定),モルモット吉田(映画評論家)によるトークイベント(約20分) - 5月8日(日)『愛のむきだし』(09年/237分/35mm) 出演:西島隆弘,満島ひかり ※途中休憩あり(10分)
- 5月9日(月)『冷たい熱帯魚』(10年/146分/35mm) 出演:吹越満,でんでん
- 5月10日(火)『恋の罪』(11年/143分/35mm) 出演:水野美紀,冨樫真,神楽坂恵
- 5月11日(水)『桂子ですけど』(97年/61分/BD) 出演:鈴木桂子,内田栄一
※上映後にモルモット吉田(映画評論家),田野邊尚人(映画秘宝)によるトークイベント(約45分) - 5月12日(木)『地獄でなぜ悪い』(13年/130分/DCP) 出演:國村隼,長谷川博己
- 5月13日(金)『自殺サークル』(02年/99分/35mm) 出演:石橋凌,永瀬正敏
★『ひそひそ星』、『園子温という生きもの』の前売券どちらか1枚提示で鑑賞料金1,000円/2作品提示で鑑賞料金500円 ※インターネットからのチケット購入ではご利用いただけません。
2016年5月7日(土)~13日(金)、連日18:30より
新宿シネマカリテにて上映
ひそひそ星
5月14日(土)新宿シネマカリテほかにてロードショー
大島新監督ドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』と同時期ロードショー
構想25年。映画監督・園子温が、本当に撮りたかった、 むきだしの作家性をぶつけた珠玉の野心作
常に時代を挑発し、世の凝り固まった常識に疑問符を投げかける映画監督・園子温。本作『ひそひそ星』は、この鬼才が自ら2013年に設立したシオンプロダクションの第一回作品である。『地獄でなぜ悪い』(13)『ラブ&ピース』(15)と同じく、園子温が20代の時に書き留めていたオリジナルの物語が、“いま”を映す映画として満を持して産声を上げる。構想25年を経て結実したモノクロームのSF作品だ。
主人公はアンドロイドの女性。鈴木洋子“マシンナンバー722”は、昭和風のレトロな内装の宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、静寂に包まれた宇宙を何年も旅している。いくつもの寂しい星に降り立っては、すでに滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに大切な思い出の品などの荷物を届けるために……。
2014年10月に撮影された本作は、園子温の伴侶である女優・神楽坂恵を主演に、日本映画の最前線で活躍するなじみの超一流スタッフたちで作り上げられた。東宝スタジオに大きな宇宙船のセットを組むと同時に、“3.11”の傷跡濃い福島県の富岡町・南相馬・浪江町に赴きロケを敢行。地元住民たちの協力を得て、記憶と時間、距離への焦燥を、“ひそひそ”と声のトーンを落とした特異なセリフ回しで描き出した。またカリスマ・ミュージシャンの遠藤賢司、ベテラン女優の森康子らが数少ない“人類”の役で出演している。
この静謐で、たおやかながらも、深い哀切に裏打ちされた独特のポエジーに満ちた映画世界は、性や暴力といったセンセーショナリズムの人ではなく、元来の詩人としての園子温を全世界に印象づけるだろう。例えば樹木や風、水に浸された廃墟美のイメージは、ロシア出身の巨匠監督、アンドレイ・タルコフスキー(1932年生~86年没)の残響を感じさせるものだ。
もちろんモノクローム映像は園子温の初期の傑作『部屋/THE ROOM』(93)を想い出させるし、“3.11”を経たあとの未来展望の考察は、『ヒミズ』(12)『希望の国』(12)に続く、今の日本人に課せられた(しかし一部には早くも忘却されつつもある)最も重要なテーマである。
すでに国内外で人気監督となった園子温が、かつての大島渚や若松孝二といった偉大な先人に倣うように、自身の独立プロダクションで、むきだしの作家性をぶつけた珠玉の野心作を放った。
大型の商業映画から先鋭的なインディペンデント作品まで、縦横無尽にスクリーンを駆け回り始めた鬼才の新たなステージが始まる──。
2015年9月カナダのトロント映画祭でワールドプレミアされた本作は、トロント映画祭に毎年登場する園子温作品『希望の国』(12)『地獄でなぜ悪い』(13)『TOKYO TRIBE』(14)とは、まったく異なる趣のミニマリスト・サイファイ(Minimalist Sci-Fi)が現れたと会場は熱狂の渦となり最優秀アジア映画賞が授与された。
プロデューサー:鈴木剛、園いづみ 企画・制作:シオンプロダクション
出演:神楽坂恵、遠藤賢司、池田優斗、森康子
福島県双葉郡浪江町の皆様、福島県双葉郡富岡町の皆様、福島県南相馬市の皆様
撮影:山本英夫 照明:小野晃 美術:清水剛 整音:小宮元 編集:伊藤潤一 衣装:澤田石和寛
制作:山内遊 助監督:綾部真弥 キャスティング:杉山麻衣 ラインプロデューサー:船木光
配給:日活 宣伝:ミラクルヴォイス ©SION PRODUCTION
2016/日本/モノクロ(パートカラー)/ビスタ/100分
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