インタビュー
すずきじゅんいち監督1

すずきじゅんいち
(映画監督)

  • 映画『ホーンテッド・ハイウェイ』について

『ホーンテッド・ハイウェイ』 は
『デスライド』と改題されて
5月25日にDVD発売

『ホーンテッド・ハイウェイ』公式Web:http://www.haunted-highway.com/

すずきじゅんいち(映画監督) 1952年、 神奈川県茅ヶ崎市生まれ。日活株式会社に入社後、市川崑や神代辰巳をはじめ25人の作品で助監督につく。 1984年ににっかつの専属監督から離れ、フリーランスになり、以後数々の映画を監督。 1986年には青年海外協力隊員として啓蒙映画製作の為、モロッコに1年赴任。1988年に『マリリンに逢いたい』を監督し、 文部省選定及び優秀映画鑑賞会推薦になり250万人の観客動員し、配給収入が洋画を含めベストテンに入る大ヒットを記録。 1990年に文化庁派遣在外芸術家研修制度によりニューヨーク大学大学院、映画閣下客員研究員として渡米し、その時にアメリカにて映画 『イン・ザ・スープ』(スティーブ・ブシェミ主演)を製作。『イン・ザ・スープ』 はサンダンスフィルムフェスティバルでグランプリ及び審査員特別賞を受賞する。2001年に「ひとりね」(榊原るみ主演)を監督。現在は、 アメリカを拠点にして日本映画の配給も手掛ける。

西村昭五郎や曾根中生の助監督から(市川崑監督の『古都』の助監督も。ホリ企画制作で東宝配給だったが、 日活が下請けをやっていたため)にっかつロマンポルノの監督として『お姉さんの太股』などの作品で知られる、 すずきじゅんいち監督がアメリカで撮った『ホーンテッド・ハイウェイ』が、『デスライド』と改題されてDVD化される。 吉川ひなのの出演も話題のホラー映画である。現在はアメリカを拠点に活動する、すずきじゅんいち監督に話しを聞いた。
ホーンテッド・ハイウェイ1――アメリカが舞台ですが、日本の怪談的な要素を入れたのは?

すずき アメリカ人は首が飛んで血が出たり、 人が殺されたりすることが恐怖だと思っているけど、日本にはそうではない"精神的な怖さ"がありますよね。アメリカで撮るとはいえ、 日本人の僕が監督するわけだから、アメリカ人とは違う視点でやってみたかったし、ホラーというよりもこれは、心理的なドラマなんです。

――主人公の恋人役での吉川ひなのさんの出演も話題です。

すずき なかなか頭のいいコでね、本音で話せるんですよね。 モデルという設定で、彼女はスタイルがいいし、アメリカ人からも『綺麗だ』って言われていましたね。

――劇中に登場する湖は『13日の金曜日』の舞台になったところだとか。

すずきじゅんいち監督2すずき 第一作でジェイソンが溺れた湖ですね。 怪しい雰囲気のところで、天気の変化が激しかった。木の感じが良くて、 なかなかああいうシチュエーションの場所はロス周辺ではないんですよ。

――ロケハンにこだわったんですね。

すずき 霊気を感じさせるような木を探していたんです。 そうしたらどんどん田舎道に外れていってしまって。日本の怪談の恐怖の源泉には、水や木が関連しているんですね。 幽霊と蒸気って密接な関わりがあると思います。中田秀夫監督のハリウッド版『リング』も、 シアトルという雨の非常に多いところでロケしていましたね。

――完成まで大変だったとか。

すずき できないことがいっぱいあったんですよ。 予算のこともあって、撮影は14日になって、出来の良かった第二稿では撮れなかった。 いいわるいは別にして妥協しない監督はさすがですね。今作はプリプロに3ヶ月、撮影に半月、始めに雇った人間が使えずに仕上に6ヶ月で、 予定より4ヶ月遅れて完成しました。

――監督の経歴は日活ロマンポルノから動物モノまで多彩です。

すずき ロマンポルノだけでも『お姉さんの太股』 みたいな軽いなものからSM映画『妖艶 肉縛り』までいろいろです。(笑)

ホーンテッド・ハイウェイ2――『お姉さんの太股』は今も語り継がれている作品ですが、 脚本がトレンディドラマでも活躍される伴一彦さんでした。

すずき この映画はね、コンセプトが、 岡本かおり主演ありきだったんです。でも彼女は色黒で、色気ないし、スタイルも特別いいってわけではない。 そこで企画者と伴さんと僕とで毎日のように話し合って、彼女のいいところをとにかくフィーチャーしようと考えた。それで、 セクシーさで押すのではなく、健康的な明るいお姉さんキャラで行こう、というコンセプトをまず決めたんです。 さらに音楽をポルノでは使わないようなポップな『ほほにキスして』(水越けいこ)にしたことがポイントですね。脚本を作るために、 伴さんの家でいろんなレコードをかけながら話をしたのをよく覚えています。

――話しを『ホーンテッド・ハイウェイ』にもどすと、今作には奥様の榊原るみさんも少し出演されていました。

すずき まあ、彼女はずっと現場にいてくれたのでちょっとね。 秘書的な仕事で手伝ってくれて、そういう意味ではいろいろ支えてもらってます。監督って基本は孤独なんです。 スタッフもキャストもみんな監督を見て、隙あらば『この人の腕前ってどのくらいだろう』って決めようとするものなんですよね。 妻だけはそういうことがないから、唯一の味方とも言えますね。

ホーンテッド・ハイウェイ3――撮影の石坂拓郎氏の父は脚本家の山田太一だそうですね。

すずき 始めは本人が言わないので分からなかったですが、 そうですね。大変な現場でしたが、とてもよくやってくれました。『ホーンテッド・ハイウェイ』が撮影監督のデビュー作で、次に 『さくらん』を撮っています。

――今作はDVD化されるとアメリカで、スピルバーグの『ミュンヘン』を超える売り上げを記録したとか。

すずき 予告編がとてもよく出来て、幸いにも売れました。 海外で日本映画を売る仕事をしていますが、売れる映画は予告編とポスターのヴィジュアルがまず良くないとダメですね。ただ、 今作に関してはIMDBのUserCommentsを見るとガッカリしている人もいるようですが、 映画はまず観てもらうことが大事ですから、そういう意味では成功しましたね。 次作はUserCommentsでも評価を得たいと思っています。

取材/文:わたなべりんたろう

『ホーンテッド・ハイウェイ』公式Web: http://www.haunted-highway.com/

ホーンテッド・ハイウェイ  2006年 アメリカ
脚本・プロデューサー・監督:すずきじゅんいち
出演:ランド ギャンブル,吉川ひなの,ローラ・パットニー 他
5月25日にDVD発売

2007/04/27/14:36 | トラックバック (0)
わたなべりんたろう ,インタビュー
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