吉川 久岳(監督) ×
宮崎 大祐(脚本)
映画『ひ・き・こ 降臨』について【7/7】
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2014年11月29日(土)~12月4日(木)、シネ・リーブル池袋にて6日間限定レイトショー!
(聞き手:後河大貴)
――コンテンポラリーな恐怖という意味では、本作にはホラーの定番である、いわゆる“悲鳴”がありません。
吉川 現代の息苦しさを表現するために、今回はやめたんです(笑)。やっぱり、悲鳴はある種の解放なので。それを禁じて、恐怖のストロークを長くするっていうのは、黒沢清監督なんかが得意とされていますけどね。初日にラストシーンを撮ったんですけど、カメラがヒロインを追っていって悲鳴をあげるというのはよくある。でも、この作品にはそぐわないだろう、と。そこで秋月さんと話し合って、「カメラの向こうで見ている匿名的な人たちを睨みつけよう」と決めたんです。ゆかりは弱さゆえに罪を犯してしまうタイプの人間ですけど、追い詰められた小動物が生存本能を剥き出しにするように、カメラを睨み返す。そこまで追い詰められて初めて、現実に対して向き合えるんだ、と。ここで、全体の演出の方針も決まりました。
――最後に、おふたりの今後のご予定を教えてください。
宮崎 日本での公開がいつになるかはまだ決まっていませんが、アジア圏の監督たちとのオムニバス映画『Five to Nine』の一編を監督しました。豪華キャストでまたもノワールです。よりバイオレントに、よりエロチックに、鑑賞後は違う世界にぶっ飛べると思うので、是非、観ていただけたら、と。それから、来春に新作長編を撮影する予定で、現在、鋭意スケジュール調整中です。音楽映画なんすが、『ひ・き・こ 降臨』よりもさらにゴツゴツした、噛み砕きにくい作品になると思います(笑)。こちらも併せて、お楽しみいただけたらばと思います。
吉川 自分が仲間たちとやっている映像制作会社Lamp.で商業映像を撮りつつ、機を窺って、こういう野心的な作品を――骨太なエンタメを作り続けていきたいですね。できればもう少し予算がつくといいですけど(笑)。ただ、予算が大きくなると、必然的に縛りも厳しくなると思うので。制約を引き受けつつ、そのなかで、どう戦っていくかを模索していきたいですね。
――ご活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。
( 聞き手:後河大貴 )
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編集・監督:吉川久岳 脚本:宮崎大祐
出演:秋月三佳,小宮一葉,サイボーグかおり,針原滋,正木佐和,松本来夢,石橋征太郎,広瀬彰勇,西地修哉,末次政貴,河野良祐,加藤大騎,菅沼もにか,芦原健介,恒吉梨絵(友情出演)
プロデューサー:小田泰之 撮影:御木茂則 照明:松隈信一 録音:西岡正巳 効果:丹 雄二
衣裳:碓井章訓 ヘアメイク:佐々木愛 助監督:山下和徳 制作担当:牧 信介
製作・配給:アムモ98 © 2014 amumo 98
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