『闇刻の宴』監督陣インタビュー第3回
亀井 亨 (監督)
『幽閉confinement』について
2016年4月8日(金)~4月15日(金)、下北沢トリウッドにて連日19:00より上映
『心中エレジー』で知られる亀井亨監督が中心となって製作されたオムニバスホラー映画『闇刻の宴』が、4月8日(金)から4月15日(金)にかけて(※12日火曜日は定休日)、下北沢トリウッドにて上映される。本作は、亀井監督を含む5人の監督が、「女性の怖さ」をそれぞれの感性で切り取った6編のショートホラーを、オムニバスとして纏めた作品。前回の三宮英子監督に続き、今回は『幽閉confinement』のメガホンを取った、亀井監督へのインタビューをお届けする。
( 取材:岸 豊)
STORY 朽ち果てた部屋にひとり幽閉されたアカリ(アカリ)。彼女の手には、一体の人形。誰が、なぜ、何のために?意味も無く時間が過ぎていくことの恐ろしさに、アカリの精神は破壊されていく――。
亀井亨監督
――本作を撮影する際、何を主眼に置きましたか?
亀井監督 ホラーを撮る時、いつも最初に考えるのが、「何が怖いのか?」です。自分の中で「怖いもの」を探した時、「時間」というものの怖さ、時間を経て恐怖に感じていく事について考えました。老い、無限、破壊など色々ある中、自分の存在意義が無いまま、消されたまま、時間だけが進んでいく怖さもあるのではないか?と。そこで、誰なのか、目的もわからないままどこかへ閉じ込められたなら、人はどのように壊れていくのか?という事をテーマにしたのです。
――監督が考える、「女性の怖さ」とは?
亀井監督 私は、女性は男性に比べて耐える強度が強いと感じていて、その精神の崩壊を「怖さ」のピークにしようと考えました。女性に備わる恐怖に対する感情の逃がし方、結末に至る思考は、男性のそれと全く違うところに行き着くと思います。そうして観るうちに、人形が人間の女性に見えてくる事も、観客の「怖さ」に変換できればいいと思いました。
――本作の特徴である、物語の材料が極度に限定されていることについては?
亀井監督 俳優は無く、人形と人形遣いしかいない。空間は四畳半ほどのスペースのみ。台詞も使わず。自分にとっての映画表現を制約して、どのくらいの事が表現できるか挑戦してみました。ほぼ、人形師 綾乃テンの力量に頼りっきりですが…。
――そもそも、怖さを表現する上で、人形をモチーフとした理由は?
亀井監督 「恐怖」というものを考えると、自分では予測がつかなかったり、未知数なものを人間は怖がると考えています。表情の動きから感情が読み取れない人形には、愛着を持つ事も出来るし、恐れ慄く事も出来ます。人形は、相対する人間の心の鏡であり、好意的関係にも敵対的関係にも、すぐ変化できる。だから、人間の鏡である人形は、「怖さ」を表現する時、被写体として効果的に表現機能したと思います。人形も仮面も、表情の動きが読み取れない分、想像力をフルに使わせてくれますが、これは東洋も西洋も関係ないと思います。この考えが自分の根底にあったため、人形を被写体にして、「怖さ」を表現しました。
――他の監督の作品で印象的だった作品はありますか?
亀井監督 全作品、着眼する場所が面白いなと感じています。特に、女性監督である三宮監督の『36℃の視線』は、「怖さ」の対象が男性にはたどり着かないところにありますね。
最終回:国沢実監督インタビュー
( 取材:岸 豊 )
プロデューサー:あぶかわかれん/企画:金村英明、平田慎司
「うつしえ」 監督・脚本:坂元啓二 出演:河嶋遥伽 太三 星野ゆず YOSHIHIRO 櫻井信太郎
「子の棲む家」 監督・脚本:菊嶌稔章 出演:藤堂海 くわの空 田中良一 和田光沙
「36℃の視線」 監督:三宮英子 出演:こうのゆか 松下愛子 星野佳世 オオタブンペイ 大澤雄一 三宮英子
「幽閉confinement」 監督:亀井亨 出演:アカリ 綾乃テン
「岩」 監督・脚本:国沢実 出演:水井真希 三貝豪
「ひなげし」 監督・脚本:坂元啓二 出演:谷川みゆき 三宮英子 むう
© 映画「闇刻の宴」製作委員会
2016年4月8日(金)~4月15日(金)、下北沢トリウッドにて連日19:00より上映
- 出演:河嶋遥伽, 藤堂海,
こうのゆか, アカリ, 谷川みゆき - 発売日:2016/05/03
- Amazon で詳細を見る
私の奴隷になりなさい ディレクターズカット(本編ブルーレイ・特典DVD・特典CD 3枚組) [Blu-ray]
- 監督:亀井亨 出演:壇蜜, 真山明大, 板尾創路, 杉本彩
- 発売日:2013/03/15 おすすめ度:
- Amazon で詳細を見る Amazon ビデオで観る