インタビュー
闇刻の宴 [DVD]

『闇刻の宴』監督陣インタビュー第2回
三宮 英子 (監督)
『36℃の視線』について

2016年4月8日(金)~4月15日(金)、下北沢トリウッドにて連日19:00より上映

『心中エレジー』で知られる亀井亨監督が中心となって製作されたオムニバスホラー映画『闇刻の宴』が、4月8日(金)から4月15日(金)にかけて(※12日火曜日は定休日)、下北沢トリウッドにて上映される。本作は、亀井監督を含む5人の監督が、「女性の怖さ」をそれぞれの感性で切り取った6編のショートホラーを、オムニバスとして纏めた作品。前回の坂元啓二監督に続き、今回は『36℃の視線』のメガホンを取った三宮英子監督のインタビューをお届けする。
( 取材:岸 豊)
三宮 英子 舞台芸術学院卒業後、役者として舞台、自主制作映画などに150本くらい出演。2012年より監督活動も始める。「36℃の視線」は3作目。昨年撮影した初の長編映画「うしろの正面」(株)LILAS製作 2016年公開予定。
STORY 蒸し暑い夏の日、一人暮らしの女(こうのゆか)が窓を開けて昼寝をしていると、ベランダから何かが入ってくる気配がする。その瞬間、女は金縛りに遭い、身動きが取れなくなる。その後も女は、不気味な勧誘員(星野佳世)などに困らされることになり……。
三宮英子監督
三宮英子監督 『36℃の視線』
――本作のイメージは、どのように膨らませたのでしょう?

三宮監督 まずは脚本の松下さんと、お互いの恐怖について話し合いをしました。二人ともホラー作品を監督するのも脚本を書くのも初めてだったので、あまりパッとした案も出ず、そのうち話がそれてしまって、最近身近で起こった、どうでもいいけど怖い事の話で意気投合したんです。その話で持ちきりになって、私たちがそこまで怖いんだから、と題材にする事になりました。

――他の監督に負けない個性を出すために、どんな点を意識しましたか?

三宮監督 元々、10人の監督の短編ホラー映画祭用の企画だった為、監督の中にはベテランの方も多く、とうてい技術では適いません。また、女性監督も複数いたので、女性というだけでは目立ちません。なので、他の監督と被らないように、そして10作品も本格的なホラー映画を観ていたら、具合が悪くなるだろうというお客さんへの配慮も込めて、箸休め的な作品を作ろうと、コメディタッチな物語にしました。

――ホラーとコメディのバランスを取るのは難しかったのでは?

三宮監督 ホラーと笑いは紙一重で、自分にとっての恐怖が他人には笑い事だったり、怖がれば怖がるほど滑稽に見えたりするものだと思います。なので、あまりバランスを取ろうと難しくは考えませんでした。とはいえ、単純に私と脚本の松下さん、主演のこうのさんの三人で集まると、ついつい楽しくなってきてしまい、気を抜くとただのコントになってしまいそうになるので、当たり前ですが、今回はあくまでもホラー映画を撮るのだということを、忘れないよう気をつけました。

――監督が女性として意識した、女性の怖さとは?

三宮監督 自分を含め女性というのは、傍から見たら些細な事で瞬時に豹変する生き物だと思っているので、その変わり目の表現を意識しました。例えば、劇中では勧誘人が2回訪ねて来るのですが、主人公の女は、1度目は怖がり、2度目は激怒します。同じ人が同じ事を言ってきたとしても、女性はその時の気分や状況で真逆な対応をするのです。あと、女性に限ったことではないかもしれませんが、たくさんの問題を抱えていても、目の前の一つの事に囚われてしまうと、他の事を忘れてしまうという「気付かない怖さ」、そして浅はかさを表現したいと思いました。

――演出においては、既存のホラー映画を参考にしましたか?

三宮監督 私は昔からホラー映画が苦手で、あまり観たことがないので、ホラー映画の定義やお約束が分かりません。なので、本作はその場の思いつきやテンションで演出しました。もちろん、事前に絵コンテも書き、脚本を練り直すこともしたのですが、監督経験も浅いので、正直その場でやってみないとわからないことが多く、撮影当日に変更したところも多々ありました。脚本の松下さんも、「自分の脚本はどんどん変えていいから」と言ってくれて、変更は快くOKしてくれました。最後の撮影は朝までかかってしまいましたが、疲れや眠気で役者さんやスタッフさんのテンションが上がり、楽しくなってきて、ラストシーンは皆で考えて、大幅に変えました。

――現場での変更は、吉と出ましたか?

三宮監督 脚本の時点から計算した拘りと、その場の皆の拘りとが混ざったというより…混ざり合えず、唐突で脈絡のない部分が随所にとっ散らかってます。でも敢えて回収せず、最後に、「あれは何だったのか?」と疑問を残すような作りにしました。何だかわからないものや、意図がわからないことって、ずっと違和感があって気味が悪いと思います。

第3回:亀井亨監督インタビュー

( 取材:岸 豊 )

1 坂元啓二監督 2 3 亀井亨監督4 国沢実監督

闇刻の宴 (2015年/日本/カラー/85分/ビスタサイズ/ステレオ/ PG-12)
プロデューサー:あぶかわかれん/企画:金村英明、平田慎司
「うつしえ」 監督・脚本:坂元啓二 出演:河嶋遥伽 太三 星野ゆず YOSHIHIRO 櫻井信太郎
「子の棲む家」 監督・脚本:菊嶌稔章 出演:藤堂海 くわの空 田中良一 和田光沙
「36℃の視線」 監督:三宮英子 出演:こうのゆか 松下愛子 星野佳世 オオタブンペイ 大澤雄一 三宮英子
「幽閉confinement」 監督:亀井亨 出演:アカリ 綾乃テン
「岩」 監督・脚本:国沢実 出演:水井真希 三貝豪
「ひなげし」 監督・脚本:坂元啓二 出演:谷川みゆき 三宮英子 むう
© 映画「闇刻の宴」製作委員会

2016年4月8日(金)~4月15日(金)、下北沢トリウッドにて連日19:00より上映

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  • 出演:河嶋遥伽, 藤堂海,
    こうのゆか, アカリ, 谷川みゆき
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2016/03/29/19:58 | トラックバック (0)
岸豊 ,インタビュー

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