「the face」品田誠特集上映
『モラトリアム』トークイベントレポート【2/3】
登壇者:藤原季節(俳優)× 品田誠(俳優)
話題は本イベント「the face」のことにも及んだ。この日はイベント閉幕前日であったため、藤原は「これだけ主演作とか監督作とか上映して、マコちゃん疲れたでしょう?」と、リスペクトとねぎらいの混じった言葉をかけ、さらに「僕より1コ上のマコちゃんが監督とか俳優とかやっている、その欲求は純粋な創作意欲に近いのか、承認欲求とか意地とかプライドとかに近いのか、どっちなのかな?って」と精力的な活動の原動力を尋ねた。品田は、「最初に役者をやりたいと思ったときは、正直7割は承認欲求でしたね。18ぐらいのときって『俺は何者かになれるぜ』って思ったりするじゃないですか? 僕は23ぐらいまでそう思っていた。高校までは野球をやっていて、誰よりも練習すればいちばん上手くなれると思っていたけど、でもどれだけ練習しても本当に野球が好きなやつには敵わなくて。そういう人が上手いのは『楽しい』という感情があるからじゃないか?と思って。大学に入って、やりたいものが見つからなかったら教師になろうと思っていたんだけど、自分がどういう人なのかを知らないで教えられるのかな?と思って、それを突き詰めて考えていこうと考えていたときに、たまたま『BECK』(10)という映画を観て、若い役者たちに『俺ならこうするぜ』みたいな、嫉妬心のようなことをなぜか感じたりして。そんな気持ちって他の職業には感じないから『俺は役者になりたいのかな?』って思って、そこから役者、演技の世界に入っていきました。作っていたら楽しくて。演技をしたり作品を作ったりするモチベーションっていうのは、やっぱり先を知りたいということ。自分のいちばんいい表現とか、頭にあるインスピレーションがどういうものか自分で知りたいとか、そういうモチベーションです」と答えた。藤原が「それはもう承認欲求じゃないところに行っているね」と言うと、品田は「承認欲求もありますよ。三船敏郎みたいなビッグネームになって、こういう上映の機会に僕の名前で毎日満員御礼、みたいなことができたら作品にも光が当たるわけじゃないですか。売れたいという承認欲求があります」と答えた。藤原は「今までの作品の責任を持つということでもあるんですね。僕は主演の映画をまだ撮ったことがないんです。年内に撮ろうって始まっているんですけど。主演というものの責任をちょっとこの特集上映で教わりました。やっぱり世に出るまで絶対諦めちゃいけないなとも思いますね」と野心を覗かせ、品田も「こういう機会が持てたのは嬉しいことです」とあらためてイベントの意義をかみ締める表情を見せた。
そのあと藤原は、自腹で買った本企画のポスターを嬉しそうに広げて見せ、「『るろうに剣心』(12)以来ですよ、映画のポスター買うのは(笑)。でもほしいと思いました。『the face 品田誠特集』は一生に一度ですもん。ロビーで販売してますんでよろしくお願いします!」と宣伝も。品田は「シネマ・ロサは毎週こういったインディーズの挑戦的な映画を取り上げているので素晴らしい」と映画館に感謝を示し、役者魂と映画館愛にあふれる二人のフォトセッションでイベントは幕を閉じた。
(2018年8月2日 池袋シネマ・ロサで 取材:深谷直子)