吉田浩太監督/『女の穴』

吉田 浩太 (監督)
映画『女の穴』について

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2014年6月28日(土)より、ユーロスペース渋谷ほか全国先行レイトショー/7月2日(水)より、全国全メディア同時公開

(取材:深谷直子)

吉田浩太監督2――そんなに短い期間で撮ったんですね。異色の役で大変だったと思いますが、これからもニュアンスのある表情での活躍を期待したいです。福田先生を演じた小林ユウキチさんもすごくよかったですね。この作品を観て個人的にすごくときめいてしまいました(笑)。

吉田 試写会とかでも小林くんのことをいいっていう人がかなり多かったですね。全然カッコいい役じゃないんですけどね(笑)。小林くんは『ソーローなんてくだらない』(11)と同じ「青春H」シリーズの『Sweet Sickness』(13)という作品に出ていて、あれを観てすごくいいなと思って、どこかで機会があれば一緒にやりたいなと思っていたんです。それで今回だらしない男の役ということで。何となくあのだらしない感じは小林くん自身がそんなに作らなくてもやりやすいんじゃないかなという気がしていて、実際に会ってそのことを含めて話してみたらまさにそういう感じだったので。他にも候補がいたと言えばいたんですけど、監督がいいと思うんだったらということで通してもらいました。

――演技がとてもナチュラルで、だらしないけどすごく男子っぽい色気がありました。上手いですよね。

吉田 若い俳優で最近伸びてきている人っているじゃないですか。そういう人って役者としてのあり方とか佇まいみたいなものをしっかり分かっているなと思うところがすごくあって。染谷(将太)くんとかもそうですし、最近だと池松(壮亮)くんとかもそんな気がしているんですが、自分の存在価値みたいなものをよく分かってる。小林くんにもそれをすごく感じたんですよね。まあちょっとおかしいところもあるんですけど(笑)、すごくクールですね。色気もありますしカッコいいですし、今後もぐんぐん伸びていくいい役者だろうなと思います。今年いろいろと出演作が続くみたいです。

――それは楽しみですね。実は『女の穴』を観て慌てて小林さんをチェックして、『Sweet Sickness』も観てやっぱりいいなと。きっとこれで注目する方は多いんじゃないかと思います。

吉田 そうですね。僕も予想以上に……、『女の穴』の試写会とかで観た方とお話をすると、みんな小林くんがいいですねって言ってくれるので、「あ、そんないいんだ?」って(笑)。元々いいなと思っていたんですけど、特に女性からの受けがいいですね。

――ああ、やっぱり(笑)。この作品は俳優さんに関して新鮮な発見だらけでした。次の「女の豚」も……、「もう福田先生は出てこないんだ」と一瞬寂しく思ったんですが(笑)、またさらに壮絶な話で面白くて。こちらも石川優実さんと酒井敏也さんというキャストがよかったです。小鳩役の石川さんはオーディションで決められたということですが。

吉田 複数人候補がいて、僕とプロデューサーの方とでお会いしてという感じでしたが、その中で石川さんを選んだのはルックが合っていたというのがいちばん大きかったですね。小鳩はクール系というよりは可愛い系で、石川さんもそういうタイプだと思うので。ロリ的なグラビアでがんばっていて、そういうイメージも持っていたので、まずそれがあって、あとはやっぱり「脱ぐ」ということが大きかったですね。小鳩が先生に見せつけるセックスをするシーンがありますが、ああいうところはやっぱり脱いでやる覚悟がないと嘘っぽくなっちゃうと思うんですよね。そこをむき出しでできる女優さんがいいなと思っていて、そこで石川さんはルックと脱ぐ覚悟というのがしっかりあったので、実はお芝居の経験はあんまりなかったんですけど、そこは何とかなるだろうと決めました。

――脱ぐってやっぱり覚悟が要りますよね。吉田監督は女性の微妙な心理を捉えた作品が多くて、エロティックでも女性のお客さんからも受け入れられていますし、女優さんからの信頼も多分厚いと思うんですが。

『女の穴』場面4 『女の穴』場面5吉田 ……ははは(苦笑)。

――そうでもないんですか?

吉田 そんなこともないですね。この現場に関してはあんまり時間がなかったのもあってそんなに追い込むことはしなかったんですが、女優さんってちょっと追い込んであげないとより光る魅力みたいなものが出なかったりするので、自分の性格からではなく意図的に追い込むときは追い込むようにしています。特にグラビア出身の方は見せるのが仕事だから、自分の身体とかを形で見せるクセがついていたりするので、表面的なものだけで内面からにじみ出る美しさというものは遠かったりするんですよね。芝居においては内面的なところを伴う美しさが大事だと思うので、表面的な殻を1回はがしていかに内面的な美しさを引っ張り出すかということをやりたいと思っているし、今までもそうやってきているという感じですかね。

――小鳩の場合は脱ぐということだけではなくお芝居も大変ですよね。好きだった先生を、可愛さ余っていたぶるという、感情的にも演技の上でも激しい役で。これを追い込む時間もなく3日間で撮ったというのはすごいですね。

吉田 小鳩が村田先生の首を絞めたりするところはやっぱりすごく大変で、あそこに関しては平均で10テイクぐらいはやってたと思いますね、時間がない中で。あそことセックスのシーンは一筋縄ではいかなかったという印象です。感情の部分については、小鳩が村田先生を想う気持ちというのは純粋にすごく好きというシンプルなものだけがあるので、石川さん自身が村田先生に対して嘘をつかずに好きになればそれが芝居として出てくるはずだから、石川さんには村田先生のことを好きになってくれとずっと言い続けていたんです。それだけでしたね、演出としては。好きという想いを強く持っていれば、憎しみみたいな部分も自ずと出てくるんですよ。実際に誰かのことを好きになって、その人が浮気をしたりしたらすごく嫉妬しますよね。嫉妬=憎しみみたいなもので、好きと憎しみは常に合わさっているものだから、小鳩は確かにいびつなキャラクターなんですけど、好きという想いを強く持っていればそのキャラクターになれるだろうという気がしていたので、そういうふうにやっていきました。

――誰でも経験したことのあるような「好き」という普遍的な想いを突き詰めてもらうことで、初めての演技でもこれだけの表現ができたと。

吉田 まあ石川さんは3日でがんばってくれましたね。脚本を見て彼女はすごくやりたいと思ってくれたみたいなので、受かったことも喜んでいましたし、よかったですね。

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女の穴 2014/95分/カラー/ビスタビジョン/R-15(セルDVD/BDはR-18)
出演:市橋直歩 石川優実 小林ユウキチ 布施紀行 青木佳音 / 酒井敏也
原作:ふみふみこ(リュウコミックス/徳間書店刊)
脚本・監督:吉田浩太(「ユリ子のアロマ」「オチキ」「うそつきパラドクス」)
音楽:松本 章 主題歌:MAMADRIVE「女の穴」
製作:岡本東郎 嶋田 豪 平野健一 宇田川 寧 プロデューサー:行実 良 若林雄介
アソシエイトプロデューサー:関 顕嗣 撮影:山崎裕典 照明:岩切弘治 録音:小原善哉
美術:露木恵美子 装飾:斉藤暁生 製作:バップ、アイエス・フィールド、徳間書店、ダブ
製作プロダクション:ダブ 配給・宣伝:アイエス・フィールド/アルゴ・ピクチャーズ
©ふみふみこ/徳間書店・2014映画「女の穴」製作委員会
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2014年6月28日(土)より、
ユーロスペース渋谷ほか全国先行レイトショー
7月2日(水)より、全国全メディア同時公開

2014/07/02/20:23 | トラックバック (0)
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