インタビュー
吉田浩太監督/『女の穴』

吉田 浩太 (監督)
映画『女の穴』について

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2014年6月28日(土)より、ユーロスペース渋谷ほか全国先行レイトショー/7月2日(水)より、全国全メディア同時公開

一見のどかな地方の高校を舞台に女子高生たちの屈折した恋愛模様を描き、かわいらしい画風とともに人気を博すふみふみこ氏の短編漫画集『女の穴』が、吉田浩太監督により映画化された。地球人との子作りの使命を受けた宇宙人女子高生が若い教師に性交を迫る「女の穴」と、想いを寄せる中年教師がゲイと知った優等生が復讐へと暴走する「女の豚」。過激なタイトル、設定とはうらはらに、女流漫画家だから描ける女子高生のリアルな生態が胸を締め付ける珠玉の青春ラブストーリー2編は、『ユリ子のアロマ』(10)、『ソーローなんてくだらない』(12)などで悶々と性に悩む男女の姿を生々しく愛しく見せてきた吉田監督の絶妙のさじ加減でユーモアとエロスが加えられ、ドラマ性がよりヴィヴィッドに伝わる爽快エンターテインメントに仕上がった。躍進目覚ましい吉田監督に、原作への想いや魅力的なキャストについて、演出法など伺った。(取材:深谷直子)
吉田 浩太 1978 年、東京都出身。ENBU ゼミナールにて篠原哲雄、豊島圭介に師事。『お姉ちゃん、弟といく』(06)が 2008 年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門の審査員特別賞をはじめ、ドイツ、香港など海外の映画祭にも多数招待される。その後、若年性脳梗塞による闘病生活を経て『ユリ子のアロマ』(10)で復帰。その他の監督作に『ソーローなんてくだらない』(11)、『オチキ』(12)、『きたなくて、めんどうくさい、あなたに』(12)、『うそつきパラドクス』(13)などがある。最新作『ちょっとかわいいアイアンメイデン』(14)が7月19日に公開を控える。
吉田浩太監督――『女の穴』をとても面白く拝見しました。吉田監督の作品は、変わった性癖を持った主人公が困難な恋愛に邁進していくような物語が多くて、ふみふみこさんの原作漫画『女の穴』と重なる部分は多いですが、今まで扱ったことのない要素も入っていますよね。地方の高校が舞台だったり、ファンタジーが入っていたり。これを映画化するという企画は、監督ご自身の希望によるものだったんですか?

吉田 そうですね、原作本のジャケットのインパクトがとても強くて、タイトルにまずビビッときて。で、読んでみたらおっしゃるとおり僕の作品の世界観とそう遠くないというか。描かれている恋愛のゆがんだ部分だとかに共感するところが大きくて、ぜひやりたいなと思って制作会社に持っていきました。

――ではかなり以前からあたためていた企画だったんですか?

吉田 そうですね、原作が出たときに読んで、すぐに制作会社に企画を持ち込み、まずプロットを書いて、脚本もそのあとすぐに書いて。4話からなる原作から基本的に「女の穴」と「女の豚」「女の鬼」の3つを映画にするということで構想を固めて初稿を書いて、次の2稿を書いた時点で内容的にこれでいけるんじゃないかと思って制作会社からふみ先生のところへ話を持っていきました。で、先生のほうでも原作からそんなに大きくかけ離れているところはないので内容的にはこれで大丈夫だということになって、結構すんなり通ったという感じですね。だから映画化はいつでも大丈夫という感じだったんですが、いろいろと事情もあって撮るまでには少し時間がかかってしまいました。

――脚本化される上で気を付けたのはどんなところですか? 原作から選んだ中で「女の豚」と「女の鬼」は繋がりのある話なので、映画としては「女の穴」と「女の豚」の2部構成の形を取っていますが、「女の穴」は原作ではとても短いお話なのでバランスに気を配られたのではないかと思いますが。

吉田 そうですね、気を配ったというかいちばん考えたところは、「女の穴」と「女の豚」というのは物語としては関連がなくバラバラなので、そこをどう映画で一緒にするかということでした。「穴」のほうは宇宙人の女の子が地球人の子供を作る話で、「豚」のほうはゲイの教師に恋してしまった女の子の話で、話としての繋がりというのが少ないように思えたので、その中での共通点を見出していきたいなと思い、脚本というか作品のテーマ性としても、いかにそれを見付けていけるかということを結構考えたなと思います。

――私が映画を観たときには、共通性として両方とも手の届かない相手を好きになってしまうお話だなということを感じました。確かにひとつは宇宙人の話だし、その次元は違うんですけど。監督が共通性として捉えたのはどんなところですか?

吉田 『女の穴』やっぱりそこがいちばん大きいところだと思いました。原作でもテーマとしては2つとも片想いというか届かない想いというのが強調されて書かれていて、そこを1本の映画としてもうまく一緒にくっ付けたいなと。そこが脚本を書く上ではいちばん考えたところですね。あとはやっぱり「女の穴」のほうに関しては物語がすごく短いので。ふみ先生の話だと、これは単純に鈴木幸子さんという宇宙人の女の子が子供を産んだら人間になった、というだけの話をやりたかったということで(笑)。まあ確かにそういう漫画なんですけど、映画にするとどうしても30~40分にはしなければならないのでそこだけでは描き切れないというのがあり、いかに鈴木幸子という少女が人間としての感情を身に付けていくかということを映画としては見せていきたいなと思って、そこの部分は脚本を書く段階でもかなり考えたなと思います。

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女の穴 2014/95分/カラー/ビスタビジョン/R-15(セルDVD/BDはR-18)
出演:市橋直歩 石川優実 小林ユウキチ 布施紀行 青木佳音 / 酒井敏也
原作:ふみふみこ(リュウコミックス/徳間書店刊)
脚本・監督:吉田浩太(「ユリ子のアロマ」「オチキ」「うそつきパラドクス」)
音楽:松本 章 主題歌:MAMADRIVE「女の穴」
製作:岡本東郎 嶋田 豪 平野健一 宇田川 寧 プロデューサー:行実 良 若林雄介
アソシエイトプロデューサー:関 顕嗣 撮影:山崎裕典 照明:岩切弘治 録音:小原善哉
美術:露木恵美子 装飾:斉藤暁生 製作:バップ、アイエス・フィールド、徳間書店、ダブ
製作プロダクション:ダブ 配給・宣伝:アイエス・フィールド/アルゴ・ピクチャーズ
©ふみふみこ/徳間書店・2014映画「女の穴」製作委員会
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2014年6月28日(土)より、
ユーロスペース渋谷ほか全国先行レイトショー
7月2日(水)より、全国全メディア同時公開

2014/07/02/20:21 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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