ヤナ・ノヴィコヴァ/『ザ・トライブ』

ヤナ・ノヴィコヴァ (女優)
映画『ザ・トライブ』について【2/3】

2015年4月18日(土)よりユーロスペース、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

『ザ・トライブ』
――長回しもこの映画の大きな特徴ですね。これは撮り直しとなると大変だっただろうなと思いますが。

ヤナ そのとおりです! 例えばセルゲイと会い、そのまま歩いていって服を脱ぐというシーンがあるのですが、そこでなかなか監督からOKがもらえず、また服を着て、戻っていって、最初の出会うところからやり直し……。それを何回も何回も繰り返しやったので大変でした。

――この映画はバレエのステージのようだとよく例えられていますね。確かに言葉がなくても人の動きや表情で何が起こっているのかが感じ取れる作品だと思いましたが、監督は振付のように動きを決めて演出していったのでしょうか?

ヤナ いいえ、手話は任せてくれていました。役者はロボットのように言われたとおりに動いていたわけではなく、手話が柔らかくスムーズに見えるよう、そこに気を付けて演技しました。健常者にも声の大きな人と小さな人がいるのと同じで、ろう者それぞれ手話には個性があり、動きの大きな人もいれば小さな人もいますが、監督はそれは自然のままでいいよと、ただ顔の表情を豊かに、自分の気持ちを全部出すように演じてくれということを言っていました。あと、監督は映画を撮っているときにバレエのイメージはまったく持っていなかったのですが、完成した映画を観たときには監督自身が「ああ、バレエに似ているな」と言ったそうです。監督がこの映画を撮るにあたって考えていたのは字幕を付けないことと、表情や身体の動きですべてを伝える映画を作るということでした。それが大事な目的だったので、ろう者の手話は自然に任せてくれるという状況でした。

――この作品の出演者はすべて素人のろう者で、それも大変野心的な試みだと思うのですが、共演者について何か感じたことはありますか?

ヤナ 監督が昔通っていた学校の近くにはろう学校があって、監督はそこの生徒たちを見てろう者たちも喧嘩をするんだということを知ったそうです。ろう者も健常者とまったく同じで、暴力も振るえば恋愛もするんだということを彼らを見て理解した、そのことが監督にとって印象に残る出来事だったんです。そして監督が『ザ・トライブ』を作る際に大きな目的としていたのは、字幕を付けずに身体の動きだけで感情を表現する映画を作るということで、そのために手話を使い、ろう者の出演者を集めたというだけなんです。監督はこの作品をろう者の生活を映像にしようとして撮ったわけではないんですね。描きたかったのはあくまでもドラマ、特に暴力やセックスを描くドラマで、それを作る際に監督が選んだアイディアのために手話を使い、ろう者の出演者を集めたというだけなんです。

――確かに若者の純粋さやパワーといったとても普遍的なものが描かれた映画だということを感じました。ヤナさんが演じたアナも、売春をしてはいますがそれはイタリアに行くという目的のためで、やはり強い女性でしたが、共感しながら演じられましたか?

ヤナ アナはウクライナでの暮らしに苦しんでいて、自由を求める強い女性ですが、私自身は違いますね。私は女優をやりたいという気持ちを持って生きてきたので、生き方としては全然違います。

『ザ・トライブ』場面1

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ザ・トライブ
監督・脚本:ミロスラヴ・スラボシュピツキー 撮影・編集:ヴァレンチヌ・ヴァシャノヴィチ
プロデューサー:ヴァレンチヌ・ヴァシャノヴィチ、イヤ・ミスリツカ
出演:グレゴリー・フェセンコ、ヤナ・ノヴィコヴァ
2014年/ウクライナ/カラー/132分/HD/1:2.39/ドルビー5.1ch/字幕無/手話のみ/R18+
原題:ΠЛEM’Я(PLEMYA) 英題:the tribe 提供:ミモザフィルムズ/彩プロ
配給:彩プロ/ミモザフィルムズ 宣伝:ミモザフィルムズ  宣伝協力:テレザとサニー
後援:ウクライナ大使館
© GARMATA FILM PRODUCTION LLC, 2014 © UKRAINIAN STATE FILM AGENCY, 2014
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2015年4月18日(土)よりユーロスペース、
新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

2015/04/08/21:27 | トラックバック (0)
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