インタビュー
ジュン・ロブレス・ラナ監督『ダイ・ビューティフル』

ジュン・ロブレス・ラナ (監督)
映画『ダイ・ビューティフル』について【2/4】

2017年7月22日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

『ダイ・ビューティフル』場面2 『ダイ・ビューティフル』場面3 『ダイ・ビューティフル』場面4
――様々な時代のトリシャの物語が錯綜するような構成が、かえってトリシャの生き方が子供時代から一貫していたということをより明確にしていたと思います。脚本家は別の方ですが、ストーリー作りはどのように行われたのですか?

ラナ ストーリーのアイディア自体は私が考えたもので、ストーリーが時間軸に沿わないで前後するという構造も私が考えました。実際のお葬式、例えば友達のお葬式に行って故人のことを話すときって、やっぱり生まれたときからの時間軸に沿って話すのではなくて、「あんな面白いことをやったよね、こんなバカなことを言ってたね。ああ、でもいなくなって寂しいね……」みたいに、いろいろなエピソードを散発的に思い出して話すものだと思います。私自身も、映画の師匠のお葬式だとか、友人も何人か亡くなっているのでそういうお葬式に行ったときに、やはりこういう感じで思い出話をしていたので、そこからこの映画のスタイルの着想を得ています。フィリピンではお葬式をとても大切にしていて、この映画のように1週間やったりすることも結構あるんです。ストーリーが時間軸に沿っていないので複雑になっている部分もあるかと思うんですが、一貫しているのはトリシャの感情の旅であるということ、彼女が自分自身でありたいと願い、そして自分自身になっていくという話なので、そこはぶれずにわかってもらえるかなと思っていました。

――映画の中に出てくる葬儀場の名前が「ハッピー・エンド」というのも素敵だなと思ったんですが、フィリピンのお葬式には、死を悲しむばかりではなく、亡くなった人をあたたかく送り出してあげようという感じがあるのでしょうか?

ラナ フィリピンのお葬式にはちょっとお祭りのような感じがあって、特に田舎のほうでそうですね。ギターを演奏する人がいてお酒をふるまって、本当にまるでカーニバルのように賑やかに行われます。それと同時にお葬式なので悲しい面ももちろんあって、親族が到着したときに大声で泣いたり、あまりに悲しくて失神したりするのもよくあることなんですね。そういういろいろなものが混在するのがフィリピンのお葬式です。

――もうひとつの重要な要素であるミスコンは、日本では外見だけを競い合うものであるとか女性差別につながるものとして批判するような意見が多いんですが、この映画を観て、本来のミスコンというのは出場者が切磋琢磨して自分を表現する場であるのだなと感じました。トリシャのスピーチがとても印象的でした。

ラナ フィリピンでは本当にミスコンがすごく人気で、例えばミス・ユニバースのある日なんかはお祭り騒ぎで、特にフィリピン人が選ばれたりすると本当に大騒ぎになるんですが、私自身はそれほどミスコンのファンというわけではありません(笑)。私は普通のフィリピン人とは感覚が違うのかもしれませんね。面白さはわかるんですが、どうしてミスコンでビキニみたいのを着なきゃいけないのか?とか、やっぱり肉体的美しさだけを強調している部分が多いんじゃないかと思うんです。そういう部分を長々と見せられて、出場者へのQ&Aもあるんですけど、それは30秒ぐらいでとても短いんです。その人のパーソナリティを見るにはそこがいちばん大切な部分ではないかと思うんですけど、でもそれが30秒しかないので、本当にミスコンというのは表面的なものだけをなぞっているんじゃないかと思っています。ただ、トランスジェンダーにとってはミスコンは自分自身を表現する場なんですね。だから女性にとってのミスコンとトランスジェンダーにとってのミスコンではちょっと意味合いが違うんです。それでこの映画でもスピーチをフィーチャーしました。もちろん女性のミスコンでも、スピーチの時間はとても短いものですが必ずあって、短いからこそウィットに富んだインテリジェントな答えをすることが必要になります。トランスジェンダーにとってはさらに、自分自身を多くの人に見てもらい、「私はこういう人間なんだ」と語って強烈にアピールするというものになって、そこが女性のミスコンとの違いですね。

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ダイ・ビューティフル (2016/フィリピン/120分/カラー/原題:Die Beautiful)
監督/プロデューサー/原案:ジュン・ロブレス・ラナ
出演:パオロ・バレステロス、ジョエル・トーレ、グラディス・レイエス、アルビー・カシノ、ルイス・アランディ、クリスチャン・バブレス、イナ・デ・ベレン、I・C・メンドーサ、セデリック・ジュアン、ルー・ヴェローゾ、イザ・カルザド、ユージン・ドミンゴ
エグゼクティブ・プロデューサー:リリィ・モンテヴェルデ、ロッセル・モンテヴェルデ、ペルシ・インタラン
プロデューサー:ジュン・ロブレス・ラナ、フェルディナンド・ラプス
ライン・プロデューサー:オマール・ソルティハス
脚本:ロディ・ベラ 撮影監督:カルロ・メンドーサ 編集:ベン・トレンティーノ
作曲:リカルド・ゴンサレス プロダクション・デザイナー:アンヘル・ディエスタ 日本語字幕:佐藤恵子
制作会社:アイディアファーストカンパニー、オクトーバートレインフィルムズ、リーガルエンターテイメント
宣伝協力:太秦 配給:ココロヲ・動かす・映画社〇 © The IdeaFirst Company Octobertrain Films
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2017年7月22日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

2017/07/19/21:32 | BBS | トラックバック (0)
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