ジュン・ロブレス・ラナ (監督)
映画『ダイ・ビューティフル』について【3/4】
2017年7月22日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
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――フィリピンでのお葬式やミスコンのありかたに、感情を豊かに表す国民性を強く感じます。その一方で、家父長制であったりキリスト教の影響があったりして、その中でトランスジェンダーやゲイの方たちが差別を受けるという保守的な一面もあるのですね。
ラナ 私自身もゲイですけど、全般的にはフィリピンは非常に寛容な国だと思うんですね。家族にゲイがいても受け入れてくれる家庭が多いと思うんですが、ただ家族に面と向かって自分のセクシャリティだとかセックスの話だとかはしにくいですね。それはやはりカトリックの伝統が非常に大きくて、特に年配の方には保守的な傾向が強いです。その代表例としてトリシャのお父さんをああいう感じに描きました。息子がゲイであるということを絶対に受け入れられないという人も確かにいて、それが現実です。運がいいことに私の家族は私のことを受け入れてくれていますが、トリシャの家族はそうではありませんでした。でもトリシャの友達にはゲイの息子をサポートしてくれるお母さんがいたりしたわけです。そして、トリシャがお父さんに追い出されるときに「私はトリシャ・エチェバリアよ」と宣言して出ていくんですけど、それは生物学的な家族に拒絶されたことで、「これが私の名前であって、私はパトリックではない、あなたの息子ではない」と、自分から縁を切った旅立ちの宣言だったと思います。
――そんなトリシャを演じた主演のパオロ・バレステロスさんが大変素晴らしく、パオロさんあっての映画だと思いました。監督は多忙なパオロさんに出てもらえるようになるまで2年も待ったそうですね、
ラナ パオロは本当に有名なテレビのスターで自分の番組も持っていますので、スケジュールを確保するのが非常に大変だったんですが、最終的にはこの映画のために番組を休んでくれて、それで撮ることができました。予算のない映画なので17日間で撮りました。大変だったことのひとつはトリシャのメークです。パオロは優れたメークアップ・アーティストなので自分でメークをして、それがとても上手いんですが、それだけに時間がかかるんですよね。ひとつのメークをするのに3時間かかり、そのたびに撮影もストップしてしまいますし、彼自身もそれをすることによって非常に疲れていました。そんなこともあって撮影は想像以上に大変でしたね。その上、撮影の真っ最中に台風にまで見舞われたので、なかなか苦労しました(苦笑)。
監督/プロデューサー/原案:ジュン・ロブレス・ラナ
出演:パオロ・バレステロス、ジョエル・トーレ、グラディス・レイエス、アルビー・カシノ、ルイス・アランディ、クリスチャン・バブレス、イナ・デ・ベレン、I・C・メンドーサ、セデリック・ジュアン、ルー・ヴェローゾ、イザ・カルザド、ユージン・ドミンゴ
エグゼクティブ・プロデューサー:リリィ・モンテヴェルデ、ロッセル・モンテヴェルデ、ペルシ・インタラン
プロデューサー:ジュン・ロブレス・ラナ、フェルディナンド・ラプス
ライン・プロデューサー:オマール・ソルティハス
脚本:ロディ・ベラ 撮影監督:カルロ・メンドーサ 編集:ベン・トレンティーノ
作曲:リカルド・ゴンサレス プロダクション・デザイナー:アンヘル・ディエスタ 日本語字幕:佐藤恵子
制作会社:アイディアファーストカンパニー、オクトーバートレインフィルムズ、リーガルエンターテイメント
宣伝協力:太秦 配給:ココロヲ・動かす・映画社〇 © The IdeaFirst Company Octobertrain Films
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