関西クィア映画祭2013
2013年9月14日(土)~16日(月・祝)まで、大阪:ヘップホールにて
10月4日(金)~6日(日)まで、京都:京大西部講堂にて開催
「クィア(queer)」をキーワードに「性」をテーマにした映像作品を集めて上映している関西クィア映画祭は、今年で8回目を迎える。メジャーからマイナーまで、幅広く様々な傾向のプログラムを用意しているのが特徴で、同性愛をテーマにした作品だけに留まらず、トランスジェンダーやバイセクシュアルなどを扱った映画を日本で最も多く上映してきた映画祭でもある。単に性のことだけを取り上げるような視点ではなく、民族/人種的な観点など、他の視点とも併せて複眼的/ダブルに考える視点を持たせた映画祭作りを行っている。
『鏡を見つめて』 『R/EVOLVE-結婚と平等とピンクマネー』 『罪なき罪ークィアと身体障害』 『アタフェの選択』 『艶子 TSUYAKO』今年の映画祭の特色
●世界の13ヶ国地域からの全20作品を上映予定
日本・イラン・タイ・香港・インドネシア・レバノン・イスラエル・米国・カナダ・ドイツ・オランダ・スイス・ウガンダと、様々な国地域の作品が集まりました。
●女子系の作品が充実
今年からプログラム担当者が変わり、映画や映画祭といった文化に造詣の深いメンバーが作品の選定に当たったため、上映作品のカラーが今までと一味違うものになりました。特に女子ものの作品が例年より充実しています。
●中東作品の充実
イランから2作品、イスラエル/パレスチナのドキュメンタリーを1作品上映します。いずれも日本初上映、本当にこの映画祭でしか見られない作品が集まっています。
●『罪なき罪-クィアと身体障害』の監督が来日し監督トーク
自身も有色でクィアで身体障害を持つPatty Berne監督をお招きして、身体障害とクィアについてお話ししてもらいます。また、白人ではなくアジア系としての体験(レイシズム)とクィアとの関係、 フェミニズムとクィア、等、様々な課題についても、トークをお願いする予定です。このようなトークは、おそらく今年の関西クィア映画祭でしか聞くことが出来ません。
●大阪会場・HEPHALLでの恒例
『KQFFオフ会』開催!
去年好評を博した「KQFFオフ会」を今年も行います!映画を見に来たお客さん同士で交流できる機会を作ります。観賞した映画の事、性に関する事を楽しく話す時間になる予定です。
●写真展「わたしの○○○」開催!
大阪・京都両会場にて、あらかじめ写真を募って写真展を行います。テーマは「わたしの○○○」。○には自分の好きなワードを当てはめて、タイトルをつけてもらった写真を展示します。映画観賞以外の方法でも映画祭に参加してもらい、映画祭を身近に感じてもらうことを目指した企画です。
●18歳以下割引を新たに作りました
18歳以下の方は、年齢の分かる証明書をお持ちいただければ、前売・当日問わず料金が半額になります。敷居を低く設定することで、中学生・高校生や歳の若い方にも気軽にクィア映画を見ていただく機会を作りたいと考えています。
【チケット情報】 前売券も発売中
・1回券:1プログラムに有効 1,300円(前売) 1,600円(当日)
・3回券:3プログラムに有効 3,400円(前売) 4,000円(当日)
・大阪パス:大阪の全プログラムに有効 6,800円(前売) 8,000円(当日)
・京都パス:京都の全プログラムに有効 6,800円(前売) 8,000円(当日)
・関西フリーパス:全プログラムに有効 10,000円(前売) 12,000円(当日)
2013年9月14日(土)~16日(月・祝)まで、大阪:ヘップホールにて
10月4日(金)~6日(日)まで、京都:京大西部講堂にて開催
★大阪会場★
9月14日(土)
アメリカはL.A.。移民一世の親を持つ、成績優秀なヨランダ。テストはいつも高得点でそれを冷蔵庫に貼るのが習慣だ。転校生マリから「蚊(モスキータ)みたいな奴」と初対面でいきなり馬鹿にされるも、いつしか一緒にいることに心地よさを見出すふたり。友情と愛情の間で揺れる天秤、淡い嫉妬心と浅はかな駆け引き。10代ならではの“瑞々しい不安定感”がぎゅっと詰まった爽やかな青春ムービー。
『R/EVOLVE-結婚と平等とピンクマネー』
同性婚が法律で認められれば全て上手く行くはず。リンカーンと婚約したばかりのルーカスはそう思っていた。企業のイメージアップのために同性婚キャンペーンを計画したビッグコープ社。その広告を任されたリンカーンは、クィアなヒッチハイカー・ラクーンと出会い、保守的な会社とは相容れない自身の思いに気付く。結婚の平等とは何か。その代償は何なのか。同性婚が話題の米国からの最新作です。
★監督トーク
「性」と「障害」の言葉を同時に聞く事はとても珍しいです。聞く時は、障害者って「性」を持ってるの?セックスするの?と言われてしまうのです―出演者の一人、 マリア・パラシオスは言う。有色で身体障害を持つジェンダークィアのアーティスト達が、「普通」や「セクシー」を問う。自身の身体を使った表現に挑戦する米国の活き活きとしたドキュメンタリー。
開場 18:50 開演 19:10 『ビリーの恋』
日曜日の教会で、姉弟は父親の説教を聞いている。しかし弟は話などそっちのけで、ある女性に夢中だった。熱い視線を送っていたその時、二人の視線が交差する。女性が送った視線の意味とは…
イラン某所。刑務所に入った夫の代わりにタクシー運転手として生計を立てるラナは、道すがらいざこざを起こしていた人物を乗せるハメに。自らをエディと名乗り、髪を刈り上げ、男性用トイレに入るその人は、男性との結婚を強要する父から逃げてきたのであった。幾多の困難の中でもトランスジェンダーとして生き抜くエディの姿が、取り巻く家族や友人のあり方さえも問い返す感動作。
9月15日(日)
パレスチナでは「ゲイだから」と僕らは攻撃され、イスラエルでは「パレスチナ人だから、不法滞在だから」と攻撃される。本当に悲しい…。二重の脅威にさらされている二人のパレスチナ人のゲイの言葉は、見る者の心を揺さぶる。「ゲイであることをバラすぞ、強制送還するぞ」と脅して密告者になることを強いるイスラエル秘密警察の存在もあり、結局、二人は欧州某国に逃れる事になる。ここでしか見れない、迫真のドキュメンタリー。
開場 13:50 開演 14:10 『アリソン my love』
愛する相手とのセックスの最中、気持ちの高まった拍子にふいに口をついて出た名前「アリソン」。アリソンとはいったい誰なのか…?
裕福でリベラルな家庭で育ったアタフェ。同級生のシリーンとは大の仲良しだ。ふたりは宗教警察の目をかいくぐりながらイランでの生活を楽しんでいる。ダンス、アルコール、そして恋。「どこへでも行けるとしたらどこへ行く?」この単純な問いは、抑圧された社会においては信じられないほど魅惑的かつ危険な響きを持つ。現実に甘んじる者、変えようとする者、逃げる者。彼らの選択を誰が咎めることができるだろう。
開場 16:40 開演 17:00 『トランスパパ』
母は言った。「あなたのお父さんは、いま女性なの」。音信不通だった父に会いに行くことにしたマーレン。いろいろ気を回す「父」ソフィアと対照的に、マーレンは頑なな態度を崩さない。両者の間にことごとく流れる不協和音…。そんなふたりの「不協和音が溶解する瞬間」を探しながら本作を観るのが楽しい。ぎくしゃくした関係にハラハラする分、エンドロールにはじんわり心に残る何かがあるはず。
開場 19:10 開演 19:30 『あん、あん、あん』
監督:イノウエカナ★監督トーク
京都の女子高校に通う肘木圭は、学内外で様々な男女と関係を持ちながら、日々を気怠く過ごしている。そんな肘木には、援助交際で稼いだお金を貯めて、願いを叶えてあげたい本命がいた.!? 家庭内や学校内での居心地の悪い人間関係を横目に、生々しい性愛と、プラトニックな恋慕に耽る、等身大の女子高生を描く。
戦後まもない日本。妻として母として嫁として懸命に働くツヤコ。そんな中、上京するというヨシエから東京で一緒に暮らそうと誘われる。自分の幸せか家族への義務かー。見捨てるには愛し過ぎ、しかし追い求めれば葛藤が邪魔をする。この作品が単なる悲しい話に終わらないのは、ツヤコの恋が時代を越えて受け継がれていくからだろう。だから私たちは観終わったとき本作に「希望」の二文字を見出せるのだ。
9月16日(月)
火曜の夜に出かけるなら、ラテン系トランスジェンダーの集まるバー・シルバープラッターへ。野心と才能に満ちたウーの仕掛けるイベントWILDNESSを覗けば、性別も肌の色も、服装も好みも関係なく、人が心で通じ合えることが分かるだろう。そこは、移民を含む誰にとっても安全な場所であり、またそうあり続けねばならない。LA郊外の若者の、情熱と葛藤・盛衰を、疾走的に描いたドキュメンタリー。
今年もやります!KQFFオフ会!!さらにさらに今年は、昨年人気を博した3分間スピーチもやっちゃいます!映画のこと、性に関すること、映画祭に来た皆で楽しくお話ししましょう!
<参加方法>今年の映画祭チケットまたはパスをお持ちの方なら誰でも無料で参加可。
9月14日(土)11:00より受付で『KQFFオフ会参加券』配布開始(その際、チケットまたはパスの提示が必要)。参加券が無くなり次第、配布終了。
開場 15:45 開演 16:05 『マルガリータ』
メキシコ出身のマルガリータは、カナダのある裕福な家庭で子育て兼家庭教師をしている。恋人のジェーンは、二人の関係を公にすることを躊躇っている。ある日、マルガリータは交通事故に遭い、滞在資格を持たないことが判明。勤め先を解雇されメキシコに帰国することを決めたマルガリータだが、彼女が滞在資格を得られるように結婚を提案する人達。果たして、マルガリータの運命はどうなる―!?
開場 18:10 開演 18:30 『ジェリーフィッシュの恋』
大学の寮で新しいルームメイトを探していたパイ。しかしやっと見つかった相手、キムは、パイの苦手なトムボーイ!?「ここから入らないで!」と部屋を二分し、完全に生活を分けようとするパイだったが、そんなことは意に介さず素直に優しく接するキムに、いつからか心を開いていく。AQFFで上映され、多くの観客をキュン死にさせた作品が関西に満を持して初登場!
★京都会場★
10月4日(金)
開場 19:05 開演 19:25 『Call me Kuchu ルワンダで生きる』
2009年にウガンダで提案された反同性愛法。可決されると同性愛は死刑。これに賛同する大衆は嗤うー「奴らは生き物か?本当に人間か?」。そんな人々に彼らは訴える。誰を愛しても、誰が何者でも、その人を否定する理由にはならないはずだと。彼らは友人と歌い踊り、日々を生き、そして変化を願い働きかける。たとえ大衆に晒されようと、たとえ石を投げられようと、たとえ友人を殺されようと。
10月5日(土)
開場 13:20 開演 13:40 『いてはいけない人』 ★レクチャー
開場 15:55 開演 16:15 『ラブリー・マン』
はるばるジャカルタまで来たチャハヤが探し当てたのは、娼婦として働く父だった。派手な服装の娼婦とイスラムの白スカーフを被った小柄な女の子、スラムの街を背景に流れるクラシック音楽など、作中に散りばめられた対比ひとつひとつが美しい。聖と俗、善と悪、清と濁、一夜かぎりの父と娘。その全てを飲み込むジャカルタの街。ラストには、夜明けのアザーン(礼拝の呼び掛け)に洗い流されるような深い感動に包まれる一作。
開場 18:30 開演 18:50 『アタフェの選択』
開場 21:10 開演 21:30 『クィアな仲間の作り方』
それはまるで、気のおけない友人達とおしゃべりをしてる気分になる映画。血縁や法制度によって維持されるのではない「私たち」の人間関係の豊かさや厚みを描きます。「○○だからこうしなきゃ」の定義づけや同化ではなく、一人ひとりが自由に作り出す親密さ。そしてその曖昧さと複雑さ。「男子であること」「トランス物語に抗して」のロスカム監督の、愛と家族についての挑戦を見てみよう。
『トランジット』『乙女とお姫さま』『罪なき罪ークィアと身体障害』『R/EVOLVEー結婚と平等とピンクマネー』『不能愛-Love me not-』トランジット
乙女とお姫さま
不能愛-Love me not-
『トランジット』
父親の遺灰を埋葬するため故郷に帰る途中、うっかり寝過ごしたせいか、遺灰を携えたまま空港に足止めされることに。そこで出会ったのはひとりの女性。名前も知らない彼女と、翌朝までのわずかな時間を一緒に過ごすことになった。何も起きていないようで、それでも何かが起きているような、ふたりの絶妙な距離感が美しい。儚いからこそ、その瞬間瞬間が輝いていたーそんなことを気づかせてくれる逸品。
『乙女とお姫さま』
同級生の女の子にほのかな思いを抱くが、まわりに囃したてられ、両親にも否定され、1人悩む少女エミー。そんなエミーの前に突然現れた1冊の本。その物語は…
『不能愛-Love me not-』
アギーとデニス、それぞれ「レズビアン」「ゲイ」と公言する2人の間に芽生える親密な感情を描き、去年の映画祭で好評を博した香港映画。複雑な関係のあり方、ラベルの持つ意味など、必ずはっとする瞬間があるはず。
10月6日(日)
★「あん、あん、あん」監督トーク
開場 13:40 開演 14:00 『トランスパパ』
開場 16:10 開演 16:30 『モスキータ&マリ』
開場 18:35 開演 18:55 『鏡を見つめて』
協力:西部講堂連絡協議会 助成:ゲーテ・インスティトュート・ヴィラ鴨川
後援:スイス大使館、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館
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