シネマート六本木にて9月9日より公開!
どんなに負けつづけてもあきらめない
工場勤めのカム・サヨンは、系列会社のプロ野球チーム〈サムミ・スーパースターズ〉
に晴れて入団。子供の頃からの夢に大きく近づいたと思ったのも束の間、チームは負けつづけ、
サヨンも敗戦処理専門投手としてしか使われない。だが、全国民が注目する最強チームとの試合で、
遂に先発登板のチャンス到来。果たしてサヨンは、この一世一代の試合を勝ち抜くことができるだろうか?
カム・サヨンは、韓国プロ野球創成期の1982年から5年間、実際にサムミ・スーパースターズに在籍した左腕投手。
5年間で1勝15敗1セーブというみじめな成績に終わったカム投手だが、それでも投げつづけた彼を通して、
夢をあきらめない本当の強さと幸福を描き出した、トゥルーストーリーが、『スーパースター☆カム・サヨン』だ。
韓国映画が誇る演技派が勢揃い
カム・サヨンを演じるのは、10年近い脇役生活を経て開花した、イ・ボムス。『シングルス』にしろ『オー!ブラザーズ』
にしろ、複数の主演者のひとりとしてコミカルな個性を光らせてきた彼が、初めて一枚看板で主演したのが、
下積みの長かった自身の経歴とも重なる本作だ。また、サヨンの心の支えになる女性ウナ役に『オールド・ボーイ』のユン・
ジンソが扮しているほか、チーム仲間にリュ・スンス(『大統領の理髪師』)、イ・ヒョクチェ(『あぶない奴ら~TWO
GUYS~』)、対戦相手のスター投手パク・チョルスンにコン・ユ(『同い年の家庭教師』)が扮して、
サヨンの挑戦を盛り上げる。また、パク・ヨンウ(『MUSA-武士-』『永遠の片想い』)がロッテ・
ジャイアンツの選手としてワンシーンだけカメオ出演している。
実在のカム・
サヨン
本作で監督デビューを果たしたキム・ジョンヒョン監督は、幼い頃から熱烈な野球ファンで、
特にOBベアーズのスター投手パク・チョルスンのファンだった。そして、いつも試合終了近くで登板するサムミ・
スーパースターズのカム・サヨン投手を笑いの種にしていたという。長じて兵役時代でも、野球やサッカーでヘマをする者を
「お前はカム・サヨンか」とからかった。だが、ある日、ふと思った。「なぜ自分は彼をバカにしてきたのだろう」と。
この自問から、夢を持ちつづけるすべての人を応援する映画を撮ろうと、シナリオに着手。映画化を最初は固辞したカム・
サヨン氏も、監督の熱意にほだされ、遂にはさまざまなアイディアを出してくれたという。1957年生まれのカム・
サヨン氏は、ディスカウントストアのシニアマネージャーとして勤務した後、現在は国際デジタル大学野球チームの監督に就任。
今なお野球は「私の人生すべてです」と語っている。
カム・サヨンは、工場の主任を務めるかたわら社会人野球の投手としても活躍。
「インチョン市長杯」決勝戦では完投勝利を遂げた。職場でも投球フォームを研究し、
仕事が終われば投球練習に励むサヨンに、またとないチャンスが訪れる。韓国プロ野球元年の1982年、
サヨンの勤める工場の系列会社がプロ球団を結成し、選手を公開募集したのだ。
市場で乾物屋を営む母親は大反対するが、夢をあきらめきれないサヨンはサムミ・スーパースターズの投手テストに、
見事、合格する。
いよいよ開幕を迎えるも、サムミは6球団の中で最下位に甘んじる。
負け試合のたびに怒ったファンが選手たちのバスをボコボコにする日々、
サヨンは乾物屋の店番をしていた時に見初めた女の子に再会。野球場のチケット売り場で働く彼女、ウナと、
少しずつ距離を縮めていくサヨンだったが、チームは連敗を重ねる。やっと監督から声がかかったのは、
10対1で負けが決定的になった9回裏だった。以後も敗戦処理専門投手として使われ、テレビ中継にも映らない始末。
それでも、「監督が頼れるのは俺しかいないんだ」と、母親には笑顔で強がりを言いつづける。
野球に無関心だったはずの母親は、実はサヨンの試合をいつも観戦していたのだが、
息子が吹くホラを黙って聞き流してくれていた。珍しく弱音を吐くサヨンに母親は明るく言う。
「世間がみんな変わっても、母さんはずっとお前の大ファンだよ!」
最強チームのOBベアーズの花形投手パク・チョルスンは連勝を19にのばし、次の試合はサムミとあたることになっていた。
サムミの投手陣は誰もOB戦に出たがらない。サヨンは意を決して「僕に投げさせてください」と立候補するが……。
カム・サヨンとは?
1982年に始まった韓国プロ野球。その最初の20年間で、引退投手は758名。うち327人は、
1勝もあげずに野球界を去った──。
カム・サヨンがプロに在籍した82 年からの5年間で残した成績は、1勝15敗1セーブという惨憺たるものだ。だから彼は
「負け」だろうか? 弱小チームの中で敗戦処理専門投手と見なされながら、野球への愛情、
プレイすることの喜びをいささかも減じなかった彼が、「負け」だろうか? キム・ジョンヒョン監督の答えは明快だ。
人生は数字の勝負ではない。夢を純粋に追いつづける姿勢こそが、人生の勝敗を決するのだ。
1957年3月23日、慶尚南道の釜山近郊に生まれたカム・サヨンは、鎮海(チンヘ)中学時代から野球を始め、馬山
(マサン)高校を経て仁川(インチョン)体育大学を卒業。81年に三美(サムミ)重工業に入社し、翌年、サムミ・
スーパースターズに入団を果たす。ただし入団テストに合格したのは、
チームが左腕投手を欲していたからに過ぎなかったという。85年まで在籍し、86年にOBベアーズに移籍するが、同年、
球団の売却にともなってカム・サヨンのプロ選手生活は幕を閉じた。以後、慶尚南道の昌原(チャンウォン)
の中学校と小学校でコーチを、また、アマチュア・チームの会長を務め、
ディスカウントストアにシニアマネージャーとして勤務した後、現在は国際デジタル大学野球チームの監督に就任。
06年3月23日、初めての試合の為に球場にカムバックした。彼は今でも夢を追い続け、「野球は人生のすべて」と言い切る。
プロ選手生活の中で唯一の勝利はロッテ戦だった。だが、カム・サヨン本人にとってもっとも印象に残る試合は、
映画で描かれたOBベアーズのパク・チョルスンとの対決だったという。
映画ではパク投手の20連勝目を賭けた試合となっているが、実際は16連勝目を賭けた試合だった。
56年生まれのパク投手は、延世大学卒業後にミルウォーキー・ブリュワーズに入団し、韓国人初のマイナーリーグ選手になる。
82年、OBベアーズに入団して22連勝を達成(年間勝利数は24)。その記録はいまだに破られていない。以後、
腰痛に悩まされつつも「不死鳥」と称されて人気を誇り、94年には完封勝利を果たした。
96年に現役を引退した彼の背番号21は、02年より現・斗山ベアーズの永久欠番になっている。
キム・ジョンヒョン(監督・脚本)
1970年生まれ。中央大学映画科卒業。イ・ボムスも出演している『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』(98年/パク・
クァンチュン監督)や、ファン・ジョンミン主演の『ロード・ムービー』(02年/キム・インシク監督)
などで助監督をつとめ、本作品で監督デビューを果たした。
●● メッセージ ●●
子供の頃はOBベアーズの熱烈なファンで、大多数の友達と同じくパク・チョルスン投手が好きだった。カム・
サヨン選手のことは、とても下手な選手として覚えていて、兵役中も運動が苦手なやつを「お前はカム・サヨンか」
なんてからかったりしていた。でもある日、「なぜ僕は彼を馬鹿にするんだろう」と自問した。彼が敗戦処理専門投手で、
1勝しかしなかったからって、同情したり馬鹿にしたりするのは間違いだってことに気づいた。
人は夢を持ちつづけることのほうがずっと大切なのだから。
僕自身、中学生の頃から映画監督になることを夢見てきて、当時から「キム監督」と友人たちに呼ばれていた。
そして高校時代は、大学の映画科に進学することを夢見たし、カンヌ映画祭でグランプリを受賞する夢も抱いた。
第1作にとりかかっている今、僕は命がけで取り組んでいるが、このあと第2作第3作と撮りつづけられるのか、
それは誰にもわからない。監督協会に名を連ねていても、たった1作で姿を消す人は数多くいる。だから、カム・
サヨンは現在や未来の僕の姿でもあるし、夢を持つすべての人と重なるのだ。
シナリオの第1稿を書き上げたとき、カム・サヨンさんに会いに行った。02年の2月だった。その時は挨拶をしただけで、
どうしてもシナリオを渡すことができなかった。ただ、胸がいっぱいだった。
シナリオの中でずっと一緒だったその人に会ったのだから。会う前は、現在どんな暮らしをしているか見当もつかなかったから、
前科者になっていたりアルコール中毒になってないことを祈った。実際のカム・サヨンさんは、幸いなことに、
今も野球をつづけていて、幸せそうだった。
最初は映画化の話を真に受けてくれなかった。でも、その後も何度か会い、シナリオを渡した時点で、
やっと真面目に考えてくれて、承諾後は積極的にアイディアを出してくれた。例えば、
「最近はコメディ映画がヒットしているらしいから、もっとコミカルな部分を多くしたら」とか、
「デートシーンもあったほうがいい」とか(笑)。
CAST
カム・サヨン - イ・ボムス
イン・ホボン - リュ・スンス
パク・チョルスン - コン・ユ
パク・ウナ - ユン・ジンソ
クム・クァンオク - イ・ヒョクジェ
サムミ スーパースターズ監督 - チャン・ハンソン
母親 - キム・スミ
STAFF
監督・脚本 ― キム・ジョンヒョン
撮影 ― キム・ヨンホ
照明 ― ヤン・ウサン
編集 ― シン・ミンギョン
音楽 ― パク・キフン
衣装 ― イム・ミョンファ
製作総指揮 ― パク・ドンホ
プロデューサー ― チャ・スンジェ ノ・ジョンユン ユン・サンオ
提供 - CJエンタテインメント CJインベストメント
アズテックインベストメント マイルストン&パートナーズ
製作 ― サイダスFNH
(c)2004 CJ ENTERTAINMENT INC. & SIDUS FNH. ALL RIGHTS
RESERVED
提供:アミューズ/IMX/ポニーキャニオン
宣伝:ライスタウンカンパニー
配給:IMX
2004年/韓国/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/1時間53分
シネマート六本木にて9月9日より公開!
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