インタビュー
滝沢乃南
公式サイト:http://www.benten.org/akiba/
滝沢乃南・公式サイト: http://www.happy-talk.jp/

滝沢乃南(女優) 1985年埼玉県生まれ。数々の写真集、イメージDVDをリリース。昨年度は、秋葉原石丸電気ソフト1のDVD発売記念イベント売上2位(1位:仲根かすみ)を記録し、トップグラビアアイドルに成長。TV『ウォーターボーイズ 2005夏』に出演後、2006年7月には『アキハバラ@DEEP』第九話にゲスト主役。2007年2月に発売される河崎実監督『トンデモホラーシリーズ』でも主演を務めている。

12月23日から池袋テアトルダイヤで公開される『AKIBA』(小沼雄一監督)は、「メイド喫茶」「秋葉原」といった流行のモチーフを扱ったお手軽な娯楽作品に見えるが、その実、女性同士の友情とも恋情ともつかぬ微妙な関係を主題にした、真摯で悲痛な人間ドラマである。ヒロインのミナノを演じる滝沢乃南は、映画での主演は初めてながら、ひた向きかつ的確な演技で一本の映画をしっかり支えて瞠目させるし、相手役カナコを演じる前田綾花は、文字通り"体当たり"の演技で深い印象を残す。脇を固める中村優子も、都市生活者の孤独と狂気を漂わせて秀逸だ。アキバの固定化されたイメージを覆す物語に主演した滝沢乃南に話を伺った。

 

滝沢乃南1
――『AKIBA』の脚本を最初に読んだ時の印象は?

滝沢 正直に言うと、まず「私にできるかな?」という不安が大きかったです。だけど台本を読み込むうちに、ミナノが夢に向かって頑張る一生懸命さとか、カナコに対する思いだとか、そういう気持ちの部分を読んで「やりきれそう! 頑張るぞ!」と思えるようになりました。

――ミナノに自分と近い部分を見出すことができた?

滝沢 そうですね、ミナノは情に厚い部分があって、そこは感情移入しやすかったです。

――ミナノは類型的なキャラクターではなく、かなり生々しい造型をされていますよね。頑張り屋である半面、カナコが窮地に追いやられれば風俗店に救出に向かうし、怒ったら車の窓に石をぶつけて割ってしまう。

滝沢 私にもある種、感情的な部分があるので、そこも似ているなと。ただ、ミナノにはまだ大人になりきれていない部分があるかもしれません。カナコを守ろうとして風俗店に乗り込んでいく場面、あそこは逆に彼女が大人に近づいている場面なのかなと思っています。

滝沢乃南2
――実際に親友が敵地に拉致されたりしたら、乗り込みますか?

滝沢 行っちゃうと思います(笑)。

前田綾花さんについて

――カナコ役の前田綾花さんはどんな方ですか?

滝沢 凄くまわりに気を使ってくれる方です。私が映画初主演で、プレッシャーがあることをよく分かってくださっていたと思うんです。本番が終わったあと、(こうすればよかった)なんて後悔していたりすると、優しく話しかけてくれたり、「こうすればいいんじゃない?」とアドバイスをくださったりして。

――映画を見てるとカナコみたいな人なのかなって思っちゃいますよね。

滝沢 全然ちがいます(笑)、大人です!

――お互いの役柄について話し合いはしましたか?

滝沢 多少しました。ミナノにとってカナコは、友だち以上、家族未満。あるいは家族そのものだったのかなと思っています。いつも支え合っていて、私が守ってあげなきゃと思える存在で……。

――小学生の頃の回想シーンで、ミナノがカナコに背後から抱かせてあげる場面があります。ああいう感覚は、理解できるところはありましたか?
滝沢乃南3

滝沢 役としての理解はありました。大人になっても人の根本的な性格って変わらないと思うんですよ。だからミナノはカナコに対しても「嫌い」という感情はなかったと思うんですね。少しまわりの目が気になっているだけで。

――前田綾花さんとはキスシーンがあります。女優さん同士で「これはいやだなあ」といった会話はありましたか?

滝沢 いや、全然ないです。役に入り込んでいて、あれが自然の流れというか。カナコの唇を見て「あ、血が出てる」って思って、そのまま……。

感情の爆発

――水着撮影のシーンで、ミナノがどうしても笑顔を作れなくて、どんどん現場の空気が悪くなっていくじゃないですか。ああいう経験をしたことは?

滝沢 それは……ないです(笑)。あのシーンはデビュー当時の気持ちにシンクロさせて演じました。撮影現場では自分でポーズを作らなければいけないので、次にどういった表情をすればいいだろうかとか、どんな動きをしようとか、一生懸命研究していました。いろんな雑誌を見たり、他のアイドルのDVDや写真を見たりして。

――作品の最大の見所は、水着撮影の現場でミナノが感情を爆発させるシーンだと思うんです。あそこは凄く見応えがありました。
滝沢乃南4

滝沢 現場でもかなり監督にプレッシャーかけられていました(笑)。撮影に入る前にリハーサルはやったんですけど、あそこまではできなくて。そしたら監督が「あとは撮影を楽しみにしてるから」って。現場ではテストもなく、いきなり本番でした。でも自分の中では自然にできましたね。あのシーンは撮影期間の中盤あたりだったんですけど、その頃になるとカナコへの思いが凄くあって。

――じゃあ悲しいことを思い出して泣こうとか、無理やり涙を流すとか、そういったことなしに?

滝沢 ないです。あのシーンの前に、ミナノがカナコにきつくあたってしまったことを思い出して、(どうしてあんなこと言ってしまったんだろう)とか、(私、自分のことしか考えてなくて子どもだったなあ)とか、そういうことを考えると自然に泣けてきて……。

――物語はかなり衝撃的な結末を迎えます。このラストに、抵抗は感じなかった?

滝沢 結末については、監督も撮っている間にずっと悩んでいたみたいです。演じるうちに私もカナコに対する思いが凄く強くなってしまって、「こうはあってほしくないな」と思ったんですけど……(言葉に詰まる)……結末は結末だし、受け入れなきゃというのはありました。それに、あのラストがあるからこそ、お互いがお互いを本当に思いあっていたことが伝わるのかなって思うんです。

秋葉原、メイド喫茶

――秋葉原という町にはどんなイメージが?
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滝沢 元々グラビアをやっていたので、オタクの街なのかな、とは思っていたんです。でも撮影の合間に、メイクさんやキャストの皆さんと秋葉原を探検して、どういうお店があってどういう人たちがいて、といったことを見聞きするうち、オタクというよりは個性溢れる人たちがたくさんいる街なんだな、と。そういう考え方をするようになりました。

――メイド喫茶の客との会話の中で「恋人は?」「お客様が恋人です」という会話があるじゃないですか。あれってアイドルも同じだと思うんですよ。

滝沢 そうですね、似ている部分はあると思いました。ミナノは芸能界を目指しながらメイド喫茶で働いているんですが、職業的なプライドはとても高いと思うんです。私生活では決して楽しいことばかりではないけれど、仕事の現場では「お客様が恋人です」と言って、笑顔を振り撒いて。プロ意識という点では役に入りやすかったですね。

――メイド喫茶でのバイトの経験は?

滝沢 ないですけど、撮影前に監督やメイド役の子たちと見学に行きました。お辞儀の仕方だったり、お客様との話し方だったりを見学して、芝居では全くその通りにしました。映画に出演しているメイドさんのうちの三人くらいはそのお店の方なんです。みんなプライドを持って仕事に取り組んでいると感じました。

――メイドの格好で群集を歩くシーンで「恥ずかしい」と思ったりは?

滝沢 全然。役に入っちゃうと他のことは飛んじゃいます。

――いちばん気に入っているシーンは?
滝沢乃南6

滝沢 部屋の中で、カナコとミナノが寝転がっているシーンです。やっと心が通い合ったという感じがして……。それから、ミナノが幼馴染のトオル(篠田光亮)の車のガラスを割るシーンは、一回しか撮れないので、お互いかなり緊張しました。思いっきり力入れて投げないと割れないぞって。ある意味、見所です(笑)。

――逆にリテイクしたい場面は?

滝沢 それはないです(きっぱり)。そのときそのとき最大の力を振り絞って演じたので。

――この映画の撮影はどういう経験でした?

滝沢 私にとって、一つ一つ壁を乗り越えていく経験でした。演技に対する壁……でも、演技じゃなくて、自分の中に芽生えた感情を自然に表現するための壁を乗り越えていく、そんな経験でした。

――今後どんな役に挑戦したいですか?

滝沢 私は菅野美穂さんが好きで、菅野さんのようにどんな役でも出来る女優さんになりたいなと思っています。だからどんな役にもチャレンジしたいんですけど……あの、二十歳になったので年齢的に難しいんですけど……高校生のキャピキャピした役をしたいなって(笑)。なんかイメージ的に落ち着いていると言われることが多いので、正反対の役をやってみたいなと。

――好きな映画を三本挙げてください。

滝沢 第一位は『魔女の宅急便』(宮崎駿監督)です。キキを自分に重ね合わせることができるので。キキも本物の魔女になるために修行して頑張っている。見ていて励まされます。第二位は『私の頭の中の消しゴム』(イ・ジェハン監督)です。男の人の思いやりが感じられたってことですね。第三位は『チャーリーズ・エンジェル』(マックG監督)。女性三人が楽しそうにいて憧れます(笑)。

――最後に『AKIBA』をご覧になるお客さんに一言。

滝沢 『AKIBA』という作品は、見ているお客さんが、自分にとっていちばん大切な人の存在について、改めて思いを馳せられる作品だと思います。友達にしろ、恋人にしろ、家族にしろ。だから色々な方にぜひ観てほしいなと思います。

――ありがとうございました。

(2006/11/10、渋谷にて)

取材/文:膳場岳人、撮影:仙道勇人

公式サイト:http://www.benten.org/akiba/
滝沢乃南・公式サイト: http://www.happy-talk.jp/

『AKIBA』動画を無料配信中!2007年7月1日~年12月31日

AKIBA アキバ  2006年 日本
監督・脚本・編集:小沼雄一
出演:滝沢乃南
前田綾花
篠田光亮
岩川幸司
蒲生純一
中村優子
2006年12月23日より池袋テアトルダイヤにて
正月第一弾レイトショー

2006/12/16/01:49 | トラックバック (0)
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