新作情報

ウェディング・ベルを鳴らせ!

4月25日(土)より、シネマライズ他にて全国順次ロードショー

INTRODUCTION

だれもがハッピーになる究極の婚活・サクセス・ストーリー!

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』1ルビアのとある農村。おじいちゃんと2人で暮らすツァーネは、のんびり気ままな田舎生活を送っていた。
しかしある日、自らの余命が残り少ないと悟ったおじいちゃんから3つの約束を言い渡され、町へ向かうことに―。その約束とは、1「牛のツヴェトカを売り、そのお金で聖ニコラスのイコンを買うこと」、2「好きなお土産を買うこと」、そして、3「花嫁を連れて帰ること」。はじめての都会に驚くのも束の間、ツァーネはすぐさま、可憐な美女、ヤスナに一目ぼれ!
「彼女こそ、僕のお嫁さんだ!」と、あの手この手で追いかけるが、彼の前に強力な壁が立ちはだかる。それは、セルビア初の貿易センタービルの建設を目論む新興マフィア!そしてヤスナの美貌に目をつけたマフィアのボスの陰謀に、ふたりは巻き込まれて行く。一方、村で帰りを待つ祖父も、唯一の隣人ボサから熱烈に結婚を迫られ……
はたしてツァーネはヤスナを悪党の毒牙から守り、村に連れて帰れるのか?
祖父と孫のダブル・ウェディングは実現するのか!?

世界で最も愛される巨匠エミール・クストリッツァ
待望の新作は原点回帰のラブ・コメディ!

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』2督は、不条理な社会をコミカルかつ感動的に描く手腕が世界で最も独創的と謳われ、『パパは、出張中!』(85)『アンダーグラウンド』(95)でのカンヌ映画祭パルムドール2冠をはじめ、世界三大映画祭完全制覇を誇る巨匠、エミール・クストリッツァ。祖国・旧ユーゴスラビアの歴史を題材に、生きることの厳しさと素晴らしさを描いてきた鬼才が、普遍的なユーモアにあふれた現代の寓話を作り上げた。
監督自身「誰にでもわかるシンプルな物語を作りたかった」と言うように、ストーリーはこれまでになく単純明快。祖父との約束を果たすために都会に行った少年が、様々な試練に立ち向かいながら恋に落ち、めでたしめでたしの大団円に向かってノンストップで突っ走る!
もっとも、一筋縄ではいかないのがクストリッツァ流。今回も、変態マフィアに空飛ぶサーカス男、懲りない役人、石頭のクラッシャー兄弟といった奇天烈な面々が少年と祖父それぞれの恋路を引っかき回し、物語は壮絶なドンパチあり、アクロバティックな脱出劇ありのとんでもない方向へ!?
クストリッツァが贈る『黒猫・白猫』(98)以来のドタバタ喜劇にして、一途でピュアなラブ・ストーリー『ウェディング・ベルを鳴らせ!』。観る者すべての心をポジティブなエネルギーで満たしてくれる、陽気な恋のおとぎばなしが誕生した。

緑のユートピアから狂躁の都会へ
ドタバタ珍道中を盛り上げるバルカン・サウンド

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』3人公が暮らすのは、21世紀的な物質的豊かさからはかけ離れたセルビアの山村。前作『ライフ・イズ・ミラクル』(04)のロケ地が気に入ったクストリッツァは、なんと土地を買い取って自身の村を設立した。その中で実感した「人間らしい生活の美しさ」が、この映画のテーマのひとつとなっている。牧歌的な田舎ライフと、地上げ、売春など様々なかたちの暴力が横行する都会の暮らしを対比することで、グローバリゼーションによって変わりゆく世界を皮肉たっぷりに映し出す。
そして、そんな田舎と都会の人間模様を盛り立てるのはもちろん音楽! 手掛けたのは、監督の息子であり、ヨーロッパで熱狂的なファンを持つ「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」のメンバーでもあるストリボル・クストリッツァ。一度聴いたら病み付きになるバルカン生まれの“ウンザ・ウンザ”サウンドが、初恋のドキドキ感や格闘場面のボルテージを最高潮に押し上げ、登場人物たちを狂躁の渦に巻き込む!

クストリッツァ組に欠かせない超個性派キャスト、
表情豊かな動物たちが大集結!

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』4つも味わい深い魅力的なキャラクターが満載のクストリッツァ映画、中でも本作は老人も若者もイイ顔揃い!
主人公ツァーネを演じるのは、『それでも生きる子供たちへ』の一編「ブルー・ジプシー」で主人公を演じた16歳のウロシュ・ミロヴァノヴィッチ。田舎育ちのたくましさと、キュートな魅力を抜群の演技センスで体現している。彼が恋に落ちる美女ヤスナには、クストリッツァがセルビアのとある学校で見つけてきた新星マリヤ・ペトロニイェヴィッチ。究極のDIY精神を持った骨太な祖父に、『ライフ・イズ・ミラクル』で郵便配達夫を演じたアレクサンドル・ベルチェック。そして、『パパは、出張中!』『アンダーグラウンド』などでお馴染みの名優ミキ・マノイロヴィッチが、マフィアのボス役でキワキワの怪演を繰り広げる。また、主人公のリビドーを刺激する隣人の女教師ボサ役で、伝説のデビュー作“Do You Remember Dolly Bell?”のヒロインが25年ぶりにクストリッツァ作品に復帰しているのも要注目。その他、プロの役者ではないが見ているだけで面白い老若男女に加え、牛、猫、犬、七面鳥、ニワトリといったクストリッツァ映画名物の動物たちが奇想天外な言動でスクリーンを賑わせている。

4月25日(土)より、シネマライズ他にて全国順次ロードショー

COMMENTARY

クストリッツァが語る『ウェディング・ベルを鳴らせ!』

引継がれていく価値観

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』5私は5年前にこの地域(映画の舞台となっているセルビアの山奥)に移り住み、都会のコンテクストとは無縁の人々の暮らしがいかに美しくクリーンであるかを実感してきた。この映画のアイデアは、そのような体験から生まれたものだ。少年は3つの約束を果たすため、都会で様々な試練を乗り越え、その過程で彼は祖父の倫理観を引継いでいく。私がこれまでの人生で培ってきたビジョンを、コメディという形で表現できたのに歓びを感じている。

主人公が都会で出会うグローバリズム

ツァーネが都会で出会う資本主義、マフィア、デベロッパー——今の世の中を見れば多国籍企業が民主主義を破壊しているのは明らかだが、私はこの映画ではその現象をジョークとして扱い、またどんな場所にも善人がいることを描いた。ツァーネの道先案内人となる兄弟は、漫画のキャラクターのようでもあり、マカロニ・ウエスタンに登場する道化のようでもある。私はセルジオ・レオーネの映画が好きで、あの見事なまでの誇張に惹かれる。つまり、ツァーネが都会から持ち帰るお土産とは、物ではなくてこういった人々との出会いなんだ。

映画が放つポジティブなエネルギー

本作では、街に行き、3つの約束を成し遂げ、戻ってくる——日本の昔話にあるような非常にシンプルな物語を作りたいと思った。映画の構成自体は、私の初期の映画に近いが、流れるエネルギーは最近の作品と共通している。
「ヒトラーは憎しみからポーランドに侵攻したが、今日の戦争は愛ゆえに起こる」というセリフは、まぎれもない真実だ。それが現代の戦争のかたちであり、飛行機で突撃されたところで、我々は何もできない。ナオミ・クライン(※1)が21世紀は「製品」ではなく「ブランド」の時代だと書いているが、質や内容よりもブランドが効力を持つそのからくりは、戦争も同じだ。ジョークを言って自殺するほかない場所、それが今の腐り切った世界だ。しかし、私の映画と私の美学は自殺したくなるような現実を忘れさせてくれる素晴らしい代替品であり、そのことに私自身も救われてきた。
映画とは、脳味噌にポジティブなエネルギーを注ぐことで人々を救うファンタスティックな武器であることを、我々は忘れてはならない。

プロとアマチュアが混在する現場

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』6キャストの多くはプロの役者ではない。そのことが私を奮い立たせ、ストーリーに取り組む上でも新鮮な気持ちにさせた。プロの俳優は、効率は良いが、時々ルーティーンに陥ることがある。芸術において「上手さ」は危険だ。ヴィスコンティは大好きな監督だが、晩年の作品には心が動かされなかった。(ルーティーンを避けるために)正確さを求めるのではなく、即興が入る余地を残し、新しい感情や新しいチャレンジに対してオープンであろうと心がけている。

変わりゆく映画界について

私は70年代のアメリカ映画を敬愛している。いまやハリウッド映画は「人間とは何か」を問うことをやめてしまった。挑戦している映画もあるが、そのような作品はどんどん隅に追いやられている。かつて『タクシー・ドライバー』や『レイジング・ブル』(※2)が描いたようなアウトサイダーや負け犬は排除され、私たちは近代化や友人とうまくつき合うことを求められる。ナオミ・クラインが言うように、“質問を投げかけることは許されない”んだ。

(※1)ナオミ・クライン…カナダのジャーナリスト、作家、活動家。21世紀初頭における、世界で最も著名な女性知識人、活動家の一人として知られている。『ブランドなんか、いらない——搾取で巨大化する大企業の非情』(はまの出版 2001年刊)などのベストセラーがある。
(※2)『タクシー・ドライバー』は本作に、『レイジング・ブル』は『ジプシーのとき』の劇中に登場している。

エミール・クストリッツァ (製作・監督・共同脚本)
1954年11月24日、旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)のサラエヴォ生まれ。父はボスニア・ヘルツェゴビナ情報省の役人。サッカーやロックに夢中の少年時代を過ごす。18歳の時、息子が不良とつるんでいるのを見かねた両親のすすめでプラハの国立映画学校(FAMU)に留学。ミロシュ・フォアマン、ヤン・シュヴァンクマイエルなどを輩出した名門である同大学で、たちまち映画の才能を開花させ、ナチスのユダヤ人迫害を少年の目から描いた短編“Guernica”(78)でカルロヴィ・ヴァリ学生映画祭グランプリを受賞する。卒業後、母国のテレビ局と契約し、中編“The Brides are coming”“Buffet Titanic”を監督。第二次世界大戦中のサラエヴォにおけるホロコーストを描いた後者はポルトロージュのユーゴ映画祭グランプリを獲得した。
81年、『Do You Remember Dolly Bell?』で長編デビュー。少年の恋や、西側のポップ・カルチャーへの憧れを描き、ヴェネチア国際映画祭新人賞受賞。続く『パパは、出張中!』(85)では、当時タブーだった体制批判の姿勢を示してカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞、続く『ジプシーのとき』(88)で同監督賞を受賞し、ヨーロッパを代表する監督の一人となる。90年、コロンビア大学映画学科で教えるために渡米し、ジョニー・デップら著名スターを擁した『アリゾナ・ドリーム』(93)を制作するが、撮影中にユーゴ内戦が勃発。母国の崩壊と父の死を経験したクストリッツァは、ユーゴの50年にわたる動乱の歴史を描いた大作『アンダーグラウンド』(95)で、二度目のカンヌ・パルムドールに輝いた。その一方で、一部の人々から「親セルビア的」だとバッシングを受け、この映画と紛争をめぐる政治論争に巻き込まれるまでの影響を及ぼした結果、引退を表明した。その後、政治性を廃したドタバタ・コメディ『黒猫・白猫』(98)で復帰し、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞。続く『SUPER 8』(01)、『ライフ・イズ・ミラクル』(04)でも国際的な成功をおさめ、05年にはカンヌ国際映画祭の審査委員長に選出。07年、フランス芸術文化勲章シェヴァリエを受賞。08年にはサッカー界の伝説的人物ディエゴ・マラドーナのドキュメンタリー『Maradona by Kusturica』を発表。
世界で最も偉大な映画作家の一人と称されると同時に、映画の枠にとどまらない破天荒でエネルギッシュな表現活動で知られるクストリッツァ。『ライフ・イズ・ミラクル』の撮影後には、ロケ地に映画学校、宿泊所、レストラン、スキー場などを擁する自身の村「Kustendorf」を設立。08年からは映画と音楽のフェスティバルも開催し、ジム・ジャームッシュ、オリバー・ストーンなど多彩なゲストを集めて話題を呼んでいる。 また、バルカン音楽をベースとしたミクスチャーバンド「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」を率いるミュージシャンとしても活躍し、ヨーロッパや南米で熱狂的な支持を得ている。08年にはワールドツアーも敢行、初来日も果たした。 その他、俳優としてもパトリス・ルコント監督『サン・ピエールの未亡人』(99)、ニール・ジョーダン監督『ギャンブル・プレイ』(02)などで圧倒的な存在感を放っている。

Filmography
『Do you remember Dolly Bell?』(1981)
★ヴェネチア国際映画祭新人監督賞/サンパウロ国際映画祭審査員賞
パパは、出張中!』(1985)
★カンヌ国際映画祭パルムドール/アカデミー外国語映画賞ノミネート
『ジプシーのとき』(1988)★カンヌ国際映画祭監督賞
アリゾナ・ドリーム』(1993)★ベルリン国際映画祭銀熊賞
アンダーグラウンド』(1995)★カンヌ国際映画祭パルムドール
黒猫・白猫』(1997)★ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞
サン・ピエールの未亡人』 (1999) ※出演
SUPER 8』(2001)★シカゴ国際映画祭ドキュメンタリー賞
ギャンブル・プレイ』 (2002) ※出演
ライフ・イズ・ミラクル』(2004)★セザール賞EU作品賞
「ブルー・ジプシー(短編)」(2005)
7カ国の監督がそれぞれの国の子供の現実を描くオムニバス『それでも生きる子供たちへ』の一編。

C R E D I T

脚本・監督:エミール・クストリッツア(『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』)
出演:ウロシュ・ミロヴァノヴィッチ,マリア・ペトロニヴィッチ,アレクサンダル・ベルチェク,ミキ・マノイロヴィッチ,
リリャナ・ブラゴイェヴィッチ,ストリボール・クストリッツァ
原題:Promets Moi/2007年/セルビア共和国、フランス/カラー/アメリカンヴィスタ/127分
後援:セルビア共和国大使館 提供:デスペラード 配給:デスペラード/日活
http://www.weddingbell.jp/

4月25日(土)より、シネマライズ他にて全国順次ロードショー

アンダーグラウンド [DVD]
アンダーグラウンド [DVD]
  • 監督:エミール・クストリッツァ
  • 出演:ミキ・マノイロヴィチ, ラザル・リストフスキー
  • 発売日:2001-07-21
  • おすすめ度:おすすめ度4.5
  • Amazon で詳細を見る
ライフ・イズ・ミラクル [DVD]
ライフ・イズ・ミラクル [DVD]
  • 監督:エミール・クストリッツァ
  • 出演:スラブコ・スティマチ, ナターシャ・ソラック, ヴク・コスティッチ, ニコラ・コジョ, ヴェスナ・トリヴァリッチ
  • 発売日:2006-04-05
  • おすすめ度:おすすめ度5.0
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2009/03/28/22:49 | トラックバック (1)
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