香港映画新世代監督パン・ホーチョン特集上映 第二弾

“香港のタランティーノ” 、“次世代のウォン・カーウァイ”と呼ばれ、昔から熱狂的なファンは多かったが、やはりマニアが観る映画というイメージがあったパン・ホーチョン。しかし遂に昨年 2012年「低俗喜劇」 と「恋の紫煙2」が香港で大ヒット!(2012年香港映画興行ランキング2位、3位) 一気にドル箱監督として注目され、今香港で最も期待されている映画監督と言われている。
この特集上映では1999年～2012年までの個性的すぎる彼のフィルモグラフィーの中から、厳選した8作品を劇場公開する！商業デビュー前となる幻の短編から、ファンを驚愕させたバイオレンススリラー、そして昨年香港映画の興行成績2位と3位になった最新作まで、コメディ、ラブストーリー、サスペンス、ホラー…と、特定のジャンルにとらわれることのない変幻自在のカメレオン監督が生んだ、唯一無二の作品群を一気に体感できるチャンスとなる。

『夏休みの宿題／暑期作業』(1999年・12分)
夏休みの最終日になっても、まだ宿題が終わっていない少年が生み出す、恐ろしい妄想を独特のタッチで描く。台湾アカデミー賞において最優秀短編賞に。自主映画ながら、監督の類い稀な才能が随所に見られる、すべての原点ともいえる一作。

『ビヨンド・アワ・ケン／公主復仇記』(2004年・98分)
女優志望の中国人・シャーリーの前に現れた、元教師のワイチン。シャーリーの彼氏である、消防士のケンと過去に付き合っていたという彼女は、彼とベッドで撮った写真を取り戻してほしいとシャーリーに頼むが…。女性の友情を描いたガーリー・ムービーになっているが、クライマックスへの展開はいかにもパン・ホーチョン作品。

『AV』(2005年・104分)
将来にこれといった夢も希望もないまま、卒業を控えた大学生たちが、ナンパ目的で映画製作を開始。さらに、日本からＡＶ女優を招聘し、あわよくば彼女とＨできるかも…という夢を実現させようとする。インパクトのあるタイトルや設定にセンセーショナルな話題を呼んだが、じつはせつない青春群像劇に仕上がっている。

『些細なこと／破事兒』(2007年・90分)
倦怠期を迎えた中年夫婦、見習いの殺し屋、恋する女子高生などに起こる、“些細な出来事”をテーマに全7話が展開。また、セックスやヴァイオレンス、ブラックでシニカルな笑いを散りばめ、当初から中国大陸での上映を視野に入れない監督のアグレッシヴな姿勢は、『ドリーム・ホーム』へ繋がっていく。

『恋の紫煙／志明與春嬌』(2010年・102分)
2007年の禁煙法により室内喫煙が禁止された香港。禁煙ムード高まる香港を舞台に、街角の喫煙所で出会った男女の恋を描く。過激な広東語スラングをふんだんに織り交ぜた会話で笑わせるため、ヌードや暴力描写が一切ないにも関わらずIII級片(成人指定映画)として公開された。
出演：ミリアム・ヨン、ショーン・ユー

『ドリーム・ホーム／維多利亞壹號』(2010年・96分)
働き者で野心家のチェン。彼女の夢は、ビクトリア湾を一望できる高級マンションを買うこと。ついに頭金を支払えるときになって、株式市場の急激な高騰により、家主は売値を上げてしまった。チェンは怒りのあまり、とんでもない企てをするが…。日本での劇場初公開作品にして絶叫必至の悶絶話題作。
出演：ジョシー・ホー、イーソン・チャン

『恋の紫煙2／春嬌與志明』(2012年・111分)
年の差カップルのチョンギウとジーミンは半年で同棲を解消。北京を舞台に互いに新しい恋人がいる中でのふたりの心のすれ違いや葛藤を絶妙なさじ加減で描写。元どおりにはなれないことを知りながら、会わずにはいられないふたりの愛の行方は…。パン監督らしい笑いを交え、香港人の今を映し出した快作。2012年香港映画興収第3位。
出演：ミリアム・ヨン、ショーン・ユー

『低俗喜劇』(2012年・92分)
キャリアはムダに長いが、ヒット作が1本もない映画プロデューサーのトーが怪しげな金持ち投資家ティラノザウルスと手を組んで過去のお色気作品を配役もそのままにリメイクすることに。しかし、往年のセクシー女優はすでに60歳で、もう脱ぐのは無理。そこで、トーはある奇策を提案するのだったが…。業界ネタや実話を赤裸々に盛り込み、下ネタ満載の低俗ぶりが話題を呼んだ大ヒット作。2012年香港映画興収第2位。
出演：チャップマン・トー、ロナルド・チェン、ダダ・チャン、フィオナ・シット、サイモン・ロイ