アテム・クライチェ (監督)
映画『スターシップ9』について【3/5】
2017年8月5日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
公式サイト 公式twitter (取材:常川拓也)
──これまで『ゾンビ・リミット』ではゾンビ映画、『ヒドゥン・フェイス』ではオカルト心霊映画、そして『スターシップ9』ではSF映画に挑戦しているように見えますが、あなたは子どもの頃からジャンル映画を愛して育ってきたのですか。
クライチェ もちろん私はジャンル映画は好きですが、ジャンルの定義に縛り付けられたような形のジャンル映画を作りたいという風に思っているわけではありません。たとえば『ゾンビ・リミット』ではゾンビは出てきますが、まるでゾンビの出てこないゾンビ映画のような形になっています。ゾンビを使って映画を作るのと、ゾンビ映画であることは全く違うことだと思います。ゾンビは登場するけれども、必ずしもそれがゾンビ映画だとは限らず、ゾンビが登場する映画なのです。『ヒドゥン・フェイス』の場合は、たしかに心霊映画という風に言えるかもしれませんが、入り口は幽霊も出てくる心霊映画のようでありながら、最終的にはスリラーになっていきます。そして今回の『スターシップ9』の場合も前半はSFとしてのアプローチですが、最終的には現実に根差したSF──アメリカでいうところの「グラウンデッドSF」──になっていきます。この映画を観た人は、完全なSFというジャンルでは位置付けないのではないかと思います。入り口はSFであっても、現実の物語に根差したSFになっていく。なので、私の中では正統的なジャンルとしてのジャンル映画ではなく、一種のアプローチとしてジャンルの持つ要素は取り入れながらもジャンルを横断するような映画をいつも作りたいと考えています。
──たしかにどの作品もジャンル映画の定義をあえて裏返すというか、クリシェにある種のツイストを加えていることが特徴的です。
クライチェ 非常によくわかっていただいてようで嬉しいです。まさに私が正統的な定義に縛られないからこそ、あるジャンルを愛する人たちにとってはがっかりする人や戸惑う人もいらっしゃるかもしれません。正統的な形のジャンルの映画であってほしいと観る人はちょっと戸惑いを覚えるでしょうし、あるいは逆にツイストをかけられている部分をすごく気に入ってくれる人もいてくれて、評価は分かれるところだと思います。ただ私の場合は、あまりジャンルそのものにこだわらない、縛られないと同時に、色々なタイプのゾンビ映画であっても心霊映画であっても現実に根差した物語を展開したい、現実的なストーリーであってほしいというのが願いとしてあります。
監督・脚本:アテム・クライチェ
プロデューサー:クリスチャン・クンティ、ミゲル・メネンデス・デ・スビリャガ
撮影:パウ・エステヴェ 編集:アントニオ・フルトス 美術:イニーゴ・ナヴァロ 音楽:フェデリコ・フシド
出演:クララ・ラゴ、アレックス・ゴンザレス、ベレン・エルダ、アンドレス・パラ
配給:熱帯美術館 © 2016 Mono Films, S.L./ Cactus Flower, S.L. / Movistar +/ Órbita 9 Films, A.I.E.
公式サイト 公式twitter
2017年8月5日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷
ほか全国順次ロードショー
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