昨年11月26日に77歳で逝去した、イタリアを代表する映画監督ベルナルド・ベルトルッチの追悼特集上映の開催が急遽決定した。

今回上映されるのは、『革命前夜』(64)、『ベルトルッチの分身』(68)、『暗殺のオペラ』(70)、『暗殺の森』(70)の4作品。長編第2作目にあたる『革命前夜』は、フランスの文豪スタンダールの『パルムの僧院』を骨子に、マルクス主義にかぶれた裕福な青年のアイデンティティの分裂を描き、若干22歳のベルトルッチの当時の心象風景とヌーヴェル・ヴァーグへの強い傾倒がカンヌ国際映画祭で話題を呼び、新進批評家賞を受賞した。
3作目『ベルトルッチの分身』は、ロシアの文豪ドストエフスキーの『分身』を下敷きに、生真面目な大学講師／凶暴な殺人者という「二重人格」に引き裂かれる青年を描く。
第4作目の『暗殺のオペラ』は、ラテンアメリカ文学を代表する作家ルイス・ホルヘ・ボルヘスの短編「裏切り者と英雄のテーマ」を、レジスタンスとファシストの立場が時代によって交錯するイタリアの現代史になぞらえながら映像化している。
そして『暗殺の森』は、第二次大戦前夜のヨーロッパを舞台に、ファシストの暗殺者へと変貌していく青年の姿を描き、ベルトルッチを代表する作品の一つに数えられる名作だ。
これまでベルトルッチ作品に余り馴染みがなかったという人も、是非この機会にイタリアの巨匠監督の作品世界を堪能していただきたい。