
第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部⾨正式出品作
『LAMB/ラム』『ミッドサマー』『ムーンライト』A24製作最新作
テレビの中に入りたい


2025年9月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
ここではないどこかに⾏きたい。だけど、どこにも⾏けない。
あの頃、僕の居場所はテレビの中だけだった――。
毎週⼟曜⽇ 22 時半。
謎めいた深夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」は⽣きづらい現実世界を忘れさせてくれる唯⼀の居場所だった。ティーンエイジャーのオーウェンとマディはこの番組に夢中になり、次第に番組の登場⼈物と⾃分たちを重ねるようになっていく。しかしある⽇マディは去り、オーウェンは⼀⼈残される。⾃分はいったい何者なのか︖知りたい気持ちとそれを知ることの怖さとのはざまで、⾝動きができないまま、時間だけが過ぎていく――。
こだわりが⽬⼀杯詰まったヴィジュアルの卓越したセンス、考察や解釈の余地を残したミステリアスな寓話世界、そして魂の奥底から噴き上がってくるような⽣々しいエモーション――。A24 製作映画『テレビの中に⼊りたい』は、90 年代のアメリカ郊外を舞台に⾃分 のアイデンティティにもがく若者たちの“⾃分探し”メランコリック・スリラー。第 74 回ベルリン国際映画祭パノラマ部⾨正式出品をはじめ数々の映画祭で上映されると「唯⼀無⼆の傑作」「変幻⾃在の不穏さ」「型破りな映画」「この作品を表すのに“リンチ的”という⾔葉を使いたい」と絶賛され、全⽶では 2024 年 5 ⽉ 3 ⽇、4 館での限定公開から始まると瞬く間に評判を呼び、5 ⽉ 17 ⽇には 469 館に拡⼤するなど熱狂する若者たちが続出。エマ・ストーンが惚れ込んだ注⽬の新進気鋭ジェーン・シェーンブルン監督による特異な吸引⼒に満ちた本作は、“中度者続出で“世界中に熱狂的なファンを⽣み出し続けている。
郊外での⽇々をただやり過ごしているティーンエージャーのオーウェンにとって、謎めいた深夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」は⽣きづらい 現実世界を忘れさせてくれる唯⼀の居場所だった。同じくこの番組に夢中になっていたマディとともに、⼆⼈は次第に番組の登場⼈物と⾃分たちを重ねるようになっていく――。閉塞した⽇常をやり過ごしながら、⾃分のアイデンティティにもがく若者たちの、切なく幻想的な⻘春メランコリック・スリラーが魅惑の映像世界と共に展開する。


『感情的にも⼼理的にも強く訴えかけてくる、⾮常に感動的な作品』と、
マーティン・スコセッシ監督の“観てほしい 87 本の映画”の 1 本に、本作が選出︕
2021 年に発表した『Weʼre All Going to the Worldʼs Fair(原題)』に続き、 新進気鋭監督として注⽬を浴びるジェーン・シェーンブルンが「スクリーン三部作」と呼ぶ連作の 2 作⽬にあたる本作。⼦供の頃、夜眠れなくなるが⾒ずにはいられなかったテレビ番組についての物語であり、綿密に作られたジャンル映画。鮮やかで彩度の⾼い 35 ミリとぼやけたVHSの映像が 90 年代を完璧に再現し、ノスタルジーに浸る⽂化や、作品に⾃分を重ねることの危うさを極めて刺激的に掘り下げている。全編を通して多層的な物語はエキサイティングで楽しいが、アイデンティティや記憶の不確かさ、⾃分⾃⾝であることの意味を受け⼊れることについて、豊かで深い独特の瞑想を提供する。
また、トランス⼥性でノンバイナリーであることを公表しているシェーンブルン監督は、クィア映画の果敢な推進者でもある。それと同時に社会的に⾒せている⾃分と“本当の⾃分”のズレという本作にこめられた主題は、誰もが少なからず持つ普遍的なジレンマの形だ。シェーンブルンは多感な思春期の頃に出会ったカルチャーやフィクションを、⾃分⾃⾝や⾃分の⼼を⾒つける場所として設定し、魂の“牢獄”からの脱出というテーマをロマンティックな美しさをたたえて描き出している。


本作誕⽣の経緯、アイディアの源についてシェーンブルン監督は、「若かった頃に⾒ていたテレビ番組にどれほど捕らわれているかというアイデアは、何年も前から頭の中にありました。今になって考えると、私は画⾯の中に逃げて、⼟曜の夜のニコロデオンや⽕曜の夜の『バフィー〜恋する⼗字架〜』をひたすら待っていたんだと思います。ファンの世界が私にとって防衛機制だったんです。フィクションを通して⾃分を守ろうとするのをやめて、私の映画に出てくるキャラクターたちのように画⾯の向こう側へ⾏く。それには最も深く核⼼的な部分で現実を再評価することが必要です。この映画はそんな気づきから⽣まれました」と語る。90 年代にアメリカで⼦供時代を過ごした⼈たちなら共通に持つ、ニコロデオンの番組を⾒て何⽇もひきずる、というような経験。これはきっと⽇本の⼦どもたちにも同じようなことがあったはずだ。
さらに「隠していた本当の⾃分を⼼の中に戻し、⾒なかったフリをして半分死んだような⼈⽣を続けるか、未知と対峙するか。それは完全な社会的死を意味するのも同然で、本質的に⾃分が知る現実の終わりでもあります。本作のジャンルの要素と中⼼的メタファーは、語りたいという私の願望から⽣まれました。そして他の多くのトランスジェンダーたちが、本当の⾃分を否定される世界の中で⾃分らしくいる⽅法を模索する経験をしてきたと思います」と明かす。
『テレビの裏側』(『BEHIND THE GLOW』)
ジェーン・シェーンブルン監督が自ら本作の裏側を語る貴重なインタビュー映像
- あの頃にだけ⾒えていたものを、今こうして観られるのが嬉しい
――尾崎世界観(ミュージシャン・作家) - ⾃⼰認識が曖昧だったあの時代を思い出し、胸が締め付けられた
――川上洋平(ミュージシャン) - 何度も観たいが、それをすると今度は僕⾃⾝がこの映画に囚われてしまいそうで恐ろしい――菅良太郎(お笑いトリオ パンサー)
- たすけて。たすかりたい。本当の⾃分って何なの
――宇垣美⾥(フリーアナウンサー・俳優) - この映画は全然可愛くない︕⼼をえぐられます︕――IMALU(タレント)
- 突き放すことも、寄り添うこともせず、ただそこにクールに佇む映画が、⼼の中の⼗代にはいつも必要なのだと思う――豊⽥エリー
- 誰もが通過した“あの頃”の孤独感、⾏き場のない閉塞感が、リアルかつ切なく胸を締めつけてくる――⻫藤博昭(映画ライター)
- どこかに逃げたくてたまらなかった、でも逃げることができなかった“あの頃”の映画――⼤前粟⽣(⼩説家)
- 何本も観た中で、唯⼀、頭に焼き付いて離れなかったのが『テレビの中に⼊りたい』――⼩島秀夫(ゲームクリエイター)




キャスト:ジャスティス・スミス(『名探偵ピカチュウ』)、ジャック・ヘヴン(『ダウンサイズ』)、
ヘレナ・ハワード、リンジー・ジョーダン(スネイルメイル)
共同製作:Fruit Tree(エマ・ストーン制作会社、『リアル・ペイン〜⼼の旅〜』)
尺:100 分 レーティング: PG12 配給︓ハピネットファントム・スタジオ
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