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大キライだったママとのアタマにくる思い出を切り刻み、
いろんな人に助けられて焼きあがった七面鳥のおなかには、
言えなかった「ありがとう」がつまってた。

エイプリルの七面鳥(公式HP)


ピリッと辛いユーモアとほろ苦い涙で描き出す、
心あたたまる家族の絆の物語。


人種も年齢もさまざまな人々に、平等に降りかかる運命。長年私は、そんな物語を探し続けてきた。 そして私はここで、愛する者の死に直面し、 刻々と刻まれていく時を止めることが出来ないという誰もが経験しうる、 哀しさと切なさを描いたつもりだ。
私は、どれほど我々が時間をすり減らし、どのようにして、言葉ではなく “ありがとう”や“ごめん”、 そして“さよなら”という気持ちを伝えようとしているのか、ということを皆さんに伝えたかったのだ。

―ピーター・ヘッジズ


 初めての料理は、ママのためにつくる最後のディナー。

 アメリカ中のオーブンが、七面鳥を焼くためにフル稼働する日、感謝祭。 ニューヨークで黒人のボーイフレンドと暮らすエイプリルにとって、その日は特別な日だった。 初めて自分のアパートに家族を招待するのだ。ファッションから生き方まで自由奔放なエイプリルは、 典型的な中流家庭の家族に何かと反発してきた。しかし、特に仲の悪い母親が、 ガンで余命あとわずかと知った彼女は、母の大好物である七面鳥のローストを作ろうと決意する。 ところが、オーブンの故障を幕開けに思わぬハプニングが続出する。一方、両親と祖母、 妹と弟を乗せた車も、エイプリルとの散々な思い出が蘇るたびに減速、 なかなかニューヨークにたどり着けない……。
 いつしか人生のどこかで心がはぐれてしまった娘と母。憎みあって、何年も会わなくても、 母親の病を知ったときにあふれ出る思い。失われた時間、 壊れてしまった家族の絆を取りもどそうとするエイプリルの祈りは、母親にとどくのだろうか。 『エイプリルの七面鳥』は、ピリッと辛いユーモアと、ほろ苦い涙をちりばめながら、 家族の愛と再生をあざやかに描きだした。

 オーブンを探してアパート中を駆け回るエイプリルは、 助けてくれる人々に家族とのワケありの思い出を話す。また、車の中の家族たちも、 繰り返しエイプリルに関するロクでもない記憶を語り合う。私たちは、思わず吹き出すエピソードや、 ジーンと泣かせる話に、「ある、ある、うちにもそんな話」と頷きながら、 いつの間にか自分の家族を重ねている。そして、 ウンザリするような思い出さえも大切に抱きしめている自分に驚き、やがて気づくのだ。家族とは、 血のつながりではなく、思い出のつながりなのだということに。思い出のかけらを持ち寄れば、 きっと出来上がる小さなしあわせ。それがあれば、 いつか必ず訪れる永遠の別れにも耐えることができるのかもしれない。
 『エイプリルの七面鳥』は、観終わった私たちに、二つのレシピをプレゼントしてくれる。 “感謝祭のディナー”と“小さなしあわせ”の作り方を。


『アバウト・ア・ボーイ』の脚本家ピーター・ ヘッジズが初監督作で引き出したパトリシア・ クラークソンの圧倒的演技

 2003年から04年にかけての全米の賞レースでは、“パトリシア・クラークソン・ブーム” が沸き起こった。アカデミー賞最優秀助演女優賞、ゴールデン・ グローブ賞最優秀助演女優賞ノミネートを始め、ナショナル・ボード・オブ・ レビュー賞最優秀助演女優賞など数々の賞を受賞、『エデンより彼方に』『ドッグヴィル』 などですでに実力は十分認められていたが、エイプリルの母親ジョーイを演じた本作が、 彼女の代表作になることは間違いない。 娘との不和と自身の死という困難を独特のユーモアでかわしながらも、 最後にはすべてを受け入れるジョーイ。そこには悪い母親、 良き妻といった型にはまったキャラクターではなく、一瞬一瞬に命を刻もうとする生身の人間がいる。

 世の中に媚びず、自分の信じるファッション、ライフスタイルを貫くヒロイン、エイプリルには 『アイス・ストーム』『ワンダー・ボーイズ』のケイティ・ホームズ。エイプリルが、 人種も年齢も異なるアパートの住民たちと交流し、 他者を受け入れる優しさに目覚めていく過程を見事に演じている。 観客もこのアパートの住人の一人となり、エイプリルの七面鳥が無事焼きあがるよう、 応援せずにはいられない。

 その他、味わい深いキャストを揃えることに成功、 「初めて監督する人間にとっては誰をパーティに招待するかですべてが決まる。 招待リストが素晴らしければ、パーティはうまくいく」と語るのは、これが監督デビュー作のピーター・ ヘッジズ。レオナルド・ディカプリオが一躍その名を知られた『ギルバート・グレイプ』、ヒュー・ グラントの大ヒット作『アバウト・ア・ボーイ』の脚本家として知られている。本作でも、 もちろん自ら脚本を担当、生と死をまっすぐに見詰める瞳と、 危機を乗り越えるユーモアを忘れない心をあわせもつ作品に仕上げ、 最近亡くしたという自身の母親に捧げた。


何気ないふりをして、特別な朝はやってくる。アメリカ中のキッチンで、七面鳥が主役になる感謝祭の日。 ニユーヨークのローワー・イースト・サイドのアパートに恋人のボビー(デレク・ルーク) と暮らすエイプリル(ケイティ・ホームズ)は、生まれて初めての料理と格闘していた。郊外に住む、 もう何年も会っていない家族をディナーに招待したのだ。
エイプリルから見た家族は、典型的な中流家庭の、保守的でダサい人たち。家族からすればエイプリルは、 問題ばかり起こす危険人物。両者の間には、アタマにくる思い出しかなかった。しかし、 特に仲の悪い母親が、ガンのために余命わずかと知ったエイプリルは、 人生最大の勇気を振り絞って母の好きな七面鳥のローストを作ろうと決意する。 危なっかしい手つきで野菜を切り、七面鳥のおなかに詰めるエイプリル。しかし、と言うか、 やっぱりと言うべきか、そんなエイプリルにトラブル続発。予熱したはずのオーブンは冷たいまま、 管理人は留守、修理の電話もつながらない。でも、アパート中のみんながエイプリルを手助けしてくれる。 果たしてエイプリルは無事七面鳥を焼き上げることができるのか?がんばって、エイプリル。


ピーター・ ヘッジズ監督の母親の死が本作に与えた影響

ピーター・ヘッジズ監督は、「この作品は、時を使い果たす前に、伝えるべきことを描いた作品だ」 と語る。最近、母親の死を経験した彼は、「人々がどうやって生と闘い、 死と関わるのかをリアルに描いた映画はめったにないと気づいた。 そこには大きな怒りとちょっとしたユーモアがある。 母の死をきっかけに本物の感情が存在する物語を書こうと決心したんだ。」と語った。 彼が本作をデジタルカメラで撮影した理由もそこにある。「今日、 多くの映画が人生とかけ離れていると思う。僕は、 人々の本当の人生を覗き見しているような雰囲気にしたかったんだ。」

今まで誰も見たことのないケイティ・ ホームズの新たな魅力

「どんな映画も一人では作れない。チャンスとほんの少しの奇跡が必要だ。 ケイティ・ホームズがその奇跡の一つだった」とヘッジズ監督は語る。 映画のヒロインを演じるのは大変なことだが、 ホームズにはこれが挑むべきチャレンジであるとわかっていた。
エイプリル・バーンズというキャラクターについてホームズは、「彼女が大好き。 エイプリルはとても創造的で強いの。彼女はサバイバーだわ。外見で判断されてしまうことにも、 心の底で折り合いをつけているの。エイプリルは頑固だし、自分で証明したがるし、 他人から命令されるのは嫌いなの」と語る。「でも、彼女は家族の大切さを発見していく。 そして人を愛することはいいことなんだってわかっていくの。これは最高に美しい物語よね。」
ヘッジズ監督は、ホームズの人の心をかき乱す魅力、ユーモアの才能に気づいた。「エイプリル役には、 鋭さがあり、セクシーで面白く、ちょっと風変わりな女優を期待していた。この役を演じるケイティは、 今まで誰も見たことがないケイティだ。この映画を見た人は、 “彼女はうまいとは思っていたが、 これは文句なしだ”と言ってくれるはずだ。」
この映画を観客がどう思うだろうかという質問に対し、ホームズは自信をもってこう答えた。 「これは見た瞬間にガツンとくるような映画じゃないわ。でも、 多くの人たちはこれがどれほど誠実な映画か気づいてくれるはずよ。」

脚本を読んで出演を即、快諾―パトリシア・ クラークソン

ジョーイを演じるパトリシア・クラークソンは、「台本を読んですぐ言ったの、“やるわ”ってね。 即答だった」と語る。 クラークソンはヘッジズ監督とは旧知の仲で、彼の文章の大ファンだった。 彼が監督業に乗り出すならば、彼女にとって参加することに何の異議もなかった。
ジョーイは多くの側面を持つユニークな役であり、クラークソンはぜひとも演じたいと思った。 「とても複雑でオリジナリティのあるキャラクター、本当に挑戦しがいのある役なの。 彼女は暗くて怒りに満ちていて感情的だけれど、同時にとてもユーモアのある人間なの。」
この映画の核にあるのは、母と娘が互いの共通点を見出そうとする努力である。 「二人の物理的な距離は感情的な隔たりでもあるわ。この映画は、 二人がお互いの距離を縮めて行く旅を描いているの」とクラークソンは語る。 母と娘は映画の終盤になって初めて同じフレームの中に登場するが、 クラークソンは前もってホームズに会っていた。「撮影以前に二人である種のつながりを持ちたかった」 と彼女は語る。「何度か彼女と会って、彼女に対する自分の気持ちをしっかりとつかみ、 それを持続させたわ。」
『エイプリルの七面鳥』が描くものは? という質問にクラークソンは、 「後悔しながら生きてはいけないということよ」とシンプルに答えた。

ディカプリオ以来の素晴らしい出会い、ボビー役のデレク・ ルークのフレッシュな魅力

この物語では、多くのキャラクターたちがうまくコミュニケーションをとれずにいるが、 エイプリルと恋人のボビーだけは違う。ヘッジズ監督は、 エイプリルへの愛情を自然ににじみ出すことができる俳優が必要だった。そして彼は完璧な若手スター、 デレク・ルークを見つけた。
「デレクはボビー役のオーディションに来た最後の俳優だった。その場でこの役をオファーしたんだ。 監督と俳優にとって最も美しい瞬間だった。『ギルバート・グレイプ』のオーディションにレオナルド・ ディカプリオが来たとき以来の感覚だった」とヘッジズ監督は語る。

見た後に、 感想ではなく人生を語れる映画を作りたかった

この作品は、2003年のサンダンス映画祭で上映された。そのときの感動をクラークソンが語る。 「初めて完成品を見たのがサンダンスだった。そこで観客がみな立ちあがって拍手をしてくれたの。 狂喜したわ。私たち全員が本当に興奮していた。」
ヘッジズ監督は観客に、大いに笑い、感動してもらい、 見終わった後には自分自身や家族のことを考えてもらいたいと望んでいる。「確かデヴィッド・ マメットだったと思うが、作家として受ける最大の賛辞は、自分たちの作品を見てもらった後に、 その作品のことを話すのではなく、見た人自身の人生を語り合ってもらうことだ、と言っていた。 僕は人々を彼ら自身の人生に誘い、一緒に考えてもらえる映画を作りたいと望んでいたんだ。」


Thanksgivingって何?

コロンブスがアメリカ大陸に到着してから後、ヨーロッパ諸国は、アメリカ大陸を「新世界」と呼び、 植民地計画を進めていった。当時、宗教改革の嵐が吹き荒れていたイギリスでは、 分離派のピューリタンが、国教会の弾圧を逃れてオランダに亡命していた。しかし、 生活苦に悩まされた彼らは、信仰に基づいて自由に生活できる地を求め、アメリカ大陸に渡ることを決意。 ピルグリム・ファーザーズ(Pilgrim Fathers)と呼ばれた彼らは、 メイフラワー号(Mayflower)で1620年の冬、マサチューセッツ州のプリマスに到着する。 だが、寒さと食糧不足のため、102人いた彼らのうち半分以上が死んでしまった。残った者は、 先住民であるインディアンから狩猟や農耕を学び、春と夏を必死で働いた。
そして、収穫の秋がやってきた。収穫を喜び、神に感謝をするため、彼らは集い、会食を催した。 その席に、彼らの恩人でもあるインディアンも招かれ、七面鳥やかぼちゃなどを食べ、神に感謝を捧げた。 これが、現在のThanksgivingの始まりである。

今はどんなふうに祝うの?

毎年、11月の第4木曜日のThanksgiving Dayと、翌日のAfter Thanksgiving Day、そして土日を合わせた4連休は、学校、会社、 公共機関などのほとんどが休みとなる。水曜の夜には、アメリカ人は皆、故郷に帰るため、大移動を開始。 この日は、一年で一番、高速道路や交通機関は大混雑する日だ(まるで日本のお盆やお正月?)。 そしてThanksgiving Day当日は、七面鳥やパンプキンパイなど、 Thanksgivingにちなんだ料理や、それぞれの家庭での定番料理など、 あふれるほどのごちそうを家族や親戚で囲み、食べ物を与えてくれた神に感謝し、 アメリカンフットボールや、各地で行われるパレードの中継をテレビで見ながら楽しく語らう、 というのが一般的な過ごし方だ。
しかし翌日の金曜日は,約1ヶ月後のクリスマスに向けての正式なショッピングの始まりの日。 この日限りの大安売りがあちこちで展開されるため,買い物リストを片手に、 ショッピングをして回る人も多い。
ちなみに、Thanksgiving Dayである木曜日は、ほとんどのお店が閉店。 いつもは24時間営業しているコンビニやファーストフード店も、 完全休業か午前中のみ営業といった具合なので、その時期にアメリカ旅行する場合は、 食いっぱぐれないように、しっかり覚えておこう。

いつThanksgiving Dayが11月の第4木曜日と決まったの?

初代大統領ワシントンのとき憲法制定を祝って、1789年に11月の最後の木曜日を「感謝と祈りの日」 とすると云う大統領宣言が出された。その後、1941年11月26日に、Thanksgiving Dayを「11月の最後の木曜日」から「11月の第4木曜日」にし、国民の休日とする、 という法案にルーズベルト大統領が署名、今日に至っている。


大統領が七面鳥に恩赦?

ホワイトハウスでは毎年、Thanksgivingの前日に、大統領から七面鳥に恩赦が与えられる。 これは、 Thanksgivingに全米の家庭の食卓に上る七面鳥に対する感謝と罪滅ぼしのための式典として、 トルーマン大統領の時に始まった行事だ。
56回目に当たる2003年も、ブッシュ米大統領が、ホワイトハウスのローズガーデンで恒例の 「恩赦式」を行った。
候補に選ばれた七面鳥たちは、例年と違い、ローズガーデンでの儀式に備え、人に慣れるために、 人の手から餌付けされた。
15匹の最終候補の中から、選ばれた1匹と、「補欠」の1匹がワシントンに送られた。
(「補欠」は、本命の七面鳥が、儀式に出席できない状態になったときのために選ばれたそうだ)
恩赦を受けた七面鳥は、バージニア州にあるフライング・パン・パークという農場に送られ、その後、 丸焼きにされる心配をせず、幸せに暮らすとのこと。


ケイティ・ホームズ(エイプリル・バーンズ)
パトリシア・クラークソン(ジョーイ・バーンズ)
デレク・ルーク(ボビー)
アリソン・ピル(ベス・バーンズ)
ジョン・ギャラガー・ジュニア(ティミー・バーンズ)
アリス・ドルモンド(ドッティ)
リリアス・ホワイト(イベット)
イザイア・ウィットロック・ジュニア(ユージーン)
シスコ(ラトレル)
ショーン・ヘイズ(ウェイン)
オリバー・プラット(ジム・バーンズ)


ピーター・ヘッジズ(脚本/監督)
ジョン・ライオンズ(プロデューサー)
タミ・レイカー(撮影監督)
リック・バトラー(プロダクション・デザイナー)
ローラ・バウアー(衣装)
マーク・リヴォルシー(編集)
ステフィン・メリット(音楽)


提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ギャガGシネマ海×キネティック
協力:日活
字幕翻訳:太田直子
2003年/アメリカ/80分/ビスタサイズ/SRデジタル

 

2005/04/28/07:05 | トラックバック (0)
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