無実の罪を着せられた男が選んだのは、テロ活動――。
これは後に「南アフリカの英雄」と呼ばれた男の真実の物語である。
輝く夜明けに向かって
1月27日(土)よりシャンテ シネほか全国順次ロードショー
全米マスコミ絶賛!トロント映画祭では涙のスタンディング・オベーション
アカデミー賞受賞スタッフが、
ひとりの男の半生を通して世界に問う衝撃作
1980年代の南アフリカ――そこには人間としての尊厳すら奪われた人々がいた。
国連からも「人類に対する犯罪である」と呼ばれたほど過酷なアパルトヘイトの現実。舞台となる時代こそ異なってはいるが、
その国で何が起こっていたのかを描いた作品は、『遠い夜明け』、『白く乾いた季節』、『ワールド・アパート』、
『サラフィナの声』等、どれもが心を揺さぶる名作ばかり。しかしその悲劇的な歴史には、
いまだに語られることのない真実が隠されていた。実話であるがゆえの衝撃が、決して否定することのできない感動を呼び起こす。
『輝く夜明けに向かって』は、パトリック・チャムーソという実在の男を通し、
南アフリカの歴史に再び一石を投じた作品である。
人権を踏みにじられ、恐怖に支配されながら、 やがて立ち上がる人間の強さ。彼は政府側から見れば「テロリスト」であったが、民衆にとっては「自由の戦士」だったのである。 しかしパトリックは典型的な闘士ではなく、家族を愛する普通の男だった。政治に関ることすら避けていた彼が、 次第に反逆の英雄へと変貌していく軌跡。厳しい現実がパトリックの人生を変えてしまったからこそ、そこには政治的なメッセージよりも、 生きていくための心の叫びが込められている。アパルトヘイト崩壊から15年を経た今でも目を背けることのできない事実―― アカデミー賞に輝くスタッフ&キャストが渾身の力でおくる物語に、世界中から賞賛の声が寄せられている。
「歴史の重さ」、「人権の重さ」、そして 「真実の重さ」をひとつに束ねながら、決して重たいプロパガンダだけに陥らない人間ドラマの演出を手がけているのは、 名匠フィリップ・ノイス監督。『裸足の1500マイル』、『愛の落日』 といった社会派の感動作でも描いた"歴史に翻弄される人々"。そして彼の名前を一躍メジャーに押し上げた『パトリオット・ゲーム』、 『今そこにある危機』のエンターテインメント・サスペンス性。本作品ではそれらの要素が融合して、見事な映画の世界観を構築。 ベテラン監督でありながら、新たな領域への第一歩を踏み出している。
また製作陣も超一流の顔ぶれが集結。『愛と哀しみの果て』でアカデミー賞を受賞し、 近年では『ザ・インタープリター』が記憶に新しいシドニー・ポラックが製作総指揮を、『イングリッシュ・ペイシェント』 で同じくオスカーに輝いたアンソニー・ミンゲラが製作を担当。 ともに監督として壮大なスケールのドラマを手がけてきた2人の巨匠が監督を支えている。さらに、 数多くの良質な作品を世界に贈り続けているワーキング・タイトルの名プロデューサーたちも製作陣に名を連ねている。テロ対策捜査官ニックに扮するティム・ ロビンスは、冷徹な表情で厳しい拷問も辞さない一方、父親として家族を守るべき姿を見せるなど、 善悪だけでは単純に割り切れない複雑なキャラクターを熱演。アカデミー賞を受賞した『ミスティック・リバー』 に匹敵する演技を披露している。監督としても『デッドマン・ウォーキング』等を手がけているだけに、演技者としてだけでなく、 「白人警官を含み、南アフリカを多角的に捉えたい」という製作意図を汲んだ人物表現を見せている。
主人公のパトリックを演じるのは、 デビュー作『きみの帰る場所/アントワン・フィッシャー』で数々の賞に輝くなど注目を集め、『エイプリルの七面鳥』や『プライド/ 栄光への絆』でも魅力を発揮した新鋭デレク・ルーク。 普通の男だったパトリックが英雄と呼ばれる存在になった心の変化を見事に演じ、 ストーリーで最も重要である観客の共感を得ることに成功している。
脚本を担当したのは、 両親が反アパルトヘイト活動家であった実体験を基にして『ワールド・アパート』を執筆したショーン・スロヴォ。 父は劇中にもANC幹部として登場するジョー・スロヴォであり、本作品のアイデアは彼から与えられたものである。 残念ながらジョーは映画化を待つことなく95年にこの世を去り、エンドクレジットには「ジョー・スロヴォに捧げる」と記されている。 またジョーの娘であり、ショーンとは姉妹のロビンもプロデューサーとして参加している。
撮影監督は、『ニル・バイ・マウス』のロン・ フォーチュナトが病気によって途中降板した後を引き継いで、オーストラリアの才人ジェリー・フィリップスが担当。そして、 反アパルトヘイト活動にとって重要な役割を担った音楽を再現したのは、南アフリカ音楽界の多方面で活躍しているフィリップ・ミラー。 何万人もの人々が祖国の解放と自由を夢見て歌い続けた「フリーダム・ソング」をはじめ、 まるで大地の底から湧き上がってくるようなスコアが深く心に響いてくる。
「故郷よ、さらば。 別れを告げて他の国へ向かおう。両親にも知られず、自由のために戦おう…」――魂の命じるまま、 後戻りのできない道を歩み出したパトリックが最後に見たものは?苦しみと憎しみを乗り越えた彼の胸に去来したことこそが、 本作品の真のテーマなのである。
私の子供は、「父親は正義のために戦った」と語り継ぐだろう
あなたの娘は、あなたのことを何と言うかな?
1980年、南アフリカ北部の炭田地帯。国全体をアパルトヘイト(人種隔離政策)の過酷な状況が包んでいたが、
セクンダ石油精製工場で働くパトリック・チャムーソ(デレク・ルーク)は妻と2人の子供とともに、
その当時の黒人としては満足な生活を送っていた。しかしアフリカ民族会議(ANC)
の起こした爆破事件の犯人として無実の罪を着せられたことから、彼の人生は大きな転機を迎えることになる。
証拠不十分で釈放されたものの、テロ対策班のニック・フォス(ティム・ロビンス)による厳しい追求に愛する妻が巻き込まれたことで、
パトリックは反逆の戦士になることを決意するのだった。自由を勝ち取るためにANCの急進的な工作員となったパトリック。
そして国家と家族をテロリストから守るという大儀を胸に捜索の手を緩めないニック。やがて歴史の大きなうねりに身を置く2人は、
恐ろしい爆破計画を巡って再び対峙するのだった…。
ティム・ロビンス(ニック・フォス)
1958年10月16日、米・カリフォルニア州生まれ。名実ともにハリウッド屈指の名優と呼ばれるようになったのは、アカデミー賞、
ゴールデン・グローブ賞他で最優秀助演男優賞に輝いた『ミスティック・リバー』(03)であるが、それ以前にも『ザ・プレイヤー』
(92)でカンヌ国際映画祭とゴールデン・グローブ賞の最優秀男優賞を受賞するなど、多くの作品で印象的な演技を披露。主な出演作には
『さよならゲーム』(88)、『ジェイコブス・ラダー』(90)、『未来は今』『ショート・カッツ』『ショーシャンクの空に』(94)、
『隣人は静かに笑う』(98)、『ミッション・トゥ・マーズ』(00)、『宇宙戦争』(05)等がある。また監督・
脚本家としてデビュー作となった『ボブ★ロバーツ/陰謀が生んだ英雄』(92)がボストン映画祭で作品賞、監督賞、
主演男優賞を受賞するなど高い評価を得て、続く95年の『デッドマン・ウォーキング』ではアカデミー賞監督賞、ゴールデン・
グローブ賞脚本賞にノミネート。第3作目の『クレイドル・ウィル・ロック』(99)でもナショナル・ボード・オブ・
レビューの特別功労賞に輝いている。
デレク・ルーク(パトリック・チャムーソ)
1974年4月24日、米・ニュージャージー州生まれ。2本のTVシリーズに出演した後も、ソニー・
ピクチャーズのギフトショップで働きながら映画のオーディションを受け続け、5回目の挑戦で念願叶ってデンゼル・
ワシントンの初監督作品、『きみの帰る場所/アントワン・フィッシャー』(02)のタイトル・ロールに大抜擢。
映画デビュー作となったこの演技でインディペンデント・スピリット・アワード、ブラック・リール・アワード、ナショナル・ボード・オブ・
レビューに輝くなど、一躍注目を集める。その後はピーター・ヘッジス監督による感動のファミリー・ドラマ『エイプリルの七面鳥』
(03) 、ローレンス・フィッシュバーン共演の『バイカーボーイズ』(03・未)、ピーター・バーグ監督のアメリカン・
フットボール映画 『プライド/栄光への絆』(04)、実在の大学バスケットボール・
チームを描いて全米No.1大ヒットを記録したジェリー・ ブラッカイマー製作の『グローリー・ロード』(06・未)等に出演。
現在は本作と同じワーキンング・タイトル製作によるアダム・ ブルックス監督のコメディ・ドラマ『Definitely, Maybe』
の撮影中である。
ボニー・ヘナ (プレシャス・チャムーソ)
ヨハネスブルグの南西にある南アフリカ最大の黒人居留地域ソウェト生まれ。13歳の時に学校からの帰り道でエージェントにスカウトされ、
TVシリーズへの出演を果たす。その後はトミー・リー・ウォーレス監督のTV映画「野生のエルザ/新たなる冒険」
といった作品に顔を出すかたわら、司会やプレゼンターを務めるなどTV界を中心に活躍。映画出演作には、
本作同様にアパルトヘイトを描いたサスペンス・ドラマ『Drum』(04・未)等がある。
フィリップ・ノイス(監督)
1950年4月29日、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州生まれ。オーストラリア・ナショナル・フィルム・
スクール在学中に数本のドキュメンタリー作品や短編映画を発表する。その後、監督と脚本を手がけた『ニュース・フロント/
時代を撮り続けた男たち』(78・未)がオーストラリア映画協会賞の作品賞、監督賞、脚本賞に輝いて注目される。さらに88年の
『デッド・カーム/戦慄の航海』が高い評価を得たことからメジャー・スタジオ作品の監督をオファーされるようになり、トム・
クランシー原作、ハリソン・フォード主演のジャック・ライアン・シリーズ『パトリオット・ゲーム』(92)に抜擢される。
93年のシャロン・ストーン主演作『硝子の塔』を挟んで、シリーズ3作目の『今そこにある危機』(94)も担当。『セイント』(97)、
『ボーン・コレクター』(99)も含め、スリリングな演出で才能を発揮してヒットメーカーの仲間入りを果たす。近年ではナショナル・
ボード・オブ・レビューを受賞したサスペンス・ロマン『愛の落日』(02)、
アボリジニの少女の感動的な実話を描いて世界各国の映画祭で絶賛を浴びた『裸足の1500マイル』を監督。新境地を開拓している。また、
TVでは、全米でも大人気となったSFアクション「トゥルー・コーリング」(03-05)シリーズの製作総指揮務め話題となった。
ショーン・スロヴォ(脚本)
1950年、南アフリカ生まれ。両親が反アパルトヘイトの活動家であったため、
10代初めの頃に政治亡命者として家族とともにイギリスに移る。この時の経験が初の劇場用映画となった自伝的作品『ワールド・アパート』
(87)の脚本に生かされ、同作品はカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリに輝いただけでなく、
彼女自身も英アカデミー賞のオリジナル脚本賞を受賞している。その他の作品には『コレリ大尉のマンドリン』(01)がある。
製作総指揮:シドニー・ポラック、デブラ・ヘイワード、ライザ・チェイシン
撮影:ロン・フォーチュナト、ジェリー・フィリップス 編集:ジル・ビルコック
プロダクション・デザイナー:ジョニー・ブリード
衣装デザイン:リザ・レヴィー 音楽:フィリップ・ミラー
輝く夜明けに向かって
2006年度作品/ユニバーサル映画/スタジオカナル/
ワーキングタイトル
UIP配給 上映時間:1時間41分
1月27日(土)よりシャンテシネほか全国順次ロードショー
主なキャスト / スタッフ
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