村本 天志

またも……訃報。
敬愛するR.アルトマン監督が亡くなった。
映画監督と呼ばれるにふさわしい監督だった。
メジャーに背を向けているようでバランス感覚に優れた
俳優にスタッフに愛された監督であったという。

「クッキー・フォーチュン」という映画がある。
この作品は日本人撮影監督・栗田豊通氏が撮影している。
この映画がクランクインする少し前に、
オレは栗田さんとハワイのホテルで夕焼け待ちの缶詰撮影をしていたのだが、
そこに電話がロサンゼルスから入り栗田さんがアルトマンに呼ばれたのだ。
自分の事のように嬉しかった。
なんか興奮して「いますぐロサンゼルスに行ってください！」とか言った気がする。
アルトマンにカメラを頼まれるということは、アメリカでも名誉な事なのだ。

たくさんの映画……
素晴らしいものばかりではないけれど……
Studio作品でも、きっちりと爪痕を残すその職人技はアルトマンならではであった。

オレの好きな監督が、どんどん死んでしまう。
どうでもいい監督たちは、どうでもいい作品を撮り続けているのに……。

一本だけ好きなアルトマン映画を選びなさいと言われたら、
オレは「ショート・カッツ」をチョイスする。
後期アルトマン作品の中の傑作だと思う。
未見の方がいたら是非見てもらいたい。
スクリーンでなくても作品を見ることは、供養であり伝承だ。