マッテオ・ガローネ (監督) 公式インタビュー
映画『ドッグマン』について【2/3】
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2019年8月23日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
――マルチェロ役にフォンテをキャスティングした理由を教えて下さい。
ガローネ監督 マルチェロ・フォンテに関しては、主人公に演じるに最適の理想的な役者だと。彼本人がすごく優しいというか、人間性に溢れていて、穏やかで、人の優しい気持ちを書き立てるような俳優さんであるということ。それから、コミカルな部分からドラマティックなところへも難なく移行していけるような能力を持った、才能を持った俳優さんであるということで、彼を起用しました。往年の無声映画の俳優さんを思わせるところがあって、たとえばバスター・キートンですとか、表情、目だけで、視線だけで、物を語れるというところかとても気に入ったところです。 この話は、すごく穏やかで、心優しい男性が、暴力のメカニズム、自分が犯していった小さな過ちの繰り返しで、逃れられなく、がんじがらめになってしまうというところを描きたかったので、彼が優しくて穏やかで人間性に溢れてばいるほど、暴力にとらわれてしまった激しさというのが見えてくるんじゃないかということで、それを体現したのが彼でした。
――エドゥアルド・ペッシェは、外見からかなり変えて役作りされましたね。
ガローネ監督 エドゥアルド・ ペッシェは、とにかく肉体改造くらい変えてもらって、本人とわからないくらい作りこんでもらった。人々の不安をかきたてるようなすごく脅迫的な、すごく侵略的な人物というのを肉体をもって示してもらったということと、それからすごく無口ですよね。引き算としてほとんどしゃべらないという人物像を作ってもらった。やりたいことはどうしてもやるという決意と、とにかく暴力的な面と、それから欠かせないのが、コカイン中毒なわけです。彼は。ですので、映画を観ていると、薬物に溺れてしまった人間が、どういう行動に出るのかということも描いていると思うのですね。
――肉体改造してまで彼を起用した理由は?
ガローネ監督 優秀な俳優だと思ったからです。
――マルチェロ・フォンテには、撮影前・撮影中にどんな役作りの指導をされたでしょうか?
ガローネ監督 撮影に入るまでの 2 か月間、稽古期間を設けて、マルチェロ・フォンテとエドゥアルド・ペッシェと二人で、登場人物にいかに近付いていくか、焦点を当てていくかという作業をしました。
――いくつかのシーンでマルチェロにウィスキーを飲ませて撮影をしたとネット(IMDB)にありましたが、 本当でしょうか?
ガローネ監督 ウィスキーではなくグラッパです(笑)。最初そのシーンをやるのが、なかなかできなくて、では酔っぱらわせてしまえということで、飲ませました。
――どのシーンでしょうか?
ガローネ監督 シモーネを罠にかけるために、いいドラッグがあるよと、自分の店に呼び寄せるシーンです。マルチェロはすごく優秀な俳優なんだけれど、日によってなかなか役に入れない日があって、それがちょうどそのシーンを撮影する日だったんですね。
――劇中で何故マルチェロはシモーネとの関係を絶たずに、刑務所に行くことを選んだのでしょうか?
ガローネ監督 いろんな事情が、複数の事情が絡み合っていると思うんです。そのうちの一つが、恐れ、恐怖であったということだと思います。
――マルチェロにとってシモーネとは何なのでしょうか?仲間の一人なのでしょうか?
ガローネ監督 マルチェロとシモーネの関係というのは、観ている人にゆだねたい。どういう風に取るかというのは。複雑だし、矛盾に満ちている関係性なので、そこは自分としては、観客にゆだねたいと思います。
監督:マッテオ・ガローネ(『ゴモラ 』、『リアリティ』、『五日物語~3つの王国と 3 人の女~』 )
出演:マルチェロ・フォンテ、エドアルド・ペッシェ、アダモ・ディオジーニ
原題:DOGMAN | 2018 年 | イタリア=フランス | イタリア語 | カラー | シネマスコープ | 5.1ch | 103 分 | PG12
字幕翻訳:石井美智子 配給:キノフィルムズ/木下グループ | 宣伝プロデュース: ブレイントラスト
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