プレゼント

『わたし出すわ』プレスシート小説の映画化やリメイク映画を手がけてばかりいた森田芳光監督が、実に13年ぶりとなる完全オリジナル脚本のメガホンを取った。テーマはズバリ『お金』。夢や願望を実現するための費用を出すという突然の申し出を前にした人々の姿を通じて、人間としての生き方・あり方を問いかける野心作となっている。
本作「わたし出すわ」のプレスシートを5名様にプレゼントします。

ご希望の方は、「『わたし出すわ・プレスシート希望』(メールご利用の場合は件名)・お名前・ご住所・電話番号 ・年齢」 を明記の上、こちらのこちらのアドレスか、メールフォーム(要・送り先の追記)からご応募下さい。

◆応募締め切り:10月29日(木)応募受付分
◆公式サイト:http://watashi-dasuwa.com/
※住所未記入で応募される方が増えています。住所がないものは無効にすることもありますのでご注意ください。※応募者多数の場合は抽選となります。
註)ご提供いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的では一切使用いたしません。また、個人情報そのものも招待状発送後一週間で破棄します。当選者の発表は、招待状の発送をもってかえさせていただきます。
なお、当選に関するお問合せへの回答はいたしかねます。予めご了承下さい。

森田芳光監督13年ぶりの完全オリジナル作品×小雪初単独主演

わたし出すわ

10月31日(土)より、恵比寿ガーデンシネマ、新宿バルト9、
銀座テアトルシネマほか全国ロードショー

INTRODUCTION

今、新たな視点で提案する
森田監督流“明日の幸せのつかみ方”

『わたし出すわ』1突然、東京から故郷に戻ってきた摩耶は高校時代の友人たちと再会する。そして、旧友たちの現在の欲しい“もの”や“こと”、かつての“夢”や“希望”にお金を差し出す……。
「お金」とは何か?人は「お金」を使っているのか?はたまた「お金」に使われているのか?
「お金」の使い方が品性や人間性を表出し、人間としての生き方が問われる。
この数年、『間宮兄弟』『サウスバウンド』などの小説映画化、『椿三十郎』リメイクなど、原作/原典をベースにしながらも、独特の世界観で独自な作品を発表してきた森田芳光監督が、満を持して13年ぶりのオリジナル作品を世に問う。モティーフは「お金」の使い方。主役の摩耶には、本作が初の単独主演作となる小雪。共演に、黒谷友香井坂俊哉、山中崇、小澤征悦小池栄子、そして仲村トオルといった日本映画界で活躍する個性的な豪華キャスト陣が集結、不思議なアンサンブルを紡ぎだしている。
2009年のいまは、サブプライムローンに端を発し、昨年の金融破綻による世界的経済不況の真っ只中。本来ツールであるはずの「お金」が人生の目的になりがちな現代に生きる人々。そんな我々も、「明日の幸せのつかみ方」がわかるかもしれない。それが、森田芳光監督最新作『わたし出すわ』である。

「わたし出すわ。」
突然帰郷した彼女の申し出に、つい受け取ってしまった大金――

山吹摩耶が突然、故郷に帰ってきた。東京でどう稼いだのか、彼女は莫大な財を築いている。高校卒業以来何も変わっていない街で、久々に高校の同級生たちと再会する摩耶。
そして彼らの「夢」や「希望」の実現の為に、次々に「わたし出すわ」と、自分のお金を差し出すのだった。惜しげもなく大金を差し出す摩耶の申し出に、友人たちは戸惑いながらも、ついそのお金を受け取ってしまうのだが……。果たして摩耶の資金の出所は?彼女の目的とはいったい?そして大金を受け取った友人たちの夢の行く末は? ――「わたし出すわ」のその先にそれぞれの未来が見えてくる。

鋭く時代を捉え、日本映画界を牽引する森田芳光監督の集大成にして最高傑作誕生!!

『わたし出すわ』2 『わたし出すわ』は、『(ハル)』以来13年ぶりとなる森田芳光監督完全オリジナル作品。この不思議なタイトルに、「いったい何を出すのだろう?」と映画を観る興味を喚起させられる。突然、昔の友達が、夢や希望を実現するための費用を出してくれると申し出てきたら、果たして受け取るだろうか?ファンタジックでありながらもリアルなその設定から、お金の使い方を通して描かれる「愚かさ、悲しさ、可笑しさ」に自分を投影させ、たちまち引きずりこまれていく。やがて、今まで見た映画に類を見ない不思議な鑑賞後感が我々観客を襲う。面白さに溢れるユニークな設定、辛らつでありながら愛をともなった人間観察眼、それらを盛り込む独創的な画面構成、チャレンジングな手法を随所に散りばめ、森田ワールドとも言える固有なその演出は今回も冴え渡っている。さらに、2006年から企画されていたという本作の、世界的経済不況までも予見したかのような鋭敏な先見性が見事に時代の潮流も捉えている。満を持して発表した13年ぶりの森田芳光監督完全オリジナル作品は、集大成かつ最高傑作へ昇華していると言っても過言ではないだろう。

最強のチームワークを誇る森田組スタッフ再集結!

そんな最高傑作を作り得たのは、鉄壁の森田組スタッフの完璧なバックアップによる。撮影は『サウスバウンド』『休暇』の沖村志宏、照明は『模倣犯』『鉄道員 ぽっぽや』の渡辺三雄、美術は『阿修羅のごとく』『半落ち』の山崎秀満、装飾は『黒い家』『突入せよ!「あさま山荘」事件』の湯澤幸夫、録音は『間宮兄弟』『フィッシュストーリー』の高野泰雄、編集は『家族ゲーム』『おくりびと』の川島章正、衣裳は『(ハル)』『トウキョウソナタ』の宮本まさ江、音楽は『失楽園』『明日の記憶』の大島ミチル、助監督は『椿三十郎』『サウスバウンド』の増田伸弥。そして主題歌は本作のために辻詩音が特別に書き下ろし、映画の鑑賞後感を盛り上げている。

小雪初の単独主演作品に、
豪華アンサンブルなキャストが集結!!

そして、これ以上はない、はまり役の豪華なキャストたちが集結した。主人公山吹摩耶役には、『ラストサムライ』『ALWAYS 三丁目の夕陽』の小雪、本作が初の単独主演作品となる。ミステリアスな摩耶を、小雪が独自なクールさとその奥に見せる温かさを併せ持つ人格に昇華させ見事に演じきっている。摩耶の高校時代の友人たちにも錚々たるメンバーが集まった。高校時代のライバル魚住サキには『TANNKA 短歌』『SHINOBI』の黒谷友香、市電の運転手の道上保には『パッチギ!LOVE & PEACE』『砂時計』の井坂俊哉、マラソンランナーの川上孝には『松ヶ根乱射事件』『ぐるりのこと。』の山中崇、研究者の保利満には、『犯人に告ぐ』『クライマーズ・ハイ』の小澤征悦、専業主婦の平場さくらには『パコと魔法の絵本』『接吻』の小池栄子と、期待のキャストが組み込まれている。彼らを囲む登場人物にも、ユニークなキャラクターを屹立させる実力派が固められた。摩耶を必要以上に追い回す謎の人物溝口に『K-20 怪人二十面相・伝』『海猫』の仲村トオルをはじめ、『眉山-びざん-』の小山田サユリ、『ウルトラミラクルラブストーリー』の藤田弓子、『少年メリケンサック』のピエール瀧、『北辰斜にさすところ』の永島敏行、『Life 天国で君に逢えたら』の袴田吉彦、『ハンサム★スーツ』北川景子と、物語の行方を予想させない、厚く深いアンサンブルを生み出している。

10月31日(土)より、恵比寿ガーデンシネマ、新宿バルト9、
銀座テアトルシネマほか全国ロードショー

COMMENTARY

『わたし出すわ』が出来るまで
森田芳光監督×三沢和子プロデューサー×竹内伸治プロデューサー×橋本靖ラインプロデューサー

――本日は、『わたし出すわ』企画から完成までを森田芳光監督、三沢和子プロデューサー、竹内伸治プロデューサー、橋本靖ラインプロデューサーに語っていただきたいと思います。竹内Pに聞き手をお願いしたいと思います。

【『わたし出すわ』アイディアのもと】

『わたし出すわ』3竹内:『わたし出すわ』の企画の発端を思い起こすと、『間宮兄弟』が成功して次の企画を相談していた2006年8月14日に、森田監督から実はこんなアイディアもあります、と話されたのを思い出します。その時、初めて『わたし出すわ』の構想を聞きました。その時にはもうタイトルを明確に『わたし出すわ』って仰ってましたよね。

監督:そう、『わたし出すわ』は、タイトル自体がコンセプトですから。ずっと前から、言葉としての面白さを感じてたんです。男の人がお金払う時に女の人が横から、「今日はわたしが出すわ」なんて言っているのを聞いて、なんでたまにしか出さないのにありがたがっちゃうんだろう、なんて。

竹内:その“わたし出すわ”のアイディアと、女性が東京から帰郷して高校時代の友達に会う、というアイディアの出どころは別なんですね。

監督:その二つのアイディアがずっと前からあって、交わったという形ですね。クラス会があったんですが、悠々自適に遊んでいる土地成金がいて、そんな金があるんだったら俺に金を出してくれよ、と思ったのが発端(笑)。例えば東京で一生懸命働いた人がお金持ちになって地方に帰ってクラス会に出て、あなたたちどうしてずっと地方にいるの?って聞く。同級生が、「だって東京行ったって別に飯も食えないし」って答えたときにどうするかなって、そこからストーリーを発想しました。

竹内:アイディアのもとはずっと昔からあったんですね。

三沢:その何十年ものうちに、だんだんと、スケートブームなのにスケート場が閉鎖されてゆく、とか中小企業が数千万あれば機械を導入できるのに融資が受けられない、などの経済的なニュースがあったんですよね。

監督:そうですね。サブプライムローンのように「これ絶対儲かりますからみんなで買いましょう」ということが多くあったけれども、その「みんなで」っていうのはもう終わりの時代に来ているんじゃないかなって思いました。

竹内:経済的な要素が枝葉として入ってきて、それがやがて一本の物語として昇華していったわけですね。この映画のアイディアが生まれた後にサブプライムローン問題や、世界的経済破綻が起こりました。

監督:自分がずっと考えてきたことの、例えると僕にとってのベルリンの壁が少しずつ壊れていくような気がしました。一つの国とか企業が壁となってあって、もうずっとそうなのかなって思ってたんだけど、それが最近少しずつ崩れてった、という印象です。

竹内:2008年1月に、新作の企画を決定しようと森田監督、三沢P、豊島EPと相談した際に、『わたし出すわ』のアイディアをもう一回話していただいて……。

監督:その時は経済問題も絡んで、すごく自分の中で盛り上がってきていたんですよ。

竹内:その2週間くらい後に第一稿が上がってきましたね。その脚本にはもう路面電車が登場しており、監督は初めから、ロケ地に函館を想定されていたのだろうと思います。他の候補地もあって、ロケーション・ハンティングなど検討されましたが、最終的にはやはり函館を選ばれました。監督はもう函館は何度か撮られてますが、なぜ今回も函館を選んだんでしょうか。

監督:映画に優しいですよね、風景と人が。映画撮っていてもお前何やってるんだとか、なに車止めてるんだとか言われないということはすごいストレスがないですよね、僕らにとって。

竹内:監督は、函館市自身が巨大なオープンセットと仰ってましたね。

監督:僕も日本全国行ってるんだけど、あんなに空気の澄んだところはめずらしいですね。海が二つ両側にあるのが微妙に作用しているような気がするんですよね。空気感が、自分の映画の不条理な気分に合いますね。

竹内:先日函館の人と話していて、さすが森田監督の函館4作目、脚本も入れると5作目、現地の人も知らないようなロケ地を選ばれている、って話をされていましたよ。

橋本:それはうれしいですね。今回監督と話していたのは、養魚試験場、病院、川上君などの場面をどんな場所で撮影するかが大切になるので、これらの新旧具合をどう出していこうか、ということでした。

監督:当初、養魚試験場を大きなプールがあるような最新施設に、と考えていたんだけど、その三か所のバランスを考えて発想の転換をしました。病院が最新施設なので。

橋本:函館での撮影では地元の方々に多大なご協力を頂きました。例えば、函館市交通局は道上が路面電車を運転するシーンの必要性を理解してくれ、煩雑な資料作りをして撮影許可を取ってくれました。フィルムコミッションを始め、官・民各方面の函館の方々に頑張っていただいたのが大きかったと思います。

監督:作品への理解度が高くて、そのショットが必要だからって一緒に動いてくれるのが良かったですね。物理的にやりやすかったです。

【キャスティングのポイント】

『わたし出すわ』4竹内:一方でロケ地選びをされながら、キャスティングを進めました。主演を小雪さんに決められたポイントと言うのはなんだったのでしょうか。

監督:存在から摩耶という人が読み取りができるような人にしようと思ったときに、小雪さんしか考えられなかった。撮り終わってみて、小雪のための映画みたいな感じありますよね。小雪さんについていけば何かしてくれるんじゃないかという気がする(笑)。

竹内:見終えると、摩耶と小雪さんの一体感はすごいですよね。

監督:秘めている何かが、映画の中で存在してますよね。物語的には、自分がお金あるから渡しているっていうんじゃなく、寂しさが感じられませんか?

竹内:魚住サキ役の黒谷さんは?

監督:黒谷さんは、昔から彼女は面白いから監督使ってみたらって色んな人から言われてたんだけど、なかなか役がなかった。黒谷さんは柔軟で面白いし、楽しんで役を演じていただいたと思います、関西人だけに。

竹内:では道上保役の井坂さんはいかがだったでしょう。

監督:道上は真面目で、顔も良くてね、普通だったら女の子にもてそうなのに不器用で純粋で、というのがいいなと思ってキャスティングしました。一番上手いなと思ったのは、奥さんに対して怒るところですよね。普通だったら手を出しそうなところを、抑えて自分なりの一番の怒り方っていうかやってもらえたのがよかった。すごくリアリティが出てたんじゃないかな。

竹内:マラソンランナー川上孝役の山中崇さんはいかがでしたか。

監督:山中君の場合は、やっぱり走るわけだから、マラソンを出来なきゃいけない。かつ、純粋さが必要で、というところでキャスティングしました。男の同級生は皆、純粋であってほしかったんですよ。そうでなければ摩耶に声かけないと思ったんです。

竹内:見かけに惑わされずに、摩耶の本分をきちっと見極められる人っていうことですよね。小澤さんはいかがでしたか、保利満役。

監督:小澤さんとは色んな作品を観て一度是非やってみたかった。保利は言葉ではすごく器用で色んなこと言いますけど、川上と同じで実は全然不器用なんですよね。例えば、中国人の美女に手を掴まれている時もどきどきしている感じ。どこか純粋っていうかね、東京には行きたくないっていう男たちを集めたんですよ。

竹内:平場さくら役の小池栄子さんは同級生キャストのなかでは唯一の森田作品経験者ですね。

監督:小池さんは『模倣犯』でもやってますし、彼女が上手いってことはよくわかってます。キャスティングするときいつも思うんですけど、技術だけで芝居はできなくて、役っていうのはどこかにその人が持っている特性を持たないとだめだと思うんです。小池さんは、相当芯があると思うんです。それが摩耶のお金をあげるということにも動かされないで、摩耶の人間性を見極めてから、初めて摩耶に秘密を吐露したっていうさくらの芯の強さと近いと思うんですね。

竹内:謎の男、溝口役に仲村トオルさん。

監督:この役は存在が目立ってなきゃまずいんですね。仲村トオルは誰でも知ってるし、仲村トオルが一体なにしてるんだろうっていう興味を観客に持ってもらいたかった。よく、ゲストを出演させてこんな豪華な映画だって裏打ちされるじゃないですか。逆に僕は意味としてそうしたかったんです。それがかえって観客に思考をゆだねると思いました。

竹内:小雪さん出演が決まったのが9月でしたよね。

監督:出演が決まったその週末の21日にあるホテルの和風スイートでスタッフと一緒に脚本の最終推敲をしました。完全に主役が決まって彼女が実際に動くことになると、発想が全然違うわけですよ。それで僕が一枚一枚脚本を直しながら書いていくのを皆が読んで、ってやったのが大きかったですね。だいぶ変わりましたよ、その前の稿より。

三沢:ほぼ24時間でやったんですよね

監督:この映画の一番のキーである回想シーンのアイディアもその時出てきました。

橋本:回想が入ったのと、金言が最後の直しで生まれて・・・最終の撮影台本ができたのは、11月に入ってからですね。

竹内:監督が撮影に入る前に考えたことはなんでしょう。

監督:あり得る話なんだけど、ちょっと浮いた話にしようと思った。リアリティはあるけれども、不条理なところがある。観る人がそれぞれに味わえるというか。

竹内:画の撮り方で挑戦しようと思ったところはありますか。

監督:今回アップは絶対やめようと、沖村(志宏、撮影)にまず言いました。空間の中に人を動かして、その空間の隙間で皆で考える時間を与えようと。アップだとどうしてもメッセージがダイレクトに来るけど、ロングショットであれば、この映画のもつ不条理さを考える間があると思ったんですよ。あとはハイビジョンの発達によってロングショットがクリアに見える。これは大きいと思うんですね。のちのちのためにもロングのほうがいいかなと思いました。

【いよいよ撮影】

『わたし出すわ』5竹内:さて、いよいよ撮影に入るところなんですけど、函館に本隊が入ったのはいつでしたっけ。

橋本:11月13日くらいですね。クランクインは16日の月曜日です。回想シーンの学校から入りました。

竹内:一番撮影中大変だったのはなんだったのでしょうか。

監督:雪がないと想定していたシーンで、雪が降ってしまった。雪が降っていたって構わないけど、例えばその前のカットで雪が降っていたのにその次のカットで雪がないのはいくらなんでもまずい。それをどうにかしなきゃいけないっていうのが一番大変だったですね。

橋本:山の頂上みたいな天気でしたよね、晴れたり曇ったり雪がいきなり降ったり積もったり。

竹内:函館の一カ月は天気と戦うような毎日だったってことですね。

監督:あと、デイ・シーンが2時半までしか撮れなかったですね。それでも、我々の組は朝5時とか6時出発ということがないんです。無駄な時間がないんですね。

竹内:撮影がきびきびして早いから、デイ・シーンが2時半までであっても、きちっと撮り終えてましたよね。監督の動きに合わせてスタッフが動いて、という風に息が合っているんですね。スタッフは森田組の経験が多い方が多いですね。

監督:そうですね。でも前に一緒にやっているかどうかは僕は気にしないですよ。若い助手さんたちは森田組初めてだったりするけれども、いつもそういう人たちに話すのは、森田組は経験があるかどうかじゃなく一つのコンセプトだけわかっていればいいんじゃないかと。やることさえやればプライベートは問わないから、ともかくやることを自分の自己ベストでやってほしい。

竹内:なるほど。函館での撮影は一カ月弱でしたね。その後いくつかのシーンが東京で撮影され、ポストプロダクションに入ります。音楽・音効を入れるにあたって監督が一番考えられたことってなんだったんですか。

監督:説明的な音は嫌だなって思いました。あと、僕らが例えば喫茶店にいて一生懸命話してるときは音楽が聴こえないけど、しらけた時は音楽が聴こえる。そういう意識を考えようと思ったんです。心の中で聞こえる音、聞こえない音というのかな。

三沢:ダビングは普通なら一回目のテストで一度音を全部つけて、音を外していく作業。でも今回はまず何もない状態で一回見てから、その後で音は何を入れようっていう流れだったのが特徴です。

監督:これは珍しいよね。

竹内:映画の完成が、3月26日が零号試写で、4月1日初号試写。13年ぶりのオリジナル作品が完成しました。映画ファンからすると、13年ぶりっていうのは意外に思いますね。でも、監督の場合は、原作/原典があってもオリジナルに製作されますからね。

監督:そうです。僕の中では原作あるものもオリジナル感覚なんです。

竹内:今回、主人公の摩耶に、ご自身は投影されてるんでしょうか。

監督:それは投影してますよ、最初に自分で考え出してるんだから。なんで皆もっと映画にお金出さないのかなと思ったことがこの映画の発端でもありました。『マイ・フェア・レディ』みたいに、素朴な女の子を将来素晴らしい人になると思ってお金を出すとか、ちょっと絵が上手い人を育てて画家にするとか。日本ってそうやって人を育てることにお金を出すことが本当に少ないとずっと思っていたんです。それはもう自分が映画監督になった時からそうで、『の・ようなもの』を作った時も僕自分でお金出しているわけですから。自分で自分に対して「わたし出すわ」と投資したようなものです。

三沢:誰かに投資したいと思ったことはありますか。

竹内:『バカヤロー』シリーズは一種のそういうことなんじゃないですか。

監督:そうですね、監督として苦労したんで自分がそういう立場になったら、チャンスを与えたいと思いました。ちょっとしたことで皆が豊かになることができないのかなと思うんですよ。「わたし出すわ」って本当500円でもいいんです。たとえば。誰かに本をプレゼントするとかそれによってその人が発想が変わるかもしれないじゃないですか。ローレベルで、誰でもできるレベルで「わたし出すわ」すれば、すごく僕は広がっていくと思う。

C R E D I T
出演:小雪,黒谷友香,井坂俊哉,山中崇,小澤征悦,小池栄子,仲村トオル
脚本・監督:森田芳光『椿三十郎』『間宮兄弟』 製作総指揮:豊島雅郎
プロデューサー:竹内伸治、三沢和子
(c)2009 アスミック・エース エンターテインメント
http://watashi-dasuwa.com/

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2009/10/15/17:59 | トラックバック (0)
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