――（笑）。撮影を振り返って思うことはありますか？

高瀬　都合２週間の撮影で、しんどかったことが1回もないんです。すごくラクに撮れちゃって、９時５時の世界でしたよ。俳優部がみんな前向きで、これだけ人数が多いと中には消化試合というか、ギャラをもらっているから来てるみたいな人もいるものなんですが、そういう人は皆無だった。中村育二さんが演じたぼんぼりというのは賭場の支配人ですから、隅っこで目を光らせていなきゃならない。我々は作業の効率を考えて撮影をするから、まずは育二さん向きを撮って、切り返しのときは育二さんは入らないわけですから「どうぞ控室でお待ちください」と。すると「いえ、邪魔でなければここにいます。流れを見ていたい」とずっと同じ場所に座っていて。あれには正直ウルウルっと来ましたね。重鎮の、私たちにとってはスターである育二さんが狭いところでじっと座っていて、だから切り返すとすぐに芝居に入れるわけですよ。感動しました。

――熱いですね。みなさんが力を注いだ作品、ぜひ多くの方に観ていただきたいです。

高瀬　私もツイッターで務めて拡散はしているんですが、観た方の拡大再生産に期待しています。「面白かったよ」というのが伝播されて、モーニングショーから1回でも多くかけてもらえるようになったらいいなと。手弁当に近いかたちで尽くしてくれたスタッフのみなさんに恩返ししたいですね。人生の厳しさを描きながら、最後はカタルシスで締めくくる『カスリコ』をどうぞよろしくお願いします！