インタビュー
高瀬將嗣監督/『カスリコ』

高瀬 將嗣 (監督)
映画『カスリコ』について【1/4】

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2019年6月22日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

高瀬將嗣監督が、石橋保と宅麻伸という二人の名優をメインに迎えて生みだした極太の人間ドラマ『カスリコ』が6月22日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開される。昭和40年代の土佐を舞台に、究極のギャンブル”手本引き”で破滅した料理人の吾一と、彼に目をかけ賭場の下働き”カスリコ”の仕事を世話するヤクザの荒木。心を入れ替えて起死回生を図る吾一は、果たして新たなスタートを切ることができるのだろうか? 殺陣師でもある高瀬監督がモノクロで描く勝負の世界は、アクションが封印されてもスリリングでドラマがあり、終始胸を揺さぶられる。大人の鑑賞にふさわしい極上エンターテインメントを、ぜひ多くの人に観てほしい。高瀬監督にお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
高瀬 將嗣 1957年生まれ。東京都出身。日本映画監督協会 理事。芸道殺陣「波濤流」高瀬道場 顧問。国士舘大学卒業後、殺陣師として活動を開始。主な作品に映画『ビー・バップ・ハイ・スクール(85)』『あぶない刑事(87)』『マルタイの女(97)』『花のあと(10)』『海辺の映画館(18)』など。 2002年には仏映画『WASABI』でもアクションを担当し、同年、日本DVC大賞にて最優秀アクション監督賞を受賞。1991年に『極道ステーキ』で映画監督デビューし。主な作品に『武闘の帝王』(93~94)、『新・日本の首領』(04~06)など。アクション系だけでなくコメディにも定評があり、最近作の『昭和最強高校伝 國士参上!! (16)』では青春アクション喜劇として全国主要都市で公開、好評を博した。月刊「映画秘宝」にてコラム「技斗番長・活劇与太郎行進曲」を15年間にわたって連載、「技斗番長 活劇戦記」として単行本化。2016年、「映画の日」永年勤続功労賞を受賞。
STORY 昭和40年代、土佐。高知一の料理人と呼ばれた吾一(石橋保)は、「賭博の終着駅」と言われる“手本引き”で破滅。途方に暮れていたところをヤクザの荒木(宅麻伸)に拾われ、かつて自分が客として入り浸った賭場の下働き「カスリコ」として働き始める。行き場のない吾一はプライドを捨てて懸命に働くが、賭場の客たちやカスリコ仲間の悲喜交々を目の当たりにし、やがて人生を賭けた最後の大勝負に挑む――。
高瀬將嗣監督画像1
――『カスリコ』、とても面白く拝見しました。脚本は國吉卓爾さんという方の新人シナリオコンクール受賞作ですね。

高瀬 はい、一昨年になりますね。

――高瀬監督が映画化することになったいきさつを教えていただけますか?

高瀬 私も日本シナリオ作家協会の会員なんですけど、その総会の席で新人賞の授賞式も並行して行うんです。一昨年も授賞式をぼんやりと見ていたら、國吉先輩が立っているので、「何をしているのかな?」と思っていたら、特別賞を受賞して表彰されていまして。

――國吉”先輩”というのは?

高瀬 高校のずっと上の先輩なんです。私はお顔を存じ上げていたんですけど、本当に驚きました。表彰式が終わって「先輩!」とお声をかけ、「おお、なぜここに?」「かくかくしかじかで」と、お互いに近況を報告し合いました。高知で実業家として手広く活動されている方なんですが、年齢的なこともあって、役職は全部バトンタッチをして悠々自適の生活に入ると。そうなった暁に、前々から書いてみたかった脚本にトライして、ダメ元でこのコンクールに応募したら賞をいただき、驚愕しながら足を運んだらキミにも会えてダブルで驚いている……という話になりました。

――それはすごい偶然ですね!

高瀬 はい。國吉さんとしては、やはりシナリオを書かれたわけですから、叶うことなら映像化したいと。「そういうことなら自分にやらせてください」という話になりまして、企画に乗ってくれるところを探して、結果的にシネムーブさんという非常に優れた制作会社が手を挙げてくださり、そこから先は順調に進みました。

――監督のほうでは、もちろん脚本そのものも気に入られたわけですよね?

高瀬 はい。博徒の映画というと、ともすれば荒事、アクションシーンの多い、東映の任侠映画に代表されるような作り方がほとんどなんですけど、この作品に関してはそれが一切ないというところに非常に興味を持ちました。私は殺陣師出身で監督をしていますが、叶うことならアクションに頼らない作品にもトライしたいなと思っていたので、これは渡りに船というか、神様の計らいなんだなあと思いましたね。

――高瀬監督がアクションシーンのない映画を撮ったということが話題になっていますが、あえてトライしたんですね。
『カスリコ』画像 『カスリコ』場面画像1

高瀬 はい。本当はやりたかったんですけどね、大格闘(笑)。ウズウズしていたんですけどそこをぐっと堪えました。

――そうなんですね。でもこの映画も、動的ではないんですけどとても迫力がありました。

高瀬 実は賭場のシーンの札のやり取り、お金のやり取りというのは、アクションシーンと同じコンテの割り方をしています。まずは引きで位置関係を見せ、そのあとカットバックの応酬、アクションとリアクションですよね。そしてもう一度元の横位置・引きに戻る。ある種映画の基本なんですけど、アクションもベースとしてそういう撮り方がいちばんいいと言われています。今回の札のやり取りというのも、殴り合いではないけどアクションを意識してそういうふうに撮ったことが、結果としては功を奏しました。

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カスリコ (2018年/日本/モノクロ/ビスタサイズ/5.1ch/114分)
出演:石橋 保,宅麻 伸,中村育二,山根和馬,鎌倉太郎,金児憲史,高橋かおり,高橋長英,
小市慢太郎,西山浩司,高杉 亘,伊嵜充則,及川いぞう,西村雄正,大家由祐子,池上幸平,服部妙子
脚本:國吉卓爾(『カスリコ』第26回新人シナリオコンクール 特別賞 大伴昌司賞準佳作)
監督:高瀨將嗣 音楽:辻 陽 制作:臼井正明 撮影:今泉尚亮 美術監督:若松孝市 照明:守利賢一
録音:藤丸和徳,清水雄一郎 装飾:井隈啓太 記録:柳沼由加里 配役:空閑由美子 助監督:山本亮
制作担当:古森正泰 制作協力:シネムーブ 製作:珠出版 配給:シネムーブ/太秦 宣伝:太秦
© 2018 珠出版
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2019/06/22/22:21 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー

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