今年、没後40周年を迎える伝説の映画俳優――市川雷蔵。

1969年に37歳の若さでこの世を去り、15年間の役者人生で出演した作品は159本、そのほとんどが「眠狂四郎」を始めとする多くの著名な主演作を持つ時代のスーパースター。
若尾文子や中村玉緒など多くの女優に愛され、市川崑や三隅研次などの日本映画を代表する監督から信頼され、そして永遠のライバルは勝新太郎だったという。まさに、映画を愛し、映画に愛された男。40年を迎える記念すべき本年に、史上最大100作がお目見えする運びとなった。大好評を博した2004年開催の同祭「艶麗」から5年、今回は主演作から知られざるカメオ出演作まで、市川雷蔵の魅力をすべて魅せます!!

市川雷蔵
1931年8月29日京都生。生後半年で歌舞伎俳優市川九団次の養子となり15歳で大阪歌舞伎座にて初舞台を踏む。1951年、関西歌舞伎界の長老市川寿海の養子となり、｢白浪五人男｣で襲名披露、五世市川雷蔵を名乗る。1954年に大映入社。デビュー作｢花の白虎隊｣（54）（勝新太郎共演）。翌55年に巨匠溝口健二監督により｢新･平家物語｣の主役、平清盛に抜擢され、“線の細い美男子”のイメージを打ち破り情熱的で骨太な演技を見せる。58年には初の現代劇、市川崑監督｢炎上｣（三島由紀夫原作｢金閣寺｣）に出演。翌年のキネマ旬報主演男優賞、ブルーリボン主演男優賞、ＮＨＫ映画最優秀主演男優賞を受賞、確固たるスターの地位を築く。
この頃よりリアリズムを追及したドラマで｢大菩薩峠｣（60）｢斬る｣（62）、眠狂四郎シリーズ等、雷蔵独自の清々しさと悲劇性を際立たせた作品が多くなる。その他、“歌舞伎もの”代表作｢弁天小僧｣（伊藤大輔監督･58）等、年間平均約10本もの作品に主演。忍びの者シリーズが全8作、眠狂四郎が全12作、若親分が全8作、陸軍中野学校が全5作。総出演作品数は、159本にのぼる。1969年7月17日、ガンにより逝去。享年37。