ラピュタ阿佐ヶ谷モーニングショー
脚本家・白坂依志夫 著「不眠の森を駆け抜けて」発刊記念 特集上映
増村保造×白坂依志夫の仕事
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/masumura_shirasaka/2013年3月17日(日)~5月11日(土)連日10:30より
ラピュタ阿佐ケ谷にてモーニングショー上映
1950年代後半、鮮烈なモダニズムが印象的な作品を次々と創出した、増村保造。時を同じくして、若々しい感性が弾む脚本で新風を巻き起こした、白坂依志夫。1957年の『青空娘』で、2人は初めてタッグを組み、その後、増村×白坂コンビとして当時の映画界では斬新で大胆な作品群を次々と発表しました。
この度、4月上旬にラピュタ新書より、脚本家・白坂依志夫のエッセイ「不眠の森を駆け抜けて」を発刊する運びとなりました。発刊記念として映画界の若き才能として活躍した増村×白坂コンビ作品を全8作品上映いたします。
本特集で上映いたします源氏鶏太原作の『最高殊勲婦人』は、増村×白坂コンビの特徴である機関銃のようなテンポの早いセリフのやりとりが縦横無尽に繰り広げられる作品。若尾文子が演じる、当時ではめずらしい自立した女性像が鮮やかに描かれたラブ・コメディとなっております。また、大江健三郎原作の『偽大学生』は、大学受験に失敗した主人公が偽大学生として大学にもぐりこむものの、激化する学生運動に翻弄される作品です。善と悪の境界線が揺らぎ、崩れていく様を鋭い視点で描いた異色文芸作品となっております。『大地の子守唄』は13歳にして、孤島の売春宿に身を売られた少女が、不運なれど己の道を逞しく生き抜こうとする、生命力に溢れた秀作。これまで、個人の感情を情緒的に描いてきた日本映画の常識をうち破り、自分の意志のまま行動的に生きる人間像を描く部分が、増村×白坂映画には欠かせない魅力となっております。
映画界のニューウェーブとして活躍した増村保造と白坂依志夫。日本映画に革新をもたらし、今もなお色褪せることのない鮮烈なモダニズムを放つ、彼らの作品群をどうぞお楽しみください。
なお、4月28日『盲獣』上映後には、女優・緑魔子さんと脚本家・白坂依志夫さんをゲストに迎えてのトークイベントを行います。
【上映作品】
『暖流』『巨人と玩具』『最高殊勲夫人』『氾濫』『偽大学生』『好色一代男』『盲獣』
『大地の子守歌』
2013年3月17日(日)~5月11日(土)連日10:30より
ラピュタ阿佐ケ谷にてモーニングショー上映
3月17日(日)~23日(土)
『暖流』( 1957年【S32】/大映東京/カラー/94分 ※16mm )
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 出演:根上淳、左幸子、野添ひとみ、小川虎之助、村田知栄子
吉村公三郎監督による同名作のリメイクに新鋭・増村×白坂コンビが挑む。破綻寸前の病院を舞台に、その再建を任された青年と、院長令嬢、看護婦の恋模様をヴィヴィッドに描く。一途な看護婦・左幸子が鮮烈な印象。
3月24日(日)~30日(土)
『巨人と玩具』( 1958年【S33】/大映東京/カラー/95分 )
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 出演:川口浩、野添ひとみ、高松英郎、信欣三、伊藤雄之助
製菓会社の宣伝戦に巻き込まれた新入社員・川口浩が目の当たりにする消費社会の不条理と人間性の崩壊――。白坂による膨大な台詞は、まさに言葉の機関銃。増村のスピーディーな演出に風刺を痛烈に効かせた傑作。
3月31日(日)~4月6日(土)
『最高殊勲夫人』( 1959年【S34】/大映東京/カラー/95分 )
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 出演:若尾文子、川口浩、船越英二、宮口精二、金田一敦子
三原家と野々宮家では、長女と長男、次男と次女がスムーズに結婚。残った三男、三女もくっつけようと周囲の画策がはじまって…!?若尾文子&川口浩のフレッシュさと軽快な駆け引きがみどころの痛快ラブコメディ。
4月7日(日)・9日(火)~13日(土)
『氾濫』( 1959年【S34】/大映東京/カラー/98分 ※16mm )
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 出演:佐分利信、沢村貞子、若尾文子、 川崎敬三、 叶順子
伊藤整のベストセラーを映画化。新発明によって技師から重役へと迎えられた中年男の周囲に渦巻く情と欲――。出世欲にかられた青年・川崎敬三に焦点をあて、人々のエゴを巧みにあぶりだした重層的なシナリオは圧巻。
4月14日(日)~20日(土)
『偽大学生』( 1960年【S35】/大映東京/白黒/94分 )
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 出演:若尾文子、藤巻潤、ジェリー藤尾、村瀬幸子、船越英二
新入生と偽り学生運動に参加する青年にかけられたスパイ容疑。壮絶な取調べのなかで噴出する若者たちの不安定なエネルギーを力強くとらえた文芸異色作。ジェリー藤尾のバイタリティある演技は増村保造も高く評価した。
4月21日(日)~27日(土)
『好色一代男』( 1961年【S36】/大映京都/カラー/92分 )
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 出演:市川雷蔵、 若尾文子、中村玉緒、船越英二、水谷良重
一代の放蕩児として、女の柔肌に永遠なるものを求めた男の半生――。飄々と女を渡り歩く主人公を市川雷蔵が粋に演じきる。雷蔵の希望で増村、白坂が起用され、井原西鶴の古典的名作を壮快でモダンな作品へと蘇らせた。
4月28日(日)~5月4日(土)
『盲獣』( 1969年【S44】/大映東京/カラー/84分 )
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 出演:船越英二、緑魔子、千石規子
盲目の芸術家と監禁されたモデルの美女が織りなす悦楽地獄――。登場人物が三人、ワンセットのなか、江戸川乱歩の怪奇世界をみごとに描いた衝撃作。増村作品の常連・船越英二の力演と緑魔子の妖しい魅力がぶつかり合う。
5月5日(日)~11日(土)
『大地の子守歌』( 1976年【S51】/行動社、木村プロ/カラー/111分 )
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 出演:原田美枝子、 佐藤佑介、賀原夏子、 灰地順、堀井永子
瀬戸内海の小島、十三歳で売春宿に売られた少女が、苛酷な運命に負けず、自らの力で逞しく生き抜くさまを描いた感動巨篇。原作に惚れこんだ原田美枝子が体当たりの演技をみせ、主要な主演女優賞を総ナメにした。
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