溌剌〈HA・TU・RA・TU〉たる昭和の女たち
― 脚本家 井手俊郎のめくばせ ―

『斑女』©1961松竹株式会社 『四つの恋の物語』©日活6月12日(土)から開催される『溌剌〈HA・TU・RA・TU〉たる昭和の女たち ―脚本家 井手俊郎のめくばせ― 』では、石坂洋次郎の同名小説を脚色した『青い山脈』(原節子・池部良主演)でデビューし、戦後の新しい風俗や時代思潮をとりこんだ良質な脚本を世に出し続けた万能脚本家・井手俊郎を特集する。
今回上映される38作品の中では、『兄貴の恋人』『二人の恋人』や、ニュープリントでの上映となる『銀座の恋人たち』(千葉泰樹監督)など若者の青春をエネルギッシュに謳い上げた作品群や、岡田茉莉子主演・中村登監督による『斑女』『河口』のように、微妙に揺れ動く女心を浮き彫りにした作品、『伊豆の踊子』『風と樹と空と』といった60年代の吉永小百合主演作など、当時の時代の空気を鮮やかに切り抜く女性像を体現した女優たちの演技にも注目したい。
また、『若い娘たち』『丘は花ざかり』など石坂洋次郎原作の映画や、味わい深い中年男女の恋愛に若さを見出して原作者からも称賛を得た『河のほとりで』、成瀬巳喜男監督『夫婦』『妻』『女の中にいる他人』や、久松静児監督『警察日記』『月夜の傘』など、名匠とタッグを組んだ傑作も見逃せない。

2016年6月12日(土)～8月13日(金)まで上映

昭和の銀幕に輝くヒロイン第81弾 浅丘 ルリ子

『愛の渇き』©日活続いて6月26日(日)からは、ラピュタ阿佐ヶ谷の名物モーニング特集『昭和の銀幕に輝くヒロイン』の第81弾が開催される。今回は、十代半ばにして銀幕デビューを果たして美少女女優として活躍した後、小林旭や石原裕次郎など日活スター俳優の相手役を数多く務めた、浅丘ルリ子を特集する。
上映されるのは、浅丘ルリ子の50～60年代の代表作・意欲作9本。社会の厳しい現実に理想と純心で立ち向かう少女を演じた『若い傾斜』や、愛を知り悲しみを知る「大人の女」に体当たりで挑戦した『十六歳』といった初期の意欲作から、浅丘ルリ子が女優として開眼したターニングポイントとも言える石原裕次郎共演・蔵原惟繕監督の傑作ロードムービー『憎いあンちくしょう』、山陰・北陸地方で一か月以上に及ぶ大ロケを敢行し、圧倒的な世界観を作り上げた出演百本記念の意欲作『執炎』、妖艶さを肉体と精神の両方にみなぎらせた三島由紀夫原作の『愛の渇き』など、浅丘ルリ子の女優としての変遷を辿りながら、彼女の美貌と色香を堪能できる特集となっている。

2016年6月26日(日)～ 8月27日(土)まで、連日10：30より一回上映