ハリソン・フォード主演最新作の「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」は、不法滞在者の取締りを任務とする移民局捜査官の葛藤を描いた社会派ヒューマンドラマだ。
ハリソン・フォードが初めてメジャースタジオ以外の出演作として選んだのが、人種差別や移民問題を題材にした社会派のヒューマンドラマということで、これまでの「走り回るアクション俳優」というイメージを払拭する、新境地を拓いた作品として注目を集めている。
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正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官
捜査官にも人情がある。「彼ら」にも事情がある。
9月19日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
ハリソン・フォードが「悩める主人公」に挑んだ、
新たな代表作!
1970年代から数々のヒット作に出演し続けるハリウッドを代表する大スター、ハリソン・フォード。その長いキャリアの中で、初めてメジャースタジオ以外の出演作となったのが本作『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』だ。脚本の完成度の高さとテーマ性にハリソンが惚れ込み、低予算ながら出演を快諾。「これは『インディ・ジョーンズ』シリーズとは180度かけ離れた作品だ。今までとは違う、こうした役柄を演じることで、新たな可能性が得られたことを、自分でも嬉しく思っているよ」と力強く語る。従来の娯楽性の高い出演作での「ヒーロー」的な役柄とは一味異なり、グローバル化による社会問題と「正義」の間で揺れ動く等身大の主人公を熱演、俳優として新たな局面を切り開くことに成功している。
真の「正義」とは……?
国境をめぐる犯罪に、たったひとりで立ち向かう――
ロサンゼルス―南北アメリカの国境に近く、東洋と西洋が交差するこの街には、夢を追って来た若者、一家で移住してきた家族、そして無断で国境を越えてきた不法就労者まで、あらゆる人種が集まってくる。マックス(ハリソン・フォード)は移民局I.C.E.に所属するベテラン捜査官。不法滞在者の取締りが任務だが、正義感が強く良心的なために、彼らの立場に同情的だ。母親の逮捕後に取り残された幼い子供が気になってメキシコに送り届けるなど、つい彼らの面倒をみてしまう。そんなある日、同僚の捜査官の妹が殺される。遺品の服に偽造グリーンカードを発見したマックスは、独自に調査を始めるのだが…。「国を守る」ために彼らを逮捕しなくてはならない立場にいるマックスは、はたして本当の意味で彼らを「救う」ことができるのだろうか。
現代社会が抱える問題をリアルに描いた、
衝撃の社会派ヒューマンドラマ
現在、全米に1,100万人以上いるとされる不法滞在者。オバマ大統領の誕生を機に、大きく変わりつつある「いま現在のアメリカ」を舞台に、国境をめぐるリアルで衝撃的なドラマが次々と展開し、観る者の眼を捉えて離さない。本作で描かれているテーマは、決して「対岸の火事」ではない。日々のニュースを思い起こすと、私たち日本人にとっても「傍観者」ではなく「当事者」となりうる問題であることに気づくはずだ。脇を固めるのは、アシュレイ・ジャッド、ジム・スタージェス、レイ・リオッタなど実力派にして個性的な面々。監督・脚本は『ワイルド・バレット』(06)を手がけた注目の新鋭ウェイン・クラマー。
9月19日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
ウェイン・クラマー監督インタビュー
ウェイン・クラマー(監督、脚本、製作)
1965年、南アフリカ出身。86年に映画監督を目指して渡米後、92年に短編“BLAZELAND”で監督デビュー。『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』の基になった短編“Crossing Over”(96)で注目を集める。00年に米国市民権を取得。03年ラスベガスを舞台にした“THE COOLER”で初めて長編映画に挑み、出演したアレック・ボールドウィンとマリア・ベロがアカデミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされるなど、高い評価を得る。04年に『マインドハンター』(レニー・ハーリン監督)の脚本を担当。06年に長編監督2作目となる『ワイルド・バレット』を手がける。『ワイルド・スピード』シリーズのポール・ウォーカーを主演に迎えたサスペンスアクションで、全米初登場9位を記録するスマッシュヒットとなる。タランティーノは、「俺が待ち望んでいたのはコレだ!! ウェイン・クラマーは本作でウォルター・ヒルやロバート・アルドリッチのようなアクション映画監督の偉人が住む神殿に飛び込んで来た脅威の監督だ」と惜しみない賛辞を寄せている。本作は3作目の長編作品。次回作は、ブルース・ウィリスが孤独な探偵を演じる“INVENTORY”が予定されている。
――映画について
ウェイン・クラマー 今の米国が抱える移民問題をLAに住む人々を通してリアルに描こうと思ったんだ。帰化、グリーンカード、9.11後の移民とテロの関係、取調べの際に受ける扱いなど、あらゆる角度からこの問題を取り上げている。この国に移住して働こうと思ったら役所での手続きがどれほど煩雑で大変なことなのか、普通にアメリカに生まれた人や世界中の人々に知ってもらいたかったんだ。
――アメリカへ移住することの魅力について
ウェイン・クラマー 移民問題に関しては、ずっと考えさせられてきた。私も渡米して、グリーンカードを得て、帰化しているしね。アメリカは自分達が一番で、この国に来れば自由と素晴らしい人生が待っていると、世界中に喧伝し続けている。そのメッセージを受け取った人が「そうか、アメリカに行ってみたいな」と願うけれど、いざ行こうとしたら扉は固く閉ざされている。こんなにも多くの人が移住を願って行動を起こすこと自体、凄いことだと思うよ。
――ハリソン・フォードを主役に選んだ理由
ウェイン・クラマー 人間くささを表現できる人が必要で、ハリソンは最適だった。こういう堅気で真面目な捜査官役は演じたことがないんじゃないかな。『今そこにある危機』のジャック・ライアンみたいな役はあったけれど。あるいは『刑事ジョン・ブック 目撃者』の20年後の姿と言えるかもしれない。もちろん俳優としての素晴らしさは折り紙つきだ。自分の出番は当然だけど、全ての状況を把握している。どのレンズを使っているか、とかね。全てにおいて正確なんだ。一緒に仕事が出来たことを光栄に思っているよ。
――アシュレイ・ジャッドについて
ウェイン・クラマー 彼女はとても優しく、穏やかで、人間味のある女性だ。もちろん美しいし、実際に世界中の難民キャンプなどで活動している。悪者をやっつけるというよりも、人々のために献身的に何かをする、というこの役はピッタリだと思ったんだ。この役に興味を持ってくれて、とても嬉しかったよ。
――レイ・リオッタの演技について
ウェイン・クラマー レイはとにかく特殊な俳優だよ。この役に必要な棘と危険な香りを持っていて、なおかつ不思議な優しさも感じられる。男同士なら一杯飲みに行きたくなるような親近感も抱かせてくれるけど、その裏にあるダークな部分も時折垣間見えるんだ。今回はかなり強力なパフォーマンスを見せてくれているから、彼の演技にビックリする人も多いんじゃないかな。
――キャストとスタッフの多様性について
ウェイン・クラマー アリス・イヴはイギリス人だけれどオーストラリア人女優、クリフ・カーティスはニュージーランド人だけれどイラン系アメリカ人でマックスの相棒を演じている。様々な役者が、自分の出自とは異なる役を演じているんだ。衣装や制作担当はじめ、主要スタッフも5、6人は帰化したアメリカ人じゃないかな。まさに「人種のるつぼ」といっていい撮影現場だった。エンドクレジットに多種多様な民族を思わせる名前が並んでいるのを見ると素晴らしいと思う。なにしろ本当にLAに住む移民と、その経験を描いた作品だからね。
――映画を作るにあたって一番大変だったこと
ウェイン・クラマー とにかく役者の数とロケ現場の数が多くて大変だった。予算も限られていたし、全部で100近い役柄があった。一人の役者やロケ地に慣れて、撮影が乗ってきたなと思ったら次のシチュエーションに変わってしまう。週替わりで、別な話を撮っているみたいだった。エピソードごとに違うリズムを作っていかなくてはならなかったけれど、だからこそ新鮮さが保てたから、結果的には良かったと思っているよ。
ハリソン・フォードインタビュー
ハリソン・フォードマックス・ブローガン(移民局の捜査官)役
1942年7月13日、イリノイ州シカゴ出身。ウィスコンシン州リポン・カレッジで哲学と英文学を専攻するも役者を志し中退、LAの演技学校で学ぶ。66年に『現金作戦』の端役で映画デビュー。『テキサスの七人』(68)などに出演するが陽の目を見ず、一時は俳優をあきらめ大工として生活していた。
73年のジョージ・ルーカス監督作『アメリカン・グラフィティ』から注目され始め、『スター・ウォーズ』旧三部作(77年/80年/83年)のハン・ソロ役で大ブレイク。さらに『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)に始まるインディ・ジョーンズ役でトップスターとしての地位を確立し、以後は次々と話題作に出演。90年代には『パトリオット・ゲーム』(92)、『今そこにある危機』(94)でさらなる当り役ジャック・ライアンを演じ、08年には19年ぶりのシリーズ第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』で現役っぷりを見せつけるなど、まさにハリウッドを代表する大スター。
初期は「タフな中にも繊細な心を秘めた現代版ヒーロー」といった役柄が目立ったが、90年代以降は内面的な苦悩を描く社会派ヒューマンドラマに一層の冴えを見せ、アクションとロマンス双方で円熟味を増した演技を披露、幅広いファンを獲得している。
85年の『刑事ジョン・ブック/目撃者』ではアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされた(ゴールデングローブ賞には『モスキート・コースト』(86)、『逃亡者』(93)、『サブリナ』(95)でもノミネート)。98年には「ピープル」誌の「もっともセクシーな男性」に、99年にはピープルズ・チョイス賞の「映画史上もっとも人気の高い映画スター」に選ばれている。2001年には「世界で最も裕福な俳優」としてギネスブックに認定され、03年にはハリウッドの殿堂「ウォーク・オブ・フェイム」に名前が刻まれている。
気に入った脚本がないと出演せず、山奥でのんびりと過ごすことでも有名で、ワイオミング州に広大な農場を所有。自ら操縦する飛行機やヘリコプターで人命救助を行い「インディ・ジョーンズばりの私生活」と話題になったことも。二度の離婚を経験し、09年女優のキャリスタ・フロックハート(「アリー・マイ・ラブ」)と結婚。82年の『ブレードランナー』で初来日以降、08年の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』まで公式には計9回来日を果たしており、さらにお忍びでも度々日本を訪れていると言われる親日派でもある。
――キャラクターについて
ハリソン・フォード 私が今回演じたマックス・ブローガンは、ICEで働くベテラン捜査官だ。ICEの職務は、移民問題に関わる法執行官ということになる。比較的最近になってアメリカの安全保障のために新たに設置された機関だ。
彼は、ちょっとくたびれた感じの男というのかな。プライベートでは離婚を経験して、さらに一人娘との関係も疎遠になっている。仕事のうえでも、昔気質でルールよりも感情で動いてしまうところがあって、新米刑事や同僚とぶつかる事も多い。自分の周りの人たちと、どうにもうまく馴染めなくなっているんだ。
――移民問題について
ハリソン・フォード アメリカの移民問題に関して、私たちは狭い考え方で捉えがちだ。だが実際は、幾つもの国と様々な人種が絡んだ複雑な問題だと思うよ。
――監督ウェイン・クラマーについて
ハリソン・フォード ウェインは非常に明確な映像プランの持ち主だね。あらかじめ全シーンの絵コンテを用意しているんだ。あそこまで綿密なプランを持った監督には、今まで出会ったことがない。ただそれだけじゃなくて、撮影現場では周囲の意見を聞く余裕をちゃんと持ち合わせている。一緒に仕事をするうえで、本当にありがたい存在だ。
――他作品との比較に関して
ハリソン・フォード 『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』と『インディ・ジョーンズ』シリーズほど、かけ離れた作品はないよ。全く異なるタイプの作品に出演して、自分が演じる役に今までとは違う新たな可能性を得ることができたのは、素晴らしいことだと思う。客層の幅も広がるしね。俳優として様々な役を演じることができることは最大の喜びだし、そんな機会を与えてもらったことに、感謝の気持ちでいっぱいだよ。
キャスト
ハリソン・フォード,レイ・リオッタ,アシュレイ・ジャッド,ジム・スタージェス,クリフ・カーティス,アリシー・ブラガ
アリス・イヴ,ジャスティン・チョン,サマー・ビシル,メロディ・カザエ,ジャクリーン・オブラドーズ,メリック・タドロス
マーシャル・マネッシュ,ニナ・ナエビ,シェリー・マリル,リジー・キャプラン,マハーシャラルハズバズ・アリ
スタッフ
監督/脚本:ウェイン・クラマー 製作:フランク・マーシャル ウェイン・クラマー
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン,ハーヴェイ・ワインスタイン,マイケル・ビューグ 共同製作:グレッグ・テイラー
撮影:ジェームス・ウィテカー 美術:トビー・コーベット 編集:アーサー・コバーン 音楽:マーク・アイシャム
音楽監修:ブライアン・ロス 衣装:クリスティン・M. バーク キャスティング:アン・マカーシー ジェイ・スカリー
提供:博報堂DYメディアパートナーズ、ショウゲート 配給:ショウゲート サウンドトラック:ランブリング・レコーズ
2008年/アメリカ/英語/カラー/スコープサイズ/1時間53分/
SRD・SDDS・DTS/日本語字幕:岡田壯平/原題:Crossing Over/【PG-12】
(c)2008 The Weinstein Company, LLC All Rights Reserved.
http://seiginoyukue.jp/
9月19日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
- 監督:ウェイン・クラマー
- 出演:ポール・ウォーカー,ヴェラ・ファーミガ,キャメロン・ブライト,
チャズ・パルミンテリ,カレル・ローデン - Happinet
- 発売日: 2009-03-27
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主なキャスト / スタッフ
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