インタビュー
『Lily』中島央監督

中島 央( 映画監督 )

映画『Lily』について

公式

2011年4月2日(土)より、
シアターN渋谷にてロードショー

日本人がハリウッドでアメリカ人キャストにて全編英語で撮影された映画『Lily』の存在を知ったのは去年の朝日新聞の記事であった。興味を持ったのでインタビューを行った。(取材:わたなべりんたろう 協力/菱沼康介、小泉宗仁)
中島央 ( 映画監督・プロデューサー・脚本家・株式会社スーパーフィルムメーカー代表取締役 )
東京都生まれ。アメリカ・カリフォルニア州にて映画製作を学ぶ。2003年、サンフランシスコ州立大学映画学科卒業後、脚本家としてキャリアをスタートする。2007年、自身の初監督短編作品『リリィ』(2007年 アメリカ映画 37分)を発表。2008年、同短編を基にして初長編劇場映画『Lily』(2010年 アメリカ映画 89分)の製作に入る。一年間におよぶ再編集のプロセスを経て、2010年5月、同作の最終完全版が完成した。現在は、第二回長編作品のSFラブ・ストーリー『ARCADE DECADE』の製作準備に着手している。公式
『Lily』1<映画『Lily』 作品紹介>
新進気鋭の若手脚本家、ヴィンセント・ナイトは5年前に華々しく脚本家としてデビューを飾って以来、長いスランプ状態に苦しんでいる。映画会社は、そんなヴィンセントに最後通告として、一週間以内に脚本を仕上げる様に命令する。窮地に立たされた彼は、同棲中の長年の恋人との実生活をべースにしたラブ・ストーリーを書き始めるが、すぐにアイデアにつまってしまう。彼はある方法によって物語のアイデアを掴もうとするが、これによってヴィンセントと彼女の関係に予想もしなかった変化が訪れる。すっかり変わってしまったヴィンセントと彼女の関係は、彼の書く物語に影響を与え、二人の実人生と不思議な形で交わり始めるのであった……。 公式
――映画に出てくる場所の雰囲気は実際にあるのですか?

中島 架空の街なんです。ですがもっと言えば東京的な世界観ともいえます。やはり日本人としての感覚をアメリカ映画で表現することが、僕のスタイルともいえます。アメリカ人からすれば奇妙な感じもあると思いますが、アメリカの映画祭などで多く映画を見ますと、善かれ悪しかれ自分の世界観と違います。よほど自分の世界観をはっきりと持ってないと闘えないなと思います。学生時代にニュージーランドへ行ったときも、留学がまだあまり浸透してないときでしたので、周りは島流しにあったように思われました。しかし、映画にニュージーランドの土地的な感覚はあまりありません。もっというとLA的でもありません。まずLAには歩いている人というのは実は少ないのです。皆、車ですからね。逆に僕は東京生まれなので、自然と東京的な都会の雰囲気を出したいというのはありました。

――アジア人を出さないのは?

『Lily』2中島 『Lily』に関していいますと、本当にただただ英語でアメリカ人の出ている映画を作りたいということなんです。アメリカ映画が好きですし、単純に自分の夢に固執したということです。一本撮った今となっては、もちろん日本で映画を製作するという事も含めてもっと色々なことがやりたいというのはあります。でも『Lily』を作り始める以前は、アメリカでの最初のミーティングで聞かれたことは「なんで英語で映画作るのか?」でした。「日本語でやればいいではないのか?」ということです。ですが、僕はアメリカ映画を圧倒的に観て育ってきました。夢なので作りたいのですといっても説得になりませんし、『Lily』の基になった短編映画でアメリカで賞貰ってますといっても、「それは短編ではないか。長編作った事ないんだろう?無理無理」と言われてしまうんです。まずは何が何でも。一本長編を作るのだという強い意志からスタートしています。この為には命だって惜しくないというような事をいかに伝えるかが大事なんです。

――自分の存在証明という面があるのですね。

中島 そうです。何度何度も根気よく同じ様なことを言ううちにあちらも重い腰を徐々に上げだしました。とにかく一本撮るというのがあって、一本撮れば、既に英語で映画を撮っていますよという説得ができますから。

――『Lily』は全体的にハンドカメラで動きのある映像ですよね。

中島 はい、あえて荒っぽい映像を目指しました。それは新人の役者の演技をよりよく見せるという意味もありますが、やはり生のリアルな物語ですから。その世界観を出すためにはハンドカメラが一番適しているように思いました。

――映画には自分の脚本家でスタートしたキャリアの体験が反映されていますか?

『Lily』3中島 ええ、ヴィンセントの物語には僕の経験したことも入っています。ああいう野心がありますし、そのことは電子出版の自伝にも書きました。ただ、僕も本当はのんびりした生活も望んでいて、彼女とスーパーに行ってさんまを買いたい面もあるんです。。そういうのいいじゃないですか(笑)。

――ハリウッドでの映画製作とはどういうものですか?

中島 ハリウッドの映画製作というのは非常に大変です。決まりきったロケ地が突如使えなくなる事もしばしばでし、トラブルもつきものです。波乱がつきものとも言えることで、それにいかに対応していくかということです。大変ですが、楽しみでもあるわけです。また。あちらはオーディションシステムがきちんとしています。僕がこういう人を集めてくれと要望を出すと、すぐに数名ピックアップしてくれる。身長、年齢などを打ち込むと、役者の登録されている情報が出てくるようなネットシステムがあるんです。次回作」『ARCADE DECADE』も準備しています。何があろうと映画は作り続けていきます。

( 取材:わたなべりんたろう 協力/菱沼康介、小泉宗仁 )

Lily 2010年/アメリカ/カラー/89分/
監督・脚本・製作:中島央
撮影:豊田実 編集:水谷明希 美術:メリッサ・ユウ 音楽:坪口昌恭 衣装デザイン:ケリー・コドウスキー
製作:スーパーフィルムメーカー・インク
出演:ジョシュ・ロング,レベッカ・ジェンセン,ジョン・ボーレン,ルアナ・パラーモ,キャリー・ラトルッジ
公式

2011年4月2日(土)より、シアターN渋谷にてロードショー

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  • 監督:ニック・カサヴェテス
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  • おすすめ度:おすすめ度5.0
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2011/04/02/16:10 | トラックバック (0)
わたなべりんたろう ,インタビュー
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