戸田 幸宏 (監督)
小泉 麻耶 (グラビアアイドル、女優)
映画「暗闇から手をのばせ」について
全国順次公開中
「暗闇から手をのばせ」は力作である。今作は主演の小泉麻耶さんのブログを見て知った。友人の山本俊輔監督がやっているワークショップをこちらが見学に行ったり手伝いに行くことがあり、そこに小泉さんも参加していたことでブログを見るようになった。そして今作が小泉さんの渾身の作品であることも知った。先に試写を観た山本監督から戸田監督がこの題材でどうしても撮りたくて作った作品であることも知り、その二人の思いを知りたくてインタビューをおこなった。なお、取材後にあった「ゆうばり映画祭」で今作はグランプリを受賞した。
(取材:わたなべりんたろう)
小泉麻耶 1988年東京都生まれ。グラビアアイドル、女優。2009年、日テレジェニック2009に選ばれる。映画の出演歴は、『エレクトロニックガール』(09)の主演のほか、『特命女子アナ 並野容子』(09)、『Re:Play-Girls』(10)、『TENBATHU』(10)など。近作では、 『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(12)の婦人警官役として出演。その他の活動としては、日本テレビのバラエティ番組を中心とした番組出演や、写真集、DVD、ラジオ番組、雑誌、舞台など幅広い。
STORY 沙織は障害者専門のデリヘル嬢。軽い動機でこの業界に飛び込んだ彼女は出勤初日からショックを受ける。全身タトゥーの入った進行性筋ジストロフィー患者、自らの障害をネタに本番を要求する常連客、そしてバイク事故で自由を奪われ、殻に閉じこもる少年などと出会う。しかし「それでも生きていく」ことを選んだ彼らに接するうち沙織は何かを感じある行動を取ることになる……。
戸田幸宏監督――難しい題材を扱った意欲的な力作でした。今作をテーマにした理由は何だったのでしょうか? 話題になった「セックスボランティア」(河合香織 <著>)の本はこちらも知っていましたが難しいテーマです。
戸田 障害者専門の派遣型風俗店の経営者に取材したドキュメンタリー番組を企画しましたが実現しなかったため、劇映画として自己資金で製作・監督しました。「セックスボランティア」はもちろん読みました。障害者でもない、風俗の仕事をしたこともない自分がこの内容を描いていいのか、不安や迷いはありました。それでも世に出さなければいけないし多くの人が知るべき内容ではないかと調べていくうちにより強く思い、作ることにしたんです。
――小泉さんを主演に抜擢した経緯はどのようなものだったんでしょうか?
戸田 沙織はとても難しい役だからキャスティングは難航しました。そんな時、小泉さんを雑誌で知る機会があり、ちょうど事務所を移籍されたときで連絡先がわからずブログのコメント欄を通して出演を依頼したんです。
小泉 ブログを通して出演依頼が来たのでとても驚きました(笑)。会って話しを聞き、脚本を読んだら真摯な作品でしたし、大変な役でしたが沙織を演じたいと思ったんです
戸田 演じてもらうなら前向きな方に演じてほしかったので小泉さんの前向きな熱意はぴったりだと思いました。
――小泉さんは山本俊輔監督のワークショップでこちらは知りました。そのワークショップでゲストの方が来たときに「何でおまえは俳優をやりたいんだ?」と、ある意味、圧迫面接のように参加者に質問を投げかけた時があったのですが小泉さんはその時に「グラビアタレントから女優に移行することがどれほど大変か」を涙ながらに語っていたのが印象的でした。
小泉 あの時にいらしたんですね..あの時は本当に迷っていて自分は女優としてやっていきたいのにどうしてもグラビアタレント的な可愛らしい役だったり、水着や下着などのお色気シーンがあるような役ばかりだったんです。そのような役をいただけることもありがたかったんですが、どうしてももっとやりがいのある役を演じたかったんです。だから沙織役の依頼が来たときは嬉しかったです。難しい役ですが主役ですしチャレンジだと思いました。
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