新作情報

第57回 テッサロニキ国際映画祭 最優秀監督賞/最優秀主演女優賞
第33回 LAアジア太平洋映画祭
最優秀作品賞/最優秀脚本賞/最優秀主演男優賞/ベストヤングタレント賞

種をまく人

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2019年11月30日(土)より池袋シネマ・ロサにて感動のロードショー

INTRODUCTION

知恵十歳 少女が犯した罪と罰

3年ぶりに病院から戻った高梨光雄(岸建太朗)は、弟・裕太(足立智充)の家を訪れる。 再会を喜ぶ姪の知恵(竹中涼乃)、その妹でダウン症の一希に迎えられ束の間の幸せを味わう光雄。 その夜、知恵にせがまれた光雄は被災地で見たひまわりについて語る。 知恵はその美しい景色を思い浮かべながら、太陽に向かって咲くひまわりと、時折ふと空を見ている愛しい一希の姿とを重ね会わせるのだった。
明くる日、知恵は光雄と遊園地に行きたい嘆願する。裕太と妻・葉子(中島亜梨沙)はそれを快く受け入れ、娘たちを光雄に預けるが……幸福な時間も束の間、遊園地で突然の不幸が訪れる。

『種をまく人』画像 竹内洋介監督初長編映画 『種をまく人』は、第57回テッサロニキ国際映画祭で日本人では史上3人目の最優秀監督賞、さらに撮影当時11歳だった竹中涼乃が史上最年少で最優秀主演女優賞を受賞した。その後様々な国際映画祭で評価されロサンゼルス・アジアン・パシフィック映画祭ではグランプリ・最優秀脚本賞・最優秀主演男優賞(岸建太朗)・ヤングタレント賞(竹中涼乃)の4冠を獲得した。

オランダの画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの人生と、東日本大震災の翌年に生まれたダウン症の少女との関わりによって生まれた本作は、観る者の心を揺さぶり、人間の心に潜む闇を残酷なまでに抉り出す。 そして 障害者を抱える家族の苦悩と葛藤を通して、個性とは何か、生きるとは何かといった全ての人間が抱える問題を、一人の寡黙な少女が犯した罪とそれを取り巻く大人たちの姿から追い求めていく。

主演の光雄を演じるのは、映画監督(「未来の記録」ほか)でもある俳優の岸建太朗。今回、竹内監督の立っての希望で、撮影と主演を兼任して欲しいという要請のもと、前代未聞の挑戦を受け入れた。一年に及ぶ役作りと研鑽の末、不可能ともいえるその偉業を成し遂げた。昨今では、映画やドラマ、CM、PVの撮影監督としても広く活躍の場を広げている。
主人公の少女・知恵を演じるのは、本作が映画初主演の竹中涼乃。その迫真の演技は世界中から賞賛され、ギリシャやアメリカで主演女優賞を獲得した他、世界中の観客の心を鷲掴みにした。そして父・裕太を演じるのは、劇作家岡田利規が率いる「チェルフィッチュ」などの演劇公演で世界的に活動する実力派俳優・足立智充。昨今ではドラマや映画、CMなどにも多数出演している。本作でも自然体で揺るぎない演技力を見せ、映画の登場人物の核をなしている。
母・葉子役には、映画やドラマ、CMなどでも幅広く活躍する元宝塚歌劇団の中島亜梨沙。美しさの中にも強さを感じる彼女の人間性は、本作の難役に深みを与えている。
他にも映画「僕の帰る場所」で主人公を演じ世界中の観客を魅了したカウン・ミャッ・トゥ、映画「Noise」での演技が話題となった鈴木宏侑、そして葉子の母を演じた早稲田小劇場出身の実力派女優・杉浦千鶴子、現在テレビで活躍中のマルチ女優・原扶貴子など、本格派俳優たちが脇を固め、映画に重厚感を与えている。

『種をまく人』場面画像1 本作の主人公・光雄は悲しみの最中、ひたすらひまわりの種を植え続ける。 やがてその行為に没頭するうちに、主人公はその意味すらも忘れてしまう。 そこにはもう、 悲しみも喜びも存在しない。 あるのはただ、 種を植えるという行為、 その種がのちに花開くという自然本来の営みと、その事実のみになる。
時の流れは人の感情を変える。 重くのしかかる日常の時間から一歩踏み出した時、 そこに在る時間に救われることがある。 絶望の中にある少女・知恵と父・裕太が最後にたどり着いた結論の先に、かすかな光が垣間見れる。
日本映画史に残る最も美しいラストシーンと呼ばれたエンディングは、きっと多くの人々の心を魅了することだろう。

2019年11月30日(土)より池袋シネマ・ロサにて感動のロードショー

REVIEW

不況になると邦画が輝くという映画業界のジンクス

昨年から今年に渡って、家族をテーマにした邦画作品が好調だ。
昨年6月に公開され、パルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」は記憶に新しい。
それに加えて、千原ジュニア・平尾菜々花主演の「ごっこ」は、川谷絵音が率いるindigo la Endがサウンドトラックを書き下ろしたこともあり、公開から一年を過ぎた今でも注目を集めている。
さて、本年はどうか。日本の映画業界では、不況になると世界で評価される邦画作品が出てくるというジンクスがある。そして、期待を裏切らず登場してきたのが、今回紹介する「種をまく人」だ。

第57回テッサロニキ国際映画祭 日本人W受賞 最年少主演女優賞の偉業 世界が驚いたネクスト万引き家族「種をまく人」

『種をまく人』場面画像2 本年の最終コーナーを回って出てきた本作は、邦画の超新星と言っても過言ではないだろう。
鬼才 竹内洋介監督が放つ本作「種をまく人」は、世界の映画人が注目する第57回テッサロニキ国際映画祭で最優秀監督賞・最優秀主演女優賞のW受賞。
主演女優の竹中涼乃は11歳での最優秀主演女優賞受賞となり、歴代最年少というから驚きだ。
本作の見所について触れる前に、ストーリーの概略について触れておこう。
本作は、主演女優の知恵(竹中涼乃)と叔父の高梨光雄(岸建太朗)を軸に動いていく。
3年ぶりに病院から戻った高梨光雄は、弟・裕太(足立智充)の家を訪れる。
再会を喜ぶ姪の知恵(竹中涼乃)、その妹でダウン症の一希に迎えられ束の間の幸せを味わう光雄。 翌日、知恵は光雄と遊園地に行きたいとせがむ。
裕太と妻・葉子はそれを快く受け入れ、娘たちを光雄に預けるが……幸福な時間も束の間、遊園地で突然の不幸が訪れる。
その後、家族は徐々に迷走を始め、狂気すら感じる激しいぶつかり合いを見せる……
これ以上の紹介は避けるが、家族ならではの暖かさ、愛憎劇の描写が、パルムドールを受賞した「万引き家族」を超えたという声も増えている。

社会での試練 女性の育児負担 安心できない家庭
その先に待っている幸福なシーン

『種をまく人』場面画像3本作の冒頭は、快いほど暖かいシーンが続く。兄との再会を喜ぶ弟。叔父との交流を深める姪。
一昔前では当たり前に見られた風景だが、令和のこの時代では、貴重な存在になったともいえる。
それだけに、不慮の事故によって、家族が衝突を始めるシーンは、一瞬一瞬が胸に刺さるようで辛い。
特に、母親の高梨葉子(中島亜梨沙)が我が子を守ろうとするあまり、狂気に満ちていく様は圧巻だ。
また、不慮の事故によって、家族の暖かさに癒されていた光雄が追い込まれていく様も、徹底した役作りがなされていることがわかる。一瞬一瞬の演技が、網膜の底に刺さるようだ。
さすがに世界が驚愕した作品だけあって、演技には容赦がない。
加えて驚かされるのは、スピード感あふれるドラマの中で、今の日本が抱えている社会での居場所のなさや、女性だけに負担がかかる家庭、育児への不安といった問題を見事に投影していることだ。
もちろん、ただ単にすさんだシーンが続くだけではない。ラストには、鑑賞者が予想できなかった幸福なシーンが待っている。
そのシーンは劇場で目にしていただきたい。試練の最中にある方や、家族や仕事の問題で悩んでいるあらゆる世代の方が共感できるはずだ。

出典:連載jp
Text by 松沢直樹 公式twitter

CREDIT
出演:岸建太朗,足立智充,中島亜梨沙,竹中涼乃,杉浦千鶴子,岸カヲル,鈴木宏侑,竹内一花,
原扶貴子,植吉,ささき三枝,高谷基史,カウンミャットゥ,
篠原哲雄,植田裕一,酒井麻吏,小林大介,川島俊一,高木公佑,吉野愛生子
監督・脚本・編集:竹内洋介
撮影監督:岸建太朗 撮影・照明:末松祐紀 録音:落合諒磨,南川淳 キャスティング:森ゆかり
制作担当・助監督:島田雄史 ヘアメイク:山崎照代,渡辺章子,高橋亜友美,河村夏海,宮本圭歌
スーパーバイザー:山田達也 制作管理:川島真奈美 撮影助手:高嶋正人 フィルム撮影助手:芳賀俊
ケイタリング:竹内幸男,竹内洋子,赤星孜,赤星三枝子,島田真美 整音:落合諒磨
カラーグレーディング:星子駿光 予告編英語字幕:松井季里子 日本語字幕:久木元真奈
本編英語字幕:山口彩花 題字:金澤翔子
ロケーションコーディネイト:埼玉県所沢市,本橋啓司,水原史貴,加藤新一
制作プロダクション:K-Zone 宣伝プロデューサー:細谷隆広
© YosukeTakeuchi

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2019年11月30日(土)より池袋シネマ・ロサにて感動のロードショー

2019/11/12/19:48 | トラックバック (0)
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