娘を殺された父親の怒りと葛藤を描いた東野圭吾の同名ベストセラー小説が、復讐劇や刑事映画に定評のある韓国で映画化された。出演は、娘の仇討ちを始める復讐者に『殺人の告白』などで知られるチョン・ジェヨン、少年法の矛盾に疑問を抱きながら彼を追う刑事に『凍える牙』のイ・ソンミン。日本版とは異なる形でスクリーンに甦った本作『さまよう刃』の一般試写会に5組10名様をご招待します。
◆会場:なかのZERO小ホール (東京都中野区中野2-9-7)
◆『さまよう刃試写』(メールでご応募の場合は件名)と、「お名前・ご住所・電話番号 ・年齢」を明記の上、こちらのアドレスか、メールフォームからご応募下さい。
◆応募締め切り:2014年8月25日(月)応募受付分※応募者多数の場合は抽選となります。
◆公式サイト:http://samayouyaiba.net/
註)ご提供いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的では一切使用いたしません。また、個人情報そのものも招待状発送後一週間で破棄します。当選者の発表は、招待状の発送をもってかえさせていただきます。なお、当選に関するお問合せへの回答はいたしかねます。予めご了承下さい。
男は許せなかった。非道な少年たちを。
男は許せなかった。娘を守れなかった自分自身を。
そして、男は復讐者となった。
さまよう刃
http://samayouyaiba.net/
2014年9月6日(土)より角川シネマ新宿、
ヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショー
最愛の娘を殺した少年に自らの手で裁きを下そうとする父親、
それを阻止しなければならない警察官。
父親の復讐は“正義”か“悪”か?そして、待ち受ける衝撃的な結末とは?
町内の廃墟と化した銭湯で、冷たくなった死体で発見された女子中学生スジン。父親のサンヒョンは妻を亡くしてから男手ひとつでスジンを育ててきた。一人娘の死を目の前に、喪失感でただただ茫然とする。そんなある日、サンヒョンに犯人の情報が書かれた匿名のメールが届く。そこに書かれている住所を訪ねると、少年たちに暴行され死にゆく娘スジンの動画を見て笑うチョルヨンを目撃する。一瞬、理性を失い誘発的にチョルヨンを殺してしまうサンヒョンは、また別の共犯者の存在を知り犯人を捜そうとする。一方、スジンの殺人事件の担当刑事オッグァンはチョルヨンの殺害現場を見てサンヒョンが犯人だと見抜き、追跡し始めるのだった。正義とは何か?誰が犯人を裁くのか?世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える――。
『悪魔を見た』を超える魂の復讐劇!
今も後を絶たない、残虐非道な殺人事件。手前勝手な欲望のためだけに、罪もない非力な人間たちが次々に人生の夢を打ち砕かれていく。残された家族は、ただ哀しみと怒りに打ち震えるだけなのか。何もできない無力な自身に身もだえするだけなのか。
『悪魔を見た』(10)、『アウトロー 哀しき復讐』(10)、『母なる復讐』(12)等々、近年の韓国映画界では愛する者を奪われた人間のやり場のない怒りを描いた作品が大きく話題を集めている。往々にして復讐の炎に身を焦がす主人公が据えられたそれらには、どうにも承伏できない犯罪に対する社会の疑問と怒りが投影されているのだろう。エスカレートの一途をたどるヴァイオレンス描写も決してそれと無縁ではない。
日本で150万部を超えるベストセラーとなった東野圭吾の同名小説を映画化した映画『さまよう刃』は、果たしてその系譜に連なる亜流作品に一見映りながら、実は現代の歪みと被害者家族の心の深部を改めて鋭く、鮮やかに世に問うた力作である。
ここに登場するのは何でもない、ひとりの父親である。妻をガンで失った後、娘とのささやかな日常を穏やかに過ごしてきただけのごく普通の人間だった。その彼から、ある日、愛する存在は容赦なく奪われる。人心を理解しない狂犬のような少年たちによって。唯一の生き甲斐を失った男は、やがて娘を陵辱した犯人への報復を始める。父親らしいことができずに、守ってやれることができずに死なせてしまった娘に償いを求めるように。
娘を失った父親の復讐劇という東野文学のストーリーラインを受け継ぎながら、新たに韓国を舞台に置き換えた本作品は、まず主人公となる父親とその娘の日常を観客に提示する。ふたりがどんな生活を送っているのか、どれだけありふれた一家庭の代表なのか。残業で帰宅が遅れる父、愚痴をこぼす娘。お人好しゆえに上司に文句のひとつもこぼせない父、友人との他愛のない会話で笑顔をこぼす娘。ただでさえ復讐の道に進む父親に同情を禁じ得なくさせる原作に輪をかけて、この映画の製作者と出演者は、わずかな、しかし確かな描写の積み重ねで、この父娘の離別の悲哀、娘を失った男の苦悶を見事に得心させる。娘が朝食もとらずに登校した朝、なぜもうひと言、声がかけられなかったのか。雨が降る夜、帰宅途中の娘をなぜ迎えに行ってやれなかったのか。そんな悔恨の情がすべて、その後の復讐劇の理由となり原動力に発展する。その布石の周到さ。その繊細な眼差し。
父親を追っているばかりではない。被害者の父親から一転、復讐の人として加害者に立場を変えていく主人公を追う刑事を並行して掘り下げることも、この映画は忘れていない。少年犯罪者への重い詰問で署内から問題視されている彼は、それほどに正義感の強い実直なベテラン刑事であり、父親に同情するがゆえに、復讐を止めようと奔走する。その骨太なキャラクターはまさに作品のもうひとつの顔であり、そこから放たれる情熱がドラマにいよいよ厚みを加えているといっていい。また、鬼畜のような所業を犯す高校生たちの、あまりに自然体のたたずまいには、胸焼けを誘うほどの生々しい現実感が立ち上る。
映画『さまよう刃』は心を激しく突き動かされる復讐劇であり、追いつ追われつのスリルをたたえた刑事ドラマであり、そして現代の歪みをすくい取った堅牢な人間ドラマである。謎解きもサスペンスもない。あるのは、むき出しの魂の叫びである。迂闊に涙することさえ許されない厳しい決断のクライマックスと、かなわなかった雨の日の再会を父と娘が実現させるラストの途方もない優しさと温もりに、あなたはもはや声を失うことだろう。
娘の仇討ちを始める哀しき復讐者サンヒョンを演じるのは、チョン・ジェヨン。『シルミド SILMIDO』(03)、『トンマッコルへようこそ』(05)、『黒く濁る村』(10)などで知られる韓国映画界きっての演技派俳優である。彼を追う刑事オッグァンには、これまた喜劇からシリアスなドラマまで幅広い役をものにし、最近では『凍える牙』(12)での好演が印象深い韓国の名優イ・ソンミン。若手刑事ヒョンスにはドラマ『あなただけよ』(11)が日本でも人気のソ・ジュニョン。サンヒョンに追い詰められる少年犯チョ・ドゥシクには“韓国の柳楽優弥”との異名を取る若手の注目株イ・ジュスン。そして、サンヒョンの中学生の娘スジンを子役出身の若手女優イ・スビンが演じている。
東野圭吾の原作を実に7年という歳月をかけて見事映像化した監督には、デビュー作『ベストセラー』(10)に続いて、これが長編第2作となるイ・ジョンホ。実に50回もの脚本の改稿を重ねたという背景には、東野文学への並ならぬ愛が垣間見える。現行少年法の是非に無理に拘泥せず、どこの世界にもある親子の普遍的な情愛を掘り下げることで、原作、及び復讐に進む主人公を感情面で見事に撃ち抜いたその手腕は大きく評価していい。
原作:「さまよう刃」東野圭吾(朝日新聞出版)
監督・脚本:イ・ジョンホ 撮影:キム・テギョン 音楽:キム・ホンジプ 編集:ナム・ナヨン
出演:チョン・ジェヨン、イ・ソンミン、ソ・ジュニョン、イ・ジュスン、イ・スビン
2014年/韓国/韓国語/122分/原題:???? ??/配給:CJ Entertainment Japan
©CJ Entertainment Japan
http://samayouyaiba.net/
2014年9月6日(土)より角川シネマ新宿、
ヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショー
- 映画原作
- (著):東野圭吾
- 発売日:2008/5/24
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- 監督:チョン・ビョンギル
- 出演:パク・シフ, チョン・ジェヨン, キム・ヨンエ, チョ・ウンジ
- 発売日:2013/12/04
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