――巧はスポーツマンという設定で、そこも入江さんと共通するところだと思いますが、スポーツのシーンで印象に残っていることはありますか？

入江　バスケだったらよかったなって思ったんですけど、サッカーだったんですよね……。僕はサッカーの経験もあるんですけど、サッカーは挫折したんですよ（苦笑）。でもまあ、撮影中は楽しかったです。サッカーのシーンも、あとボクシングのシーンも。

――ランニングのシーンも多かったですよね。夜に一人で走り込むとか。

入江　僕もそうなんですけど、落ち込んでいるときとか悩んでいるときに体を動かすとスッキリするんですよ。だから巧も走ることで心の中のモヤモヤを晴らそうとしていたんじゃないかなと思いますね。

――映像的にもきれいなシーンが多くて安らぎました。「流れ星」が重要なモチーフになっているのでプラネタリウムのシーンもありましたし、撮影地にも武蔵野市や三鷹市という東京でも自然の多いところが使われていますよね。演じていても気持ちよかったのではないかと思いますが、ロケに関する思い出などはありますか？

入江　高校時代のシーンを三鷹の聖徳学園っていうところで撮影していたんですよ。で、僕と奨之が真夜中に文化祭の準備をしているというシーンを撮っている日が、ちょうど流れ星が流れるっていう日、流星群の日だったんです。校庭に見に行ったら本当に流れ星が3個ぐらい、キラキラキラ……と流れていって。

――えーっ！　すごいですね。

入江　「これはなんかあるな」って思いましたね（笑）。そういうシーンの撮影の日がたまたま流星群の日で、しかも曇っていたら見えないわけだし。この映画の現場中に流れ星が見れたっていうのは、何かあるんじゃないかなと思いました。

――それは見守られていますね。今回の現場はとても面白い経験になったようですが、入江さんにとって、役者の仕事のいちばんの魅力はどんなところにあるのでしょうか？

入江　役者の仕事って、すごく漠然としているじゃないですか？　現場で演じているときはまだ作品が完成していないわけで、でも演じている最中も楽しいわけで。作品を観ても楽しいなと思うし、感想を聞いても楽しいなと思うし。だから常に楽しいです。……いや、分からないですね。全部楽しいし、全部つらいとも思うし。おじいちゃんまでやれていればいいなと思います。

――やっていてつらいこともあるんですか？

入江　うーん、でも、そんなにないかな（笑）。肉体的なつらいことはありますよ。役作りなどで努力しなきゃいけないことがたくさんあるし、現場中は寝る時間もあんまりないし。でもそんなのはつらいうちに入らないかな、楽しいことに比べたら。國村隼さんが、妻夫木聡さんと出ているビールのCMで言っていたんですよ。「演じているときのほうが生きがいを感じる」って。リアルを感じるっておっしゃっていたんです。で、僕も「役者の何が楽しいんだろうな？」って考えていたんですけど、それだなと思いました。

――いろいろな役を演じることに、自分の人生以上の楽しさがあると？

入江　そうですね、そこにやりがいを求めています。それがあるから続けていきたいなと思っています。