片山 享 (監督) 映画『轟音』について【4/4】
2020年2月15日(土)より池袋シネマロサにて単独公開ほか順次全国公開
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――他の作品は『轟音』とはタイプが違うようなものが多いんでしょうか?
片山 テーマは基本的に「生きていればなんとかなる」「幸せって何なのか?」「家族・血って何なのか?」ということが多いです。
――恋愛もちゃんと描かれている気がします。
片山 そうですか? 僕はひろみと健太郎との「遠い」というやりとりが結構好きですね。あそこはよく「どうしてこんな女性の台詞が書けるの?」と言われるんですが、あれは僕が実際に言われた言葉なんです。僕はあんなイケメンの対応ができないから椅子をガッと寄せて物理的に動いたんですよ。そうしたら「そうじゃないから」と言われて「えっ、どういうことなの?」と。でも多分こういうことだったんだなあと今になってわかるというか。女性って反応にロマンスを感じるというようなところがあるじゃないですか。僕はいちばんロマンスのないやり方で反応してしまったんですけど(苦笑)。でも言葉とまったく違うことを伝えようとする人の話が好きで、恋愛って往々にしてそういうことをしますよね。直接的に「好きだ」と言わずに別の言葉でほのめかすという。女性がそこに反応するのが面白いです。
――女性の気持ちがうまく描けているなという気がしました。この映画では、男性の登場人物にはドロップアウトしたような人が多く、女性は仕事を持って自立しているんですが、その仕事が男性の仕事より価値の低いもののように見られて、「いい加減やめて親の世話をしろ」と言われたりするんですよね。女性差別が根強い社会の実態が写っているなと。
片山 いまだにあんなもんですよね。父が団塊ど真ん中なんですけど、別に偉そうな態度をとっているわけではないんですが、何の疑問もなく母に一方的にやらせることが多くて。母は最近ようやく反撃し始めて「やらない」とか言うようになりましたが、こういうのはおかしいなと思うところは多いです。どこかで植え付けられてしまっているんだと思いますが、教育って怖いなあと思います。
――監督の目線からのいろいろな問題が含まれていますね。
片山 そうですね。答えはあんまりないんですけどね。
――多くの人に観てほしい作品になりました。これからの活動にも期待しています。今後は俳優と監督のどちらに重きを置くおつもりですか?
片山 どちらかにというのはないです。両方やりたいことなので。
――自分の監督作品にも出演し続けるのでしょうか?
片山 いえ、もともと監督を始めたときは、自分が書いた世界に自分がいたいなというのがあったんですが、最近はそんなに執着していないです。僕は人が撮れればいいんです。ちゃんと人が撮りたい。そして、映画の中でがんばって生きている人を見て「こんな自分でもいいんだな」とか、何かにつながればいいなあと。小さい希望がそこにはあって、そういうものが撮り続けていけたら幸せだと思います。
( 2020年1月28日 池袋で 取材:深谷直子 )
舞台挨拶情報@池袋シネマ・ロサ 公式サイト
■2/15(土) 初日舞台挨拶
登壇者(予定):安楽涼、太田美恵、大宮将司、岸茉莉、中山卓也、松林慎司、柳谷一成、片山享監督
■2/16(日)
登壇者(予定):安楽涼、太田美恵、大宮将司、岸茉莉、松林慎司、片山享監督
■2/17(月) 片山監督の役者の原点を知るボブ鈴木さんによる片山解析
登壇者(予定):ボブ鈴木(俳優)、片山享監督
出演:安楽涼,太田美恵,大宮将司,岸茉莉,中山卓也,柳谷一成,松林慎司,片山享,宮田和夫 他
プロデューサー:夏井祐矢・宮田耕輔 撮影/照明:深谷祐次 録音:マツバラカオリ
特殊メイク:北風敬子 サウンドディレクター:三井慎介 カラリスト:安楽涼
監督・脚本・編集:片山享
© Ryo Katayama Film
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