およそ百年間、荒廃した山々を奇跡的に緑化させた二人の男がいた。浅川巧とイ・チョンリム。 自然を師とし、人間を隔てなく愛した二人の熱い友情が、苦難の道のりを乗り越える。 しかし、時代の悲しみは二人の絆を無惨にも引き裂いていく……『膳 ZEN』の高橋伴明監督が迷走の2012年におくる信念の道。観た人の心を涙で洗う、史実から生まれた感動のヒューマン・ストーリー。『道～白磁の人～』一般試写会に10組20名様をご招待します。

◆日時：5月10日(木) 18:00開場、18:30開映
◆会場：よみうりホール
(千代田区有楽町1-11-1 読売会館7Ｆ)
◆『道～白磁の人～試写』(メールでご応募の場合は件名)と、「お名前・ご住所・電話番号 ・年齢」を明記の上、こちらのアドレスか、メールフォームからご応募下さい。
◆応募締め切り：2012年5月1日(火)応募受付分※応募者多数の場合は抽選となります。
◆公式サイト：http://hakujinohito.com/
註)ご提供いただいた個人情報は、本プレゼント以外の目的では一切使用いたしません。また、個人情報そのものも招待状発送後一週間で破棄します。当選者の発表は、招待状の発送をもってかえさせていただきます。なお、当選に関するお問合せへの回答はいたしかねます。予めご了承下さい。

明日、世界が滅びるとしても、今日、あなたは木を植える――。

1914年5月、23歳の浅川巧は、朝鮮の山を緑に戻すという使命感を抱いて、京城府（現ソウル特別市）にやって来た。すでに兄の伯教（のりたか）が母や妻子とともに京城に暮らしていた。朝鮮の美術工芸に魅せられている伯教が収集していた李朝白磁に、巧は強く惹かれる。二束三文というが、その温かみのある純粋な美しさを「まるで目から入る音楽だ」と巧は表現するのだった。
朝鮮林業試験場で養苗を担当することになった巧は、同僚のチョンリム（青林）から朝鮮語を習い始め、次第に不自由なく会話できるようになる。同時に養苗の研究にも没頭。その一方で、日本人がいかに朝鮮の地で横暴に振る舞い、山林を乱伐し、朝鮮人を足蹴にしてきたかを、日々、目の当たりにしていく。母も上司の町田も朝鮮人蔑視の言葉を平然と口にすることに巧は憤った。
チョンリムとの友情は日ごとに深まり、また伯教に紹介された美術評論家の柳宗悦とも白磁を愛する気持ちを分かち合うことで意気投合。1916年には農林学校時代の親友の妹みつえと結婚と、巧は公私ともに充実した生活を送っていた。だが、1919年、独立を目指す朝鮮人による大規模なデモが各地で同時発生し、日本兵の発砲によって多数の犠牲者が出る。この「三・一独立運動」に衝撃を受けた巧は、白い朝鮮服パヂ・チョゴリを着るようになる。そんな巧に、日頃は穏やかなチョンリムが激高する。「自分だけが朝鮮人の味方のつもりですか？　そんな服を着ても朝鮮人にはなれません！」。妻の兄でもあった盟友チョンスを「三・一独立運動」で失ったチョンリムは、深く傷ついていた。
結婚して5年、娘の園絵が4歳のとき、妻みつえが亡くなる。葬儀後に朝鮮に戻った巧は、ふとしたきっかけでチョウセンゴヨウマツの種子を発芽させる方法を思いつく。露天埋蔵法、すなわち余計な手は加えずに土に種を埋める方法だ。その成功に、巧とチョンリムは手をとりあって喜ぶ。みつえが亡くなってから5年後、巧は咲と再婚。野菜売りのおばさんから言い値より高く野菜を買う巧に半ばあきれながらも、その優しさを温かく見守る、肝の据わった女性だ。
柳宗悦が提唱して浅川兄弟が設立に協力した朝鮮民族美術館の開館を迎えた日。独立運動に身を投じた少年インファが美術館に爆弾を投げ入れようとしたとき、父親のチョンリムが制止する。インファは逃れ、チョンリムは投獄される。巧は、心を閉ざそうとするチョンリムに「それでも僕は木を植える。どんなに長い時間がかかろうと、どんなに世の中が憎しみあっても、それでも僕は木を植えるよ」と告げるのだった。
　種子採集のために各地の山を一緒に巡り、露天埋蔵法の成功を喜びあい、互いの子供の成長を見守りあってきた、今では無二の親友になっていた巧とチョンリム。だが、2人の間を、牢獄が、民族の違いが、引き裂いた。彼らの友情はこのまま隔たっていく運命なのだろうか。雨に打たれて肺炎にかかった巧は、病をおして再びチョンリムの面会に赴くが、別離の日はすぐそこまで来ていた──。