インタビュー
アランクリター・シュリーワースタウ監督/『ブルカの中の口紅』

アランクリター・シュリーワースタウ (監督)
映画『ブルカの中の口紅』について【1/4】

東京国際映画祭公式ページ

第29回東京国際映画祭「アジアの未来」部門上映
/国際交流基金アジアセンター特別賞受賞作品

第29回東京国際映画祭の<アジアの未来>部門で上映され、国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞したインド映画『ブルカの中の口紅』。審査員のコメントは、「コメディと厳粛なドラマ、夢と現実、真実と挑戦、これらの要素が大胆に融合されているこの映画の二重化されたスタイルは、4人の登場人物の女性たちが強いられている二重生活を見事に写しとっている。この映画を見ながら私たちは、痛みを愉しみ、喜びを苦しむことを求められるのである」というもので、本作の特色を見事に表現している。そんな評価を受けるとはまだ知らなかった監督に、10月30日、2回目の上映時にインタビューした。 (取材:松岡 環【アジア映画研究者】)
STORY ブルカを被った女子大学生はポップシンガーになる夢を抱いて葛藤している。若い美容師の女性はふたりの男と付き合いながら、小さな町の閉塞空間から脱出したいと思っている。3人の子持ちの主婦はセールスウーマンとしてもうひとつの人生を送っている。55歳の未亡人は電話によるロマンスで性的欲望がよみがえる……。
アランクリター・シュリーワースタウ監督1

まず、1979年8月21日生まれで、現在37歳である監督の経歴から。
「私は寄宿制の女子校で勉強したのですが、上級生が毎年映像作品を作るのが恒例になっていました。暗闇の中で大きなスクリーンに、先輩が作った作品が映し出される――その体験が映画に関心を持つようになったきっかけです。その後デリー大学でジャーナリズムを専攻し、修士課程では、ジャーミア・ミリア・イスラーミア大学でマスコミュニケーションを学びました。卒業後はムンバイに戻り、映画監督のプラカーシュ・ジャーのもとで助手として働くようになったのです。彼の作品『Raajneeti(政治)』(2010)では助監督を務めました。その後『Turning 30!(30歳になる!)』(2011)を撮って、監督としてデビューしました。」

本作は2本目の監督作品だが、この映画を作ろうと思った理由があるのだという。
「私は教育程度も高く、リベラルな両親のもとで育ちましたから、ちょっと見にはとても自由なわけです。まったく何の束縛もないように見えるんですが、心の中ではいつも、自分が完全には解放されていないと感じていました。何かか私を押しとどめている、女性である自分を見てみると、常に何かと闘っている気がする、そういう意識を持っていました。ですので、そんな感情をパッと噴出させてみたかったのです。」

映画の舞台は中部インドの町ボーパールで、映画のヒロインは4人。イスラーム教徒の女子大生レーハーナー(プラビター・ボールタークル)と、同じくイスラーム教徒の主婦でセールス・ウーマンのシーリーン(コーンクナー・セーン・シャルマー)。そして、起業に熱心なヒンドゥー教徒の若い娘リーラー(アハナー・クムラー)と、50歳代の未亡人のウシャー(ラトナ・パータク・シャー)である。
「4人のヒロインというのは特に意識したわけではないんです。ヒロインが4人になったのは偶然で、いろんなストーリーを考えていくうちにそうなってしまって。自分が言いたいことを1つのストーリーだけで表すのが無理だったのです。この4人のキャラクターは実は1人であるとも言えますし、4人それぞれが私自身の延長線上にあるとも言えます。異なる4人のキャラクターは、1人の人間のいろんな側面ですね。」

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ブルカの中の口紅 (2016年/インド/カラー/117分)
監督・原作:脚本:アランクリター・シュリーワースタウ
プロデューサー:プラカーシュ・ジャー 共同脚本:スニール・カンワル
ダイアログ:ガザル・ダーリーワール 撮影監督:アクシャイ・シン 編集:チャールー・シュリー・ローイ
サウンド・デザイナー:ラーフル・バドウェールカル
出演:ラトナー・パータク・シャー、コーンクナー・セーン・シャルマー、アハナー・クムラー、プラビター・ボールタークル
© m-appeal
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第29回東京国際映画祭「アジアの未来」部門上映
/国際交流基金アジアセンター特別賞受賞作品

2016/11/17/19:31 | トラックバック (0)
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