インタビュー
パオロ・ジェノヴェーゼ監督公式インタビュー:映画『おとなの事情』について

パオロ・ジェノヴェーゼ (監督)
公式インタビュー
映画『おとなの事情』について【1/2】

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2017年3月18日(土)、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

映画『おとなの事情』は、7人の友人夫婦が集うディナーで、お互いのスマホの履歴を見せ合うゲームをきっかけに、疑惑の嵐が吹き荒れる状況を描いた大人のためのブラックコメディ。スマホをめぐる“夫婦・親友の秘密”が、人生の悲喜こもごもを浮かび上がらせていく人生賛歌ともなっており、本国イタリアではアカデミー賞に相当する「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」で作品賞・脚本賞のW受賞を果たして、28週間ロングランという驚異的な記録を樹立した注目作品だ。3月18日(土)からの日本公開に先立ち、パオロ・ジェノヴェーゼ監督が来日し、新高輪プリンスホテルで行った会見の模様をお届けする。
パオロ・ジェノヴェーゼ 1966年ローマ生まれ。大学ではビジネスを専攻し、卒業後、広告分野の仕事に就く。300以上のコマーシャルを監督し、数々の賞を受賞し評価される。その後、映画製作に取り組むようになり、ルカ・ミニエロと共同監督した短編『Neapolitan Spell』(98)がロカルノ映画祭で上映されて脚光を浴びる。以後、2人の共同監督作品として短編のリメイクである『Neapolitan Spell』(02)で長編デビューを飾り、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞を受賞。以後、『Nessun messaggio in segreteria』(05)などを発表し、テレビシリーズなども手掛ける。『La banda dei Babbi Natale』(10)で初めて単独で監督デビューし、イタリアで大ヒットを記録。翌年の『Immaturi<未熟者たち>』(11)もヒットを記録し、コメディのヒットメーカーとして高い評価を得ている。
STORY 「今では携帯はプライベートの詰まったブラックボックス。ゲームをしない?食事中、かかってきた電話、メッセージをみんなオープンにするのよ」。友人夫婦7人が集う夕食の場で、エヴァはいきなりそう提案した。新婚のコシモとビアンカ、反抗期の娘に悩むロッコとエヴァ、倦怠期を迎えたレレとカ―ロッタ、恋人に今日のディナーをキャンセルされたペペ。「何かやましいことがあるの?」と詰め寄る女性陣に、男性陣も渋々ポケットを探り、テーブルには7台のスマートフォンが出揃った。メールが来たら全員の目の前で開くこと、かかってきた電話にはスピーカーに切り替えて話すことをルールに、究極の信頼度確認ゲームが始まる――!
パオロ・ジェノヴェーゼ監督 『おとなの事情』『おとなの事情』
――イタリアで「月食の夜」はどういう意味を持ちますか?

P・ジェノヴェーゼ監督 とくに意味があるかというか、今回この月食は“メタファー”比喩の意味で使っています。それぞれの人の秘密をテーマの一つとして描いている作品なのですが、この月食というのも何かを隠す、覆い隠すということです。ですから、月を隠すということと、覆われている人の秘密ということを対比してみるのも面白いのではないかという意味で、メタファーとして使っています。

――携帯電話に翻弄される人間の話を映画化しようと思ったきっかけは何ですか?

P・ジェノヴェーゼ監督 この映画で何を語りたかったかというと、それぞれの人が持つ3つの生活(パブリック・プライベート・秘密)というものを語りたかったのですが、それを何か物を使って、何かの媒体として描きたかったのです。そして今、スマートフォンという物が私たちの生活を変えてしまっている、一つのブラックボックスになっているわけですけれども、そういった物を通じて私たちの秘密の生活を語るというのが面白いのではないかと思ったのが、最初のアイディアです。

――シナリオを作るにあたっての脚本家との共同作業の様子を教えてください。

P・ジェノヴェーゼ監督 複数の脚本家との共同作業は、とても上手くいきました。そしてこのタイプの作品には、複数の脚本家が参加するというのは非常に有効だったと思います。今回の作品では、それぞれ違った生活を持つ7人の主人公が描かれているわけで、非常にバラエティがあるわけですね。ですから、私以外の4人の脚本家もそれぞれが自分自身、あるいは友人や聞いたことのある経験というのを持ち合ったことで、たくさんのヒント、ネタが生まれました。そこから、こういった豊かで厚みを持つストーリーが生まれたのだと思います。

――3組の夫婦と1人の男という設定とキャスティングはどのように決めていったのでしょうか?

P・ジェノヴェーゼ監督 本当はこれは3組のカップルと1人の男というよりは、4組のカップルの話なのですが、そのカップルのある1人が理由があっていないという状況になっています。どうして4組かというのが、さまざまな多面性を描くために最低限必要なのは4組だと思ったからです。今回このキャスティングは私が監督として決めさせてもらいました。

――舞台劇のような会話劇が続くため会話が長くなりがちです。しかしテンポはよい。このあたりの演出上の工夫は?

P・ジェノヴェーゼ監督 1つのテーブルを囲んだ人たちの会話というだけで進んでいくわけですから、これをもたせるには選ばれたテーマというのが、観る人たちの琴線に触れるような深さをもっていなければならないということは非常に考えましたし、あとはやはりリズムやスピード。観客を退屈させないというより、観客がそれぞれの登場人物に自分を重ねられるような設定にしていくことが重要だと感じました。

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おとなの事情 (2016年/イタリア/96分/ビスタ/5.1ch/原題: Perfetti Sconosciuti)
監督・脚本:パオロ・ジェノヴェーゼ
脚本:フィリッポ・ボローニャ、パオロ・コステラ、パオロ・ジェノヴェーゼ、パオラ・マミーニ、
ロランド・ラヴェッロ 撮影:ファブリツィオ・ルッチ 編集:コンスェロ・カトゥッチ
出演:ジュゼッペ・バッティストン、アルバ・ロルヴァケル、ヴァレリオ・マスタンドレア、アンナ・フォッリエッタ、マルコ・ジャリー二、エドアルド・レオ、カシア・スムトゥニアク
配給:アンプラグド ©Medusa Film 2015
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2017年3月18日(土)より、
新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

2017/02/07/19:21 | トラックバック (0)
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