新作情報

抱擁のかけら

http://www.houyou-movie.com/

2010年2月6日(土)新宿ピカデリー、
TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー

INTRODUCTION

女性讃歌三部作で世界中の女性から喝采を浴びた、
ペドロ・アルモドバル監督の新たなる挑戦──

『抱擁のかけら』1オール・アバウト・マイ・マザー』、『トーク・トゥ・ハー』、『ボルベール<帰郷>』の女性讃歌三部作で、世界中の女性たちのハートをつかんだスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督。待望の最新作で彼は、新たなる愛の物語に挑んだ。
恋人たちを引き裂くように、一枚一枚破られた、大量の写真……。欲望と裏切りが引き起こした事件により、生涯をかけた愛、視力、そして人生までも失ったハリー・ケインは、過去を封印し、名前を変えて違う人生を生きてきた。しかし、破られた写真だけは捨てることができなかった。あれから14年、事件の謎を握る男との再会をきっかけに、ハリーは忘れたはずの愛と向き合う。
あの頃、ハリーはマテオの名前で映画監督として活躍、女優を夢見る女性レナと出逢う。二人はひと目で恋に落ちるが、レナには富と権力で彼女を支配するパトロン・エルネストがいた。マテオとの出逢いで、愛に目覚め、女優として生きる喜びを知ったレナは、エルネストとの関係に終止符を打とうとする。しかしエルネストの行き過ぎた愛が、二人を引き裂く事件を引き起こす。
記憶の底の愛は、引き裂かれた写真のかけらを繋ぎあわせることで鮮やかに甦ろうとしていた。そしてそこに浮かび上がるある真実とは……。

これこそが、アルモドバル流<究極の愛>──
ペネロペ・クルスの最高の演技を得て輝く、愛の崩壊と感動の再生

生涯をかけると誓った愛が崩壊し、人生までも狂わされてしまったハリー(マテオ)を演じるのは、『バッド・エデュケーション』のルイス・オマール。名前も職業も変え、レナとの思い出を封印することで、耐え難い悲しみから逃れるが、それは愛という光のない人生だった。記憶を解き放つことで、レナへの愛が甦り、その愛のために、投げ出した映画を完成させることを決意したハリーの人生もまた、再生していく。
レナを演じるのは、『ボルベール<帰郷>』でアカデミー賞にノミネートされ、09年に『それでも恋するバルセロナ』で見事アカデミー賞を受賞したペネロペ・クルス。アルモドバルとのタッグは、これが4度目となる彼女は、「この脚本は、私の人生の中で読んだ最高のもの。複雑で大胆で、最初から最後まで驚きに満ちている」と語る。愛すること、愛されること、仕事で成功すること──その全てを手に入れたいと願う、女の中の女を圧倒的な演技力で魅せている。人は自らの死が最後ではない。愛する人の記憶の中で生き続けることができる。悲劇的な死を遂げたレナもまた、ハリーの記憶の中で、美しく輝き続ける。さらに映画が完成すれば、彼女は女優として永遠の命を吹き込まれるのだ。
『抱擁のかけら』2ペネロペ・クルスの最高の演技を得たアルモドバルは、「死ぬ瞬間も抱き合っていたい」と願う女と男の〈究極の愛〉の、誕生から崩壊、そして再生までを描ききった。人は、何度挫折や破滅を繰り返しても、立ちあがることができる。痛みを知ったほうが、喜びも深くなる。これは、そんな人生の素晴らしさをうたいあげる、アルモドバルの人生讃歌なのだ。

アルモドバルを支え続けるチームと、
彼の新たな挑戦を後押しする、新しい才能とのコラボレーション

2009年、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された本作には、アルモドバル組に、新たな顔ぶれも加わった。
エルネストには、『ベラスケスの女官たち』のホセ・ルイス・ゴメス。ハリーの仕事上のパートナーで、かつての恋人でもあるジュディットには、『ボルベール〈帰郷〉』のブランカ・ポルティージョ。彼女の息子ディエゴには、『海を飛ぶ夢』で数々の新人賞に輝き、今スペイン映画界で最も注目される若手俳優、タマル・ノバス。エルネストの息子には、『チェ 39歳の別れ』のルーベン・オカンディアノ。
彼らが演じるキャラクターにも深い物語があり、それはいくつもの抱擁で象徴される。親子の温かな抱擁、恋人たちの情熱的な抱擁、愛人の憎しみを秘めた抱擁──出会いと別れの抱擁が、人生を作る──アルモドバルは、たくさんの抱擁にその想いを込めた。
製作は、アルモドバルの全作品を手掛ける、弟のアグスティン。音楽は、『私の秘密の花』以降、全作品を手掛けるアルベルト・イグレシアス。新しい風を吹き込んだのは、『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞にノミネートされ、『バベル』でも高く評価された撮影監督のロドリゴ・プリエト。光と影を巧みに操り、キャラクターに奥行きを与える手腕により、アルモドバルが新たな映像世界の扉を開くことに貢献した。
2010年、どんな悲しみからも立ち直る勇気をくれる、アルモドバルからの熱い抱擁を、あなたに──。

2010年2月6日(土)新宿ピカデリー、
TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー

Story

抱擁の数だけ、愛が生まれ
抱擁の数だけ、愛が壊れ
それでも抱擁の記憶が、未来をくれた──

14年前の事件で、名前と人生を変えた男が、封印した愛の物語

『抱擁のかけら』32008年、マドリード。脚本家のハリー・ケイン(ルイス・オマール)は、ある事件をきっかけに、名前を変えて違う人生を生きている。14年前、彼は本名のマテオ・ブランコを名乗り、映画監督として活躍していた。その事件で視力を失った彼は、もっと大切なものを同時に失くしたことを、心の奥深くに封印した。
すべての事情を知るエージェントのジュディット・ガルシア(ブランカ・ポルティージョ)と、彼女の息子のディエゴ(タマル・ノバス)の助けを借りて、ハリーは仕事も私生活も何不自由ない日々を送っていた。
ある日、ライ・X(ルーベン・オカンディアノ)と名乗る男が現れ、自分の監督作の脚本をハリーに依頼する。彼が望むのは、「父の記憶に復讐する息子の物語」。自分向きではないと断るハリーは、その男が誰かを思い出していた。記憶から抹殺した男、エルネスト・マルテル(ホセ・ルイス・ゴメス)の息子だ。どうやら、決別した過去が、ハリーを捕らえようとしていた。
隠されたハリーの過去に興味を抱くディエゴに求められるまま、ハリーはマテオ時代の物語を語り始める。それは、甘美な恋と激しい嫉妬、恐ろしい裏切りに満ちた男女の愛の物語だった……。

女は、すべて手に入れたかった。男は、彼女だけがほしかった

1994年、マドリード。初めて会った時からマテオは、その女が何者なのか知っていた。彼女の名前はレナ(ペネロペ・クルス)、有り余る富と絶大な権力を誇る実業家エルネスト・マルテルの愛人だ。何もする必要のない退屈な日々の中でレナは、一度は諦めた、女優になる夢を追いかける。新進監督のマテオが、新作のコメディ「謎の鞄と女たち」を撮ると聞きつけたレナは、オーディションを申し込む。プロダクション・マネージャーのジュディットが「美しすぎる女」だと評した彼女をひと目見た瞬間、マテオは心を奪われ、素人同然の彼女を主役に抜擢する。レナもまた、才能に輝くマテオに惹きつけられる。二人が恋に落ちるのに、時間はかからなかった。
エルネストは、出資を申し出てプロデューサーになり、息子のエルネストJr.を撮影現場に送り込む。Jr.はメイキングを撮るという建前でカメラを回すが、それは父の命令によるレナの監視だった。強く激しい二人の愛は、もはや隠すことはできない。離れていくレナの心を、力で繋ぎ止めようとするエルネスト。二人の関係を嫉妬と羨望で見つめる、かつてはマテオの恋人だったジュディット。父の望み以上に、執拗にレナを追いかけるJr.。
それぞれの感情が渦巻くなか撮影は終了、レナとマテオは、カナリア諸島のランサロテ島へ逃避行を遂げる。何度も何度も抱擁を重ね、死ぬ瞬間もこうして抱き合っていたいと願う二人。しかし、マドリードでは裏切りと復讐が始まっていた。手始めは、マテオが中断した「謎の鞄と女たち」が完成したという広告、そしてプレミア上映での酷評記事。マテオが、状況を調べるために戻ろうとした前日、事件は起きた。

奪われた愛、破り捨てられた写真、それでも人生は美しい──

『抱擁のかけら』4二人の愛を奪ったあの事故は、偶然だったのか、それとも罠か──? 二人が滞在した部屋のごみ箱には、大量の写真が捨てられていた。抱き合うレナとマテオを一枚一枚、手で破って引き裂いた写真が……。
愛の記憶を解放したハリーは、変わらないレナへの想いに満たされていた。いや、痛みを知った分だけ、それはさらに深かった。もう真相を知ることも怖くない。ライ・Xを訪ねたハリーは、事故の夜のレナとマテオを撮影したフィルムを受け取る。
果たして、そのフィルムに永遠に焼き付けられたのは、愛か憎しみか、それとも──?

2010年2月6日(土)新宿ピカデリー、
TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー

Production Note

映画のかけら
──ペドロ・アルモドバル監督が語るプロダクション・ノート──

●レナとマテオが観る映画『イタリア旅行』が表すもの

主人公のレナとマテオが、逃亡先のバンガローでカウチに寝そべり、小型のTVで、ロベルト・ロッセリーニ監督の『イタリア旅行』(53)を見ているシーンがある。この映画は、イングリッド・バーグマンとジョージ・サンダース演じるアメリカ人夫婦が、イタリア旅行の間に経験する結婚生活の危機を描いている。TVには、バーグマンとサンダースがポンペイの発掘現場を訪れる場面が映し出される。二人は、発掘作業員たちが、男と女の死体を掘り返す場面を目撃する。寄り添って眠る彼らの姿は、溶岩によって永遠に留められていた。数千年前の男女の不滅の愛を見て、バーグマンは涙を抑えることができない。
深い感動を呼ぶシンプルなシーンだ。それを見たレナは、あんなふうに死にたいと思う。マテオの永遠の抱擁に包まれて。レナの切なる願いを心で受け止めた彼はカメラをセットし、自動シャッターにする。そしてレナをしっかりと抱きしめる。ロッセリーニの映画の火山から流れ出た溶岩のように、フラッシュが二人の抱擁を永遠へと変えることを願って。

●人の秘密を暴き出すメイキング映像

本作の主人公たちは、「謎の鞄と女たち」というコメディ映画を撮影している。マテオが監督、レナが主人公、ジュディットがプロダクション・マネージャー、そしてレナの恋人エルネストがプロデューサーだ。さらにエルネストJr.が“メイキング”ビデオを担当している。
 私はずっと、“メイキング映像を通して見えてくる物語”を描く映画を作りたいと考えていた。メイキング映像は、映画製作の裏側を明らかにするばかりでなく、それを製作する人間たちの秘密をも暴き出す。つまり、秘密の語り手としての役割を担っているのだ。私はフィクションをうまく料理して組み合わせ、架空の中の、さらに架空の物語というものを作りたかった。

●“ダブル”──重複すること

この作品の特徴として、“ダブル”というテーマがある。この“ダブル”は、“両義性”や“二重”という意味ではなく、“重複”“繰り返し”という意味である。
たとえば、エルネストJr.は父親の言動をそっくり真似している。Jr.は、本当はゲイなのに、父親と同じく2度結婚している。彼が父親を嫌ったように、自分のことを嫌う二人の子供がいる。親子の関係は、“繰り返される”のだ。
このキャラクター設定は、ヘミングウェイとその息子グレゴリーの関係を参考にしている。グレゴリーは少年時代、女の子のような少年だったが、のちに父親以上に酒を飲み、巨大なゾウを狩り、子供を作る。そして有名な父親が死んで15年後、ほとんど60歳になろうとするときに性転換手術を受けた。
本作の男性主人公には、“二つ”の名前がある。マテオは自分をハリー・ケインと名乗るが、それは自分自身からの逃避である。盲目となって監督をできなくなり、愛する女性を失った彼にとって、現実は耐え難い。“誰かになる”か“誰かを演じる”ことでのみ、生きることができる。自分を偽るしかないのだ。
ペネロペ・クルスも、本作で“二つ”のキャラクターを演じている。レナは、あまりに美しく、あまりに貧しいがゆえに、大物実業家エルネストの毒気に満ちた気前のよさに抵抗することができない。そして、レナが演じる映画「謎の鞄と女たち」の主人公であるピーナは、彼女とは対照的な人物である。

●「謎の鞄と女たち」と『神経衰弱ぎりぎりの女たち』

マテオが監督する映画「謎の鞄と女たち」が、私の映画『神経衰弱ぎりぎりの女たち』に大まかに基づいていることは否定しない。だが、それは自画自賛ではないし、誰にもそんなふうに思ってほしくはない。
私はマテオにコメディ映画を撮影させることにした。主人公たちが住んでいるドラマチックな世界とは、正反対のジャンルだからだ。 「謎の鞄と女たち」が必要なのは、3~4シーンだけだったので、自由に使える自分の作品を脚色するのが最良の方法だと考えた。そこで私は『神経衰弱ぎりぎりの女たち』を選んだ。脚色作業は、とても楽しかった(不思議なことに、この再現映画は、オリジナルの『神経衰弱ぎりぎりの女たち』を20年前に撮影した時と同じスタジオの同じ場所で撮影された)。あまりに素晴らしい体験だったため、私は必要以上のシーンを書いて撮影してしまったので、最終的な編集ですべてを入れることはできなかった。撮影中にもそれは十分想像できたが、撮りたいという誘惑に勝てなかった。
この新しいバージョンの『神経衰弱ぎりぎりの女たち』におけるピナ役は、元々カルメン・マウラが演じた役とは違っている。むしろ彼女のモデルの友人カンデラに似ている。このキャラクターはさらに、最も現代的で純粋な女性と言われている『ティファニーで朝食を』(61)の主人公、ホリー・ゴライトリーにも似ている。

●私の書くキャラクターを体現した素晴らしい女優、ペネロペ

私が書く女性のほとんどは、私の母親と、ラマンチャに住む母のご近所さんたち、そしてホリー・ゴライトリー、『道』(54)のジュリエッタ・マシーナ、『走り来る人々』(58/ヴィンセント・ミネリ監督)と『アパートの鍵貸します』(60/ビリー・ワイルダー監督)のシャーリー・マクレーンをミックスさせたものだ。
これらすべての女性たちがペネロペの中にいる。さらに、彼女たちとは正反対の、ジーン・ティアニー、リンダ・ダーネル、コンスタンス・ベネットといったアメリカのフィルムノワールを飾る“気品溢れる女優たち”の雰囲気も持ち合わせている。そして、ソフィア・ローレン、アンナ・マニャーニ、クラウディア・カルディナーレ、イタリアのネオリアリズムのヒロインたちすべての要素もある。そんなペネロペは、常に私を刺激し続ける女優だ。

●ランサロテ島での一枚の写真から始まった、抱擁の物語

私が初めてランサロテ島を訪れたのは、9年前だ。数ヶ月前に母を亡くしていたこともあり、その滞在は私にとって特別な時間だった。まだ喪に服していた私の心は、島のエネルギーに慰められ、ドラマチックな自然の色彩に魅了された。私にとってそれは単なる景色ではなく、一人の登場人物だった。その瞬間から、私はその島で映画を撮影したいと思い続けてきた。
映画の中で、プリントしてから一組の抱き合うカップルが映っていることに気付くマテオの写真は、私が初めて島を訪れた時に、ゴルフォビーチで撮った写真だ。マテオと同じく、抱き合うカップルは見えていなかった。24時間のプリントショップで現像してもらった時、初めてそのカップルに気付いて、驚いた。彼らの人目を忍んだ抱擁の裏側には秘密があり、私がそれを証明する写真を持っているのだと、想像した。私は、そのカップルの物語を書きたいと思い、彼らのすべてを知りたいと願った。それがダメなら、彼らの真実を架空の物語に書き変えるために、いくつかのディテールだけでも知りたいと思った。
私は島に滞在している間、そのカップルを探し回ったが、見つけることはできなかった。自分で彼らの状況を想像し、その孤独感溢れる抱擁に行き着く様々な架空の設定を書いたが、どれも面白いものにはならなかった。その秘密の抱擁は、暴かれるのを嫌がっているように思えた。だが、ついに私は本作の脚本で、それを果たしたのだ。

C R E D I T

監督・脚本:ペドロ・アルモドバル『オール・アバウト・マイ・マザー』『ボルベール<帰郷>』
出演:ペネロペ・クルス『ボルベール<帰郷>』『それでも恋するバルセロナ』、
ルイス・オマール『バッド・エデュケーション』、ブランカ・ポルティージョ『ボルベール<帰郷>』
配給:松竹 PG-12
(C)Emilio Pereda&Paola Ardizzoni/El Deseo
http://www.houyou-movie.com/

2010年2月6日(土)新宿ピカデリー、
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2010/01/05/19:26 | トラックバック (0)
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