ドキュメンタリー
朱鷺島
創作能「トキ」の誕生
公開記念イベント情報 ※全て上映後。イベントは全て三宅流監督とのトークになります。
8月4日(水) 鵜飼哲(フランス文学・思想研究者)トーク
8月6日(金) 矢内原美邦(ダンサー/「ニブロール」主宰)トーク
8月7日(土) 小沼純一(音楽・文芸批評家)トーク
8月8日(日) 大津幸四郎(映画カメラマン・映画監督)トーク
8月12日(木) 松田弘之(笛)演奏&トーク
8月13日(金) 篠田節子(作家)×津村禮次郎(本作出演・能楽師)トーク
2010年7月31日(土)~8月20日(金)まで
ポレポレ東中野にて連日10:30よりモーニングショー!
子どもたちの想いは、「トキ」となって飛翔する。
もうひとつの佐渡の顔を知っていますか?
新潟市の北西に位置する本州最大の島・佐渡島。近年はトキ復活プロジェクトで大きな話題を呼んだが、この土地にはもうひとつの大きな特徴がある。それは日本有数の「能」の伝承地であることである。かつては能舞台が200以上あったといわれ、古い詩に「鶯や十戸の村の能舞台」とうたわれ、十戸余りの小さな集落にも村の鎮守の場として、村人の間で能舞台が親しまれていたようである。現在も全国の3分の1にあたる30以上の能舞台が現存している。島では薪能公演が盛んに行なわれ、現代においても、佐渡の人々にとって能は身近なものとなっている。
なぜ、佐渡でこれほどまでに能が盛んなのか?実は江戸時代、初代佐渡奉行であり、能楽師出身の大久保長安が奈良から能楽師一行を連れて佐渡に赴任したのだが、この能楽師の末裔たちが土着し、佐渡の庶民のあいだに広く能が根付いたといわれている。
佐渡島は古代から流刑の地であり、過去には順徳天皇、日蓮上人、日野資朝、世阿弥などが配流されている。流刑によって、京から流された都人が、都の文化を伝えていったことなどから、貴族文化や武家文化、町人文化が渾然一体となって、佐渡特有の文化を形成していったといわれている。
トキ×津村禮次郎×子供×鼓童=?
古典能のみならず、現代舞踊やオペラなどとの共演など、時代、ジャンルを超えた活動を行っている観世流能楽師・津村禮次郎は、30年来佐渡に通い、学生達への稽古や薪能公演を行ってきた。2006年、佐渡市から公演の依頼が舞い込み、津村は、トキが再び佐渡の空を飛翔してほしいという願いを込めた「創作能」で応えることに決めた。佐渡の子どもたちから寄せられた詩をもとに台本を作り上げ、同じく佐渡を拠点に活動する太鼓集団「鼓童」のメンバーにも参加してもらうことで、既存の能の枠を超えた新しい芸能・創作能「トキ」がここに誕生する。
創作能「トキ」が語りかけるもの
ドキュメンタリー『朱鷺島-創作能「トキ」の誕生』は、能楽師・津村禮次郎と佐渡の子どもたち、そして太鼓集団「鼓童」という異なる世代、表現方法がつながることで完成した創作能「トキ」の制作過程を克明に描き出している。子どもたちの詩に托された想いが、謡となり舞となり、鼓と太鼓のリズムにのって昇華される様子は、混迷の現代を生きる私たちに、確かな希望を感じさせるのではないだろうか。監督は若き能面師を追った前作『面打/men-uchi』(06)で大きな話題となり、最新作『究竟の地−岩崎鬼剣舞の一年』(08)が公開準備中の三宅流。 トキも能も、時を超え、いまを生き抜いていく。再び大きく舞うために。
2010年7月31日(土)~8月20日(金)まで
ポレポレ東中野にて連日10:30よりモーニングショー!
span class="headB">古来、日本人にとって、鳥は「魂を運ぶもの」であった。各地に残る鳥の芸能がそれを教えている。津村師の創作能『朱鷺』には、この古い血の騒ぎが感じられる。人が鳥となり神となる、命への祈り。その創作過程を淡々と描き切った力編である。――林 望(リンボウ先生/作家)
幻の鳥を題材にした能「朱鷺」は佐渡の素晴らしい環境に守られて生まれました。古典として益々磨かれて行くことを期待しています。――坂東玉三郎(歌舞伎俳優)
日本の能舞台の3分の1以上が佐渡島にあるとは! その佐渡に特化し、一度しか上演されない創作能の貴重な記録です。――ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
津村禮次郎さんの創作へ向かっていく積極的な姿勢に共鳴するかのように、編集も余韻を削ぎ落とし、監督の主観や感情など曖昧な表現をなくした純粋な記録映画として、淡々と創作のプロセスを切り取っていく様が潔く、美しい。子どもの言葉が能へと昇華された舞台は、鼓童や花結など異分野の芸能とフランクに融合しながらも、能らしい異時空間を出現させていて、島民とともに観劇を体感しました。――山村浩二(アニメーション作家/『頭山』など)
津村さんの挑戦は、いつも私の励みになります。まだまだいろんなことをやれる。いやまだ私などやっていない、やれていないことの方が、こんなにも多いんだなあって。そして、がんばろうって思う……
――野田秀樹(劇作家/演出家/役者)
『朱鷺島』はかつて佐渡に生息した天然記念鳥トキの死を愛惜する島人達が、プロの能楽者と組んで創作、上演した能楽一番である。
謡はトキの世話もしたという地元の小学生たちの詩から採られた。囃子方には佐渡の太鼓集団「鼓童」が参加、地元の舞踏集団も花を添える。舞台作りから衣装造りまで(注:能楽師の衣装は実際には能楽師が所持する衣装を組み合わせたものである。鼓童/花結が扮する「村人」の衣装は地元鼓童の手によるものかもしれない)、全て、島人の手で行なわれた地方色豊かな薪能である。
トキは往時田圃(たんぼ)を踏み荒らす困り者だった、そんな言い伝えを聞いていた踊りの女衆は、鳥追いの優雅な踊りから舞台を始めた。その舞踏は能の舞台を彩り、公演を息づかせ、時代の脂(やに)に染まった能楽堂に閉じ込められた能を、ともすれば黴臭く淀み、眠りを誘いかねない古典能の概念を一変させ、演者達を自由な芸術の野に放ち、ポップアートとしての能を堪能させた。そんな魅力に富んだ民衆能の世界を、『朱鷺島』のカメラは禁欲的に静かに見つめ続け、記録した。その端正な映像はこれまた静かな語りの流れを縦糸に、島人をはじめ、出演者の能舞台にかかわる意欲的な姿を横糸に、ちょっと厚手のタペストリーに織り上げられた。しばし手に触れてみるに値するタペストリーに。――大津幸四郎(映画カメラマン/『水俣 患者さんとその世界』など)
監督/撮影/編集:三宅流 整音:種子田郷(音楽家)
出演:津村禮次郎(観世流能楽師),藤本容子(花結),小島千絵子(花結),金城光枝(花結)
藤本吉利(鼓童),大倉正之助(大鼓),幸信吾(小鼓),松田弘之(笛),安田登(下掛宝生流能楽師)
中所宜夫(観世流能楽師),鈴木啓吾(観世流能楽師),桑田貴志(観世流能楽師)
古川充(観世流能楽師),坂真太郎(観世流能楽師),新井麻衣子(観世流能楽師) ほか
宣伝美術:猿山修 イラストレーション:本村加代子 宣伝協力:加瀬修一
配給:『朱鷺島』上映委員会 後援:佐渡市観光協会
2007-2010/ DVCAM/ 81分/ カラー/ 4:3
http://www.tokijima.com/
2010年7月31日(土)~8月20日(金)まで
ポレポレ東中野にて連日10:30よりモーニングショー!
8月29日(日)小金井薪能にて、創作能「トキ」上演決定!
観世流能楽師・津村禮次郎が作家・林望と立ち上げ、今年で32回目を迎える小金井薪能。
第32回小金井薪能の演目は「トキ」が上演される。佐渡の太鼓集団「鼓童」との共演も行なわれる。
8月7日(土)より、新潟・市民映画館シネ・ウィンドにて公開!
- 監督:三宅流
- 出演: 新井達矢(面打),
中所宜夫(観世流能楽師),
津村禮次郎(観世流能楽師) - 発売日: 2009-04-03
- おすすめ度:
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