新作情報

ミケランジェロの暗号

http://code-m.jp/

2011年9月10日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほかにてロードショー

INTRODUCTION

ナチス・ドイツの戦況を左右する、幻のミケランジェロの絵
その行方を知る、ユダヤ人画商一族の父が残した謎のメッセージ
息子ヴィクトルの命を賭けた、危険な駆け引きが始まる

『ミケランジェロの暗号』ユダヤ人画商一族・カウフマン家が密かに所有するミケランジェロの絵。それはムッソリーニも欲するほどの国宝級の代物だった。ある日、一家の息子ヴィクトルは親友ルディに絵の在りかを教えてしまう。ナチスに傾倒していたルディは、軍で昇進するためにそれを密告。一家は絵を奪われ収容所へと送られる。一方ナチスは、絵を取引の材料にイタリアと優位な条約を結ぼうとしていた。しかし奪った絵が贋作であることが発覚する。本物の絵をどこかへ隠した一家の父は、すでに収容所で死亡していた。息子に謎のメッセージを残して。ヴィクトルはその在りかも分からぬまま、母の命を救うためナチスを相手に危険な駆け引きに出る。彼の作戦は成功するのか。そしてミケランジェロの絵は一体どこにあるのか。

アカデミー賞®外国語映画賞受賞作『ヒトラーの贋札』のスタッフが贈る 謎と緊張が連続するサスペンス・ミステリー

ナチスが強制収容所で極秘に行っていた紙幣贋造作戦に従事させられた、ユダヤ人技術者たちの苦悩を描き、第80回アカデミー賞®外国語映画賞を受賞した『ヒトラーの贋札』。その制作会社とプロデューサーが手がけた本作『ミケランジェロの暗号』は、やはりナチスと命を賭けた駆け引きをするユダヤ人の物語である。
ナチス・ドイツがイタリアとの同盟のために必死で探す、国宝級のミケランジェロの絵の行方を巡るミステリー。そしてその在りかを駆け引きの材料に母を救おうとするユダヤ人画商ヴィクトルの、手に汗握るサバイバル・サスペンスが一体となった本作は、ラストに全ての緊張を解き放つ爽快感を残す。
監督は、オーストリアを代表する監督の一人、ウォルフガング・ムルンベルガー。卒業制作作品『天国か地獄か』が異例の劇場公開、国内外で数々の賞を受賞するという華々しいデビューを飾り、その後多くのヒット作を世に送り出している。そのムルンベルガーとの仕事を熱望したのは、ドイツの顔とも言うべき俳優モーリッツ・ブライプトロイ。主人公ヴィクトルを犠牲者としてのユダヤ人ではなく、命の危険にさらされながらも、常にユーモアを忘れず、機転で危機を乗り越えていく魅力溢れるキャラクターへと見事に昇華させた。正式出品された第61回ベルリン映画祭の上映でも大好評を得たサスペンス・ミステリーがいよいよ日本公開となる。

2011年9月10日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほかにてロードショー

インタビュー

ウォルフガング・ムルンベルガー監督 インタビュー

――この時代を描くために、注意したことはありますか?

『ミケランジェロの暗号』2『ミケランジェロの暗号』3ナチスの制服というのは言うまでもなく、過去の出来事を強く思い出させるアイテムだ。だからこそ、その取り扱いには慎重になる。最初の衣装リハーサルで、今の時代に生きている俳優たちがそれに身を包んでいる姿を見て、違和感を覚えずにはいられなかった。正面から真面目には捉えられなかったんだ。脚本はコメディとして撮ることもできるものだったけど、それにも違和感があった。現実に根ざしている物語だし、現実には起こり得ないような誇張された展開はわずかしかない。だから僕に最大限できることは悲喜劇だと思ったんだ。

――悲喜劇として成立するために脚本に修正を加えた?

そうだね。まず修正したのは、台詞を削るということだった。ポール・ヘンゲは77歳で、実際に戦争を経験している。リアリティのある、いい脚本だったけど台詞がとても多かった。もっと映画的で現代風にする必要があると思った。次にオリジナルは今よりも20分長かったから、もっと短くするために物語の構成を全体から考え直す必要があった。監督を引き受けるにあたり、こういった決定的な変更を加えることは事前に了承を得ていたからスムーズに進んだよ。

――この作品は、緊張感がありながらも、常にどこかにユーモアがありますね。

脚本には沢山の皮肉が込められていた。そしてこの皮肉は、リアルで真面目な背景で語られると、より効果的だと思ったんだ。登場人物たち―特にヴィクトル・カウフマン―を形作る皮肉を、最大限に見せるためには臨場感が必要だった。

――人々が想像する、「迫害を受けるユダヤ人」的な立ち振る舞いを、ヴィクトル・カウフマンはしませんね。

この時代を舞台にした映画は、いつもユダヤ人は犠牲者として描かれていた。それにうんざりしていると語ったユダヤ人もいたんだ。でも成立させるのは簡単じゃなかった。そこにクエンティン・タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』が出てきた。違う描かれ方も可能なのだと、観客が次第に理解していくのが感じられた。『ミケランジェロの暗号』では、強制収容所に収容されているユダヤ人は犠牲者ではなくて、ヒーローだ。そしてヴィクトルはアドルフ・ヒトラーの時代を巧みに生き延びる。

――この時代を、これまでと違うアプローチで描くことに不安はありませんでしたか?

『ミケランジェロの暗号』4『ミケランジェロの暗号』5映画のどこを非難されるかわからない。常に自分に問いかけ、スタッフとも話合ったよ。ナチスを人間味をもって描きすぎていないか、とかね。でも映画に出てくるナチスが、すべて同じように描かれなければいけないのだろうか? その時々で個人の人間性は存在したはずなんだ。でもナチスの恐怖の前ではなかったことにされてしまう。こういう考えを受け入れる時期が来ているのか分からないけど。

――『イングロリアス・バスターズ』やロベルト・ベニーニが『ライフ・イズ・ビューティフル』でオスカーを受賞するという状況なしで、この映画が成立したと思いますか?

10、15年前だったらもちろん無理だっただろう。この脚本だってユダヤ人の作家が書いたものじゃなかったら実現していたかどうか分からない。撮影するのはとてつもなく難しかった。シーンを撮るごとに自分に問いかけていた。「今のはエモーショナルすぎたか? 軽すぎたか? 皮肉を込めすぎたか? 本物の涙が必要か? それとももっと軽い感じにした方がよかったか?」ってね。常にギリギリの選択をしていったんだ。

――そうした選択をしていく上で、監督が指標にしたのはどこだったのでしょう?

常に全体像で捉えないということ。ひとつひとつのシーンを、最も笑えるシーンとか最も緊張感のあるシーンと比較しないようにしている。それよりも、今取り掛かっているシーンを伝えるベストな方法を探さなければいけない。

――舞台をウィーンにした理由は?

ポール・ヘンゲが第二次世界大戦を生き延びたのがウィーンだったからだね。

2011年9月10日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほかにてロードショー

Production Note

ナチスの時代を再び描くことへの葛藤

『ミケランジェロの暗号』6プロデューサーのヨゼフ・アイヒホルツァーは、ポール・ヘンゲが描いた『ミケランジェロの暗号』の脚本を渡された時、自分の会社で、またナチスについての映画を作ることをためらった。ナチス帝国がイギリス経済を転覆させようと試みた、紙幣贋造作戦―ベルンハルト作戦―について描いた『ヒトラーの贋札』(ステファン・ルツォヴィツキー監督作)を制作したほんの数年後だったからだ。「うちの会社でナチスについての映画を、もう1本作るわけにはいかない」と、一度は諦めようと決めた。しかし、次の日にはまた脚本を手に取っていた。「素晴らしい物語だったし、この時代についての映画をすでに1本作っているからといって、このプロジェクトを断ったら、その方が間違っていると思ったんだ」 ヨゼフの決心により、本作の制作は本格的にスタートした。

迫害され、財産を略奪されたユダヤ人たちの真実

脚本家のポール・ヘンゲはユダヤ人で、ナチスの恐ろしい歴史を少年時代に経験し生き残ったという人物。彼の経験と、ナチスによるユダヤ人の財産略奪という歴史的事実が本作のベースになっている。「戦後、略奪した美術品の売買で、ウィーンのディーラーたちはかなり大儲けしたんだ。そういった事件の記事を読んで映画作りの参考にした」と監督のウォルフガング・ムルンベルガーは語っている。ただ、ユダヤ人迫害の事実をベースにしつつも、ポール・ヘンゲはこの物語を、悲しみに満ち溢れたものにする気はなかった。「この時代のユダヤ人は皆、単なる犠牲者として語られることが多い。実際はそうではなかった。生き延び、生き抜くことへの渇望や力を持っていた。それを主人公のヴィクトル・カウフマンに託したかった」 それは見事に成功し、機転を利かせ危機を乗り越えていくヴィクトルは、この時代に描かれてきたユダヤ人像とは違う印象を観客に与えている。

ミケランジェロの素描

ナチスを翻弄するミケランジェロの素描は、「国家を動かすほどの名画」という視点から、脚本のポール・ヘンゲが作り出したものだが、実際にミケランジェロはたくさんの素描を残している。劇中のモーセ像の素描も、2本の角が生えているが、実在のモーセ像にも角が生えており、これは旧約聖書の出エジプト記のラテン語訳で、「モーセの顔は光を放っていた」と訳すべきところを「角が生えていた」と誤訳されていたためとされている。

C R E D I T

キャスト
モーリッツ・ブライプトロイ,ゲオルク・フリードリヒ,ウルズラ・シュトラウス,マルト・ケラー,ウド・ザメル,ウーヴェ・ボーム,メラーブ・ニニッゼ,
ライナー・ボック,カール・フィッシャー,クリストフ・ルーザー,セルゲ・ファルク

スタッフ
監督・脚色:ウォルフガング・ムルンベルガー 脚本:ポール・ヘンゲ 視覚デザイン:ペーター・フォン・ハラー 編集:エフィ・ローメン
音響:ハインツ・エブナー,ベッティーナ・マツァカリーニ,ベルンハルト・マイシュ キャスティング:マルクス・シュライツァー,カルメン・ロライ
衣装:マルティナ・リスト メイク:ミヒャエラ・オプル,バーバラ・フレーリヒ プロダクション・デザイン:イジドール・ヴィンマー
音楽:マシアス・ウェバー プロダクション・マネージャー:モニカ・マルシュコ 共同プロデューサー:ヤーニ・ティルトジェ
プロデューサー:ヨゼフ・アイヒホルツァー
2010年/オーストリア映画 / カラー / 106分 /シネマスコープ /ドルビーデジタル(SRD・SR)
原題:Mein Bester Feind (英題:My Best Enemy) / 字幕翻訳:岸田恵子
(c)2010 AICHHOLZER FILM & SAMSA FILM ALL RIGHTS RESERVED.
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム 配給:クロックワークス
http://code-m.jp/

2011年9月10日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほかにてロードショー

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2011/07/30/19:44 | トラックバック (0)
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